ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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独裁体制下のタテマエ

 普段書いている紙媒体の場合は、概ね“書きっぱなし”になってしまいますが、WEBメディアは反響が自分でわかるのがたいへん興味深いですね。
 先週、JBpressに採用していただいた下記記事ですが、たいへん多くの方に目に留めていただきました。尖閣問題はすでに議論百出、喧々囂々、百家争鳴状態なので、いまさら興味を持っていただけるかちょっとわからなかったのですが、たいへんありがとうございました。
▽領土問題に「希望的観測」は通用しない ~日本が後れを取ってはならない既成事実化競争

 先日、オスプレイ問題について寄稿した記事(⇒「安全性」と「基地問題」を混同しているオスプレイ沖縄配備への反対運動)もそうでしたが、やはり日本の安全保障に関わる問題は、多くの方に興味を持っていただけるようです。

 それに比べると、どうしても反響が少ないのが中東問題です(たとえば⇒「悪玉なのは反体制派の方」? シリア内乱を巡る誤った言説を正す)。
 遠い国の出来事ですからそれはしかたないですが、逆に言えば、大手マスメディアでは発表機会のほとんどないマイナーなネタでも、重要な問題については採り上げていただけるWEBメディアはたいへんありがたいといえます。
 とくに、シリアの問題については、日本ではカバーしている専門家が非常に少ないので、今後ともフォローし続けていきたいと思います。

 ということで、シリア情勢について某マスコミ記者の方と話す機会があったのですが、なるほど「独裁」というものがなかなか日本にいると実感するのが難しいのだなと思いました。
 たとえば、「とりあえずアサド政権を残したままでも、和平交渉をして自由選挙をやったら、ソフトランディングで政権交代できるのではないか」「それなのに一切の交渉を拒否する反体制派にも問題があるのではないか」というわけです。
 うーん・・・・(ちょっと脱力)。この点については、もうだいぶ以前に似たようなことを書いたようにも思うのですが、繰り返します。

 アサド政権の下では、自由な選挙など決して行われないことを、シリアでは誰もが知っています。そのためにあの強大な秘密警察システムが創られているわけで、だから反体制派は交渉を拒否しているのです。
 仮に交渉の席に就いたら、その間に主な反体制派は根こそぎ逮捕され、国民総監視体制が復活し、監視下の選挙が行なわれ、さらに開票操作でアサドが再選、という物語偽装が目に見えています。
 たとえば「少なくとも20万人以上の外国軍が停戦監視部隊として展開し、完全に国連主導の自由選挙が行われる」というのなら誰しも大歓迎でしょうが、アサド政権はそんなことは当然拒否します。内政干渉がどうのというのはタテマエであって、本音は「ズルが出来なくなる」からです。
 シリアのような超個人独裁の国(この点を実感したければ、シリア国営通信SANAの写真配信欄を見てください。大統領賛美の気色悪さがわかると思います)では、法律も選挙制度もすべてタテマエにすぎません。そこが民主国に住んでいると、理解するのがなかなか難しいようです。
 ついでに言えば、バース党のアラブ社会主義とかいうタテマエも、実際にはほとんど実体はありません。アラブ社会主義でシリアを語ろうというのは、例えれば、外国人の日本研究者が一所懸命に民主党と自民党の綱領を比較して永田町の政局を分析しようというようなものです。まあまったく無意味とは言いませんが。

 ということで、こういうときは私はいつもの手段を使います。
「アサド政権は北朝鮮と同じなのです」
 こう言うと、ようやく納得していただけたようです。

(追記)
 本日の動画。
▽政府軍に殺害された子供と、泣く父親
1029SR1.jpg
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  1. 2012/10/30(火) 11:41:23|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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