ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

シリア内乱を巡る誤った言説を正す

私の生業はライターで、レポートは本来なら取材内容と分析力で勝負すべきもの。他の言説とどちらが説得力があるかは、読者の判断に委ねるというのが、まあ普通なのですが、シリアの問題は、今も毎日人々が殺され続けている、きわめてリアルな問題です。独裁者に殺害された人々のためにも、観念的で誤った言説をスルーはしません。
 なぜか日本(とロシア)にだけ多いアサド擁護論・反体制派悪玉論への反論を、字数制限はありますが、それでもできる限りきっちり書いておこうと思いました。
 そもそもあまり中東情勢に興味のない方には、さらにまったく興味のないマニアックなテーマでしょうが、JBPRESSに下記の記事を寄稿させていただきました。あまり積極的なアクセスはないかもしれませんが、シリア情勢に興味を持った方がネットで目にしていただく機会があればと願っています。
▽「悪玉なのは反体制派の方」? シリア内乱を巡る誤った言説を正す(JBPRESS)
 攻撃的なタイトルは編集部につけていただいたものですが、内容は、まあその通りです。陰謀論で固まっている人はしょうがないですが、とりあえず「無党派層」にアピールできればいいかな、と考えています。

(追記)
 アサド政権悪玉論と自由シリア軍悪玉論のどちらの情報がより正しいか?を判定する簡単な方法を書き忘れていました。どちらに殺害された子供、女性、老人(つまり明らかな非戦闘員)の映像が多いか?を比べることです。動かぬ証拠ですから、これがもっとも手っ取り早いですね。
 で、アサド政権による犠牲者・・・・優に500人分くらいはすぐに集められますね。
 片や自由シリア軍による犠牲者・・・・あれれ、1点も見つからない。あ、路上の爆弾テロのがありましたが、あれはおそらくイスラム過激派の犯行で、自由シリア軍はああいう連中は認めていませんね(FSAは犯行をアサド政権の自作自演と見なしていますが、それはあまり説得力がないことは上記レポートでも書いたとおり)。
 さて、どこか私の知らないサイトにあるのでしょうか? 反体制派も酷い!との主張があるなら、せめて子供たちの虐殺証拠映像の5点か10点くらいはないと話になりませんね。
スポンサーサイト
  1. 2012/09/25(火) 01:48:36|
  2. 著作・メディア活動など
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
<<尖閣戦争(?)に勝者はない(と思う) | ホーム | アレッポの外国人義勇兵>>

コメント

>反体制派悪玉論

 「Voice of Russia」など露系のメディアでしばしば見ますね.
 もっとも虐殺発生以降,さすがにそうした報道は,ずいぶん減りましたが.
  1. URL |
  2. 2012/09/25(火) 19:59:28 |
  3. 消印所沢 #4mozt85A
  4. [ 編集]

ロシアとシリアは同盟国ですから国(現政権)同士の信義則もあるので擁護しているし、簡単にシリアを切ると、他の同盟諸国のロシアへの求心力が失われると思っているからではないでしょうか。ただ、だんだんとロシアもシリアを庇いきれなくなってくると思います。
ところで、①個人が自由に行動することによって持続可能が社会が果たして実現するのか、②個人が思い通りの好きな人生を送れるのか、という二つの問題があり、そこで社会主義が登場したのですが、旧ソ連国民にとっては収容所社会と揶揄されたぐらい個人の自由の制限が抑圧と感じた人も決して多数派ではないけれどいましたね。学校でも、自由な高校がいいのか、規則の多い高校がいいのか、好きな方へ簡単に転校ができればいいのでしょうけれど。規則の多い学校には時として暴力で悪ガキをおさえたり、教室を黙らせる教師がいますが、アサド校長はそんな教師ばっかり雇ったのでしょうね。
黒井さんに質問があるのですが、30年くらい前のソ連と内戦がなかったころのシリアでは抑圧の具合はどっちがひどかったのでしょうか。当時と決定的に違うのはインターネットがなかったので、ソ連は不満があった人も多かったかもしれなかったけど、他の世界をそんなに知らないので、それなりに人生を楽しんでる人の方が格段に多かったように感じました。私が29年前にモスクワに行った時に、ある人を介して東京オリンピック重量挙げ金メダリストのジェボチンスキーさんに会ったことがあるのですけれど、西側の世界を知っている割にはソ連でも質素な身なりをしていて特に不満そうには見えませんでした。インターネットの普及があると、実は問題も多い隣の芝も青く見えてしまうというのもあるのではないでしょうか。調べてみると結構独裁国家も多いし、植民地もまだ多いですね。封建制国家→旧植民地(旧ソ連の国々)→独裁国家→民主国家というのが国家の進化論ですかね。独裁国家がみんな内戦を起こしたら地球が壊れますかね。ガンジーはやっぱり偉大だったですね。ふつうは暴力には暴力で抵抗しますね。ただ民主国家でも資本主義体制のカーストは資本家、頭脳労働者、肉体労働者という風になってて、抑圧はありますね。時々変なやつが現れて銃を乱射した李、列に車で突っ込んだり。日本は精神的抑圧が厳しいのか、福島原発事故があった時中国に帰った労働者の2割がやっぱり中国の方が生きやすいとして日本に戻ってこないと嘆いていた社長さんがいました。日本はサービスを受ける側は天国だけど、サービスを供給する側にストレスが溜まるようです。日本も中国に対してガス抜きで時々暴動すればいいのでしょうか。


