ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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シリア外国人義勇兵の数

▽世界遺産「アレッポのスーク」で火災 過激派義勇兵の存在顕著に(産経新聞 10月1日)
 同記事中の記述。
「9月にシリア問題に関する国連・アラブ連盟合同の特別代表に就任したブラヒミ氏は国連安全保障理事会に、政権側の推計として約5千人の外国人が反体制派に加わっていると報告している」

 AFPの記事中の記述は以下。
「ブラヒミ特別代表はシリア国内で外国人戦闘員が活動しているのは事実だとしつつ、その規模をシリア政府は5000人としているが、2000人未満という推計もあると述べた。
シリア大統領は「古い体制に固執」、ブラヒミ特別代表が批判(AFP 9月25日)

 外国人義勇兵について、私が知っているなかでもっとも詳しく現地調査しているレポートは、すでに当ブログで紹介していますが、英紙『ガーディアン』のこの記事です。
▽Syria: the foreign fighters joining the war against Bashar al-Assad(『ガーディアン』 9月23日)
 同紙の記述は以下。
「Hundreds of international fighters have flocked to Syria to join the war against Bashar al-Assad's government」
(アサド政権との戦争に参加するため、何百人もの外国人兵士がシリアに参集した)

「何百人も」もしくは「2000人未満」が「5000人」になってしまう不思議。

 ちなみに、上記『ガーディアン』記事では、「外国人義勇兵は、イラクやイエメン、アフガンなどで戦ってきたイスラム義勇兵と、独裁政権の残虐な弾圧を許せないロマン系理想主義者の両タイプがいる」と記述され、パレスチナ人へのこれまでの仕打ちに抗議して武器をとったパレスチナ系ヨルダン人も登場しています。
 実際には、とにかく様々なタイプの人がいますので、外国人義勇兵=イスラム過激派ではありません。
(まあ、イスラム過激派も入っていますが、上記のように、総数はたいしたことはありません)

 シリア報道で留意すべきは、以前も書きましたが、実際にはイスラム主義者とか世俗主義者とかの区別はかなり曖昧だということです。
 それは反体制派兵士の圧倒的多数はスンニ派イスラム教徒なので、誰もが「神は偉大なり!」「ジハードを戦う!」と叫びます。そういうのを強調すると「サラフィスト」(イスラム復古主義)とカテゴリーされますが、彼らの多くも、べつに異教徒・異宗派排斥やイスラム国家樹立を第一に目指しているわけではありません。
 現実には、ほとんどの反体制派兵士たちは、「アサド許せん!」という動機の下、友人知人・縁者の関係で、偶然コネのあった反体制武装勢力に参加しています。政府軍と戦っている男たちの大多数は、特定のイデオロギーに参集したのではありません。要するに、地元有志による自警団部隊です。
「アル・ファルーク旅団」とか「アル・タウヒード」旅団とかいうと、ガチガチのイスラム主義軍団と思われがちですが、たとえばサラフィストとされるアル・ファルーク旅団に長期従軍取材したジャーナリストの安田純平氏も、同旅団がべつにガチガチの過激派集団ではないことを確認しています。

(追記)
 シリア反体制派がイスラム過激派だという誤解は、主に2つの要因から来ています。1つはアサド政権側メディアの宣伝、もう1つは、過去のアラブ圏(とくに隣国イラク)での宗派抗争からの先入観です。
 シリア反体制派にもさまざまな人がいますから、たとえばアラウィー派に対する復讐心を持つ人も当然、いることでしょう。従来のアラブ社会であれば、宗派抗争がいっきに燃え広がるのが、むしろ普通でした。
 しかし、シリアでは、宗派排斥の主張は現時点までのところ、反体制派内で支持されていません。この奇跡的な「良識」がこの国で保たれているひとつの大きな要因は、反体制派SNSをフォローしているとわかるのですが、オープンな言論空間の力だと思います。
 どこかで「アラウィ派をやっつけろ!」との主張が登場したとき、それに反対する声が非常に多く反応します。陰謀論者に言わせれば、CIAが誘導してるということになるのでしょうが、現場の地元住人にそうした声が広がらないのは、現場で同様のことが起きていることを裏付けています。
 シリアでは若者を中心に多くの人が、今でも日常的にインターネットにアクセスしていますから、そうしたところから良識的な議論の雰囲気が伝播しているのかもしれません。CIAの工作だったらグッジョブですが、残念ながら現実のCIAは、陰謀論者が想像するほどの実力は持っていません。
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  1. 2012/10/01(月) 21:00:04|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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