  1. URL |
  2. 2012/09/25(火) 22:07:54 |
  3. A山 #-
  4. [ 編集]

所沢様
「Voice of Russia」は、もともと日本語スタッフはいるのでしょうが、それにしてもあの日本語版の充実ぶりは特筆に価しますね。
  1. URL |
  2. 2012/09/26(水) 17:03:16 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

A山さん 僕もチェルネンコ時代のソ連に行ったころがありますが、それは2011年3月以前のシリアより監視は厳しかったです。ただ、独裁者崇拝はシリアも徹底していて、批判なんかできません。ムハバラトは威張ってますし。
 要するに、殺されるぐらいなら奴隷として生き延びたほうがいい、ということなのでしょうが、奴隷の気持ちは奴隷になってみないと僕にはわかりません。刑務所も半年もいれば慣れるでしょうし、奴隷でも慣れれば慣れてしまうでしょう。
 それで奴隷として平穏な生涯を送れるかもしれませんが、それが幸福とは思えません。僕はたぶん奴隷は嫌ですね。もしも自由になれるチャンスがあるなら、多少のリスクがあっても賭けに出る気がします。リスクはリクスなので、運が悪ければ死にますが、それはそんなものじゃないかなと。
 シリアの場合は、人々は最初はよその国の成功例を見て、自分たちも平和裏に奴隷を抜け出せるものとの希望を持っていましたが、ご主人様に理不尽に仲間が殺されていきました。思わずカッとしたら、今度は家族まで殺されました。今は、そういう状況です。彼らに「もっと殺されるから、諦めて奴隷に戻りなよ」と言っても、誰も話は聞かないと思います。
 日本は、僕の認識では、世界有数の暮らしやすい国です。他にもいい国はありますが、旧ソ連やシリアやソマリアやナイジェリアやスーダンやリビアやミャンマーやアフガニスタンやイラクなんかと比べたら楽園といっていいと思っています。
  1. URL |
  2. 2012/09/26(水) 17:23:59 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

大陸試論

 黒井さんはラジオモスクワ(ロシアの声)のH寺チーフはご存じでしょう?もともと私がラジオモスクワに入ったのも黒井さんにどこかのパーティーでラジオモスクワでアナウンサーをやってたY口さんを紹介してもらったのが縁ですから。当時のラジオモスクワ日本人スタッフで現在も残っているのはたぶんH寺チーフぐらいしかいません。ロシア人ですが日本課のレーピン課長(当時)はお元気なのかどうかもわかりません。最も多い時でも当時せいぜい日本人スタッフは7名程度でした。ホームページの管理のため日本人スタッフを雇えるほど日本課の予算があるのかも疑問ですしさらに直接情報発信するHPを日本人にいじらせる可能性についても疑問があります。やはりホームページの管理はロシア人スタッフがやっていると思います。当時から日本人は翻訳者とアナウンサーのみで機器を扱う音響エンジニアはすべてロシア人でしたから。ラジオモスクワに生放送はなくすべて放送事故のない録音放送でしたし。
 以前シリアに新政権ができても良い政権はできないんじゃないかと私は書きました。シリア人だけでなく中国人やロシア人にも通じている後進的なものがあるとか、悪い意味でアサド的なものがガンのようにすでにシリア人に転移しているとかいうように注意深くレトリックを使用して書いたつもりでしたが、レトリックを誤って単にシリアは発展途上国だからダメだとか、私が意図したことを誤って読み取っていた方もいたようなので、これは私論でさらに試論ですが、説明させて頂ければ、これらの国々は13世紀モンゴル帝国に征服された国々です。恐ろしい虐殺も多く行われたし、その虐殺はほとんどが征服先の国々から徴兵された兵によって同じ民族か比較的近い民族によって行われたものです。なぜならモンゴル人は当時せいぜい200万人程度だったからです。またこの少ない人口でこの広大なユーラシアを治めていたのですから各民族に対して相当な相互監視システムをつくりあげていたことは歴史学者でなくとも容易に推測できます。大陸の人々はこうした精神的な負の遺産を継承しているので、同じ国の国民の間でも心の底ではお互いを完全に信用していません。簡単に言ってしまえば、この気質が親族しか信用できない同族企業的国家を建設してしまう後進性だと思います。これに対して日本は、一部に相互監視システムも歴史上みられますが、大陸ほどの過酷なものではなく、そしてモンゴルに征服されなかったこと、従順な集団主義の農耕民族であったことが幸いし、比較的お互い同士で信用する風土が生まれ、戦後は早く立ち直り、見た目上はすぐれた近代国家を建設できたのだと思います。それでも、封建制から解放された明治期については、その実態は下級武士団の完全な軍事独裁政権でしたが。
 Y口さんが帰国し、黒井さんも帰国。その後約5ヶ月間私はモスクワに残りましたが、その間、日本からノンフィクション作家でライターの方(女性)がやってきました。Fさんという方で、マンションが見つかるまで約1ヶ月間私のところに一部屋あいていたので居候していましたが、ある時「クロイさんって今モスクワにいるの?」と私に聞きますので、心の中で「なんだイケメン(当時はイケメンという言葉はありませんでしたが)のクロイを追ってモスクワまで来ただけか」と思ったので、私は「クロイのこと知ってるの?」と聞き返しました。「いれーぬで飲んでると時々クロイがって話している人がいるんで一度会ってみたかった」というのです。帰国したことを伝えると残念そうでした。彼女もその後ヒット作で出版社から賞をもらったり、たしか2年前ぐらいだったと思うのですが、池上彰のロシアについてのジャーナリズム関連の番組を見ていたら解説者として突然彼女が出てきたのでびっくりしたことがあります。この話は黒井さんにしたかしなかったか忘れましたが、ちなみに彼女は講談社のO君からの紹介でモスクワに来ました。個人的な話が多く失礼しました。
 最後に当時のソ連でも自分のことを奴隷とかまで思ってる人はさすがにそんなにはいなかったんじゃないですか。奴隷は自分の所有物なく人に所有される身ですからね。ただたしかイギリスのことわざに本当の紳士は自分のことを紳士と気づいていない、とのがありますが、本当の奴隷は自分を奴隷と思っていないということで、ソ連もそうだったのでしょうか。実は日本にも当てはまるような気がしますが。
                   
  1. URL |
  2. 2012/09/26(水) 19:34:52 |
  3. A山 #-
  4. [ 編集]

A山さん
 私はラジオモスクワはY口さんしか知りません。当時、IMEMOにいたS君の奥さんも短期間いたかもしれません。よくその辺の友人たち(FNNの特派員もいたのですが、お名前を失念)とは呑んだくれていたのですが、昔のことなので、かなり記憶が曖昧です。
 奴隷というのはもちろん比喩です。政治的には今の北朝鮮をぐっと官僚主義にした感じでしょうか。食うに事欠くまではそんなになかったと思いますが。ペレストロイカの頃はもうそんなではありませんでしたが、チェルネンコ以前はそれに近かったと思っています。スターリン=ベリヤ時代とかよりはマシになったとは思いますが。
 いろいろ考え方はありますが、私なら、ソ連時代のソ連とか、今の北朝鮮とかの労働者になるくらいなら日本のホームレスを選びますね。ホームレスが甘くないことぐらいわかりますが、北朝鮮に住むなんて真っ平御免です。
  1. URL |
  2. 2012/09/28(金) 12:23:40 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://wldintel.blog60.fc2.com/tb.php/927-6722521d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

月別アーカイブ

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。