ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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アレッポの外国人義勇兵

 アサド政権はしばしば「反体制派の中心は外国人のイスラム過激派のテロリスト」と宣伝しています。
 実際、海外からの義勇兵はいます。が、その数はたいしたことはありません。いまや反体制派の総兵力は3~5万人と推定されますが(カウントされていないので、どうしても推定値に幅があります)、まあせいぜい数百人です。
 それでも、なかなか報道されていない外国人義勇兵について、非常に興味深い現地ルポが出ました。
▽Syria: the foreign fighters joining the war against Bashar al-Assad(英紙『ガーディアン』:9月23日)
 同記事によると、義勇兵には義憤に駆られて馳せ参じたビギナーと、イラクやイエメン、アフガンやチェチェンでの戦闘経験豊富なイスラム兵士と両方いるそうです。記者はチェチェン人、トルコ人、サウジ人、パレスチナ系ヨルダン人、イラク人、パキスタン人、タジク人などなどと会っています。
 義勇兵はいくつかの民兵組織に分散していますが、その代表的なのが、「アフラル・アル・シャーム」(シリアの自由人)と「ジャブハト・アル・ヌスラ」(ヌスラ戦線)。後者はしばしば爆弾テロで犯行声明を出している組織ですね。こうした外国人義勇兵を、シリア人兵士は「トルコの兄弟たち」と呼んでいるそうです。
 チェチェン人はたいてい年長者で、戦闘服に山岳ブーツを履き、戦闘に慣れているとのこと。トルコ人は元兵士で、西側の兵隊の格好。タジク人とパキスタン人はいかにも貧しい身なりだったそうです。
 イラク戦争後にファルージャで米軍と戦い、イラクのアルカイダに入ったイラク人もいました。彼はシリア人の反体制派兵士の技量がダメダメなのを嘆き、「IEDと狙撃をもっと重視しないと」と言っています。なるほど米軍を狙った手口ですね。これはアサド政府軍からみれば「テロリスト」になるわけです。
 シリア人反体制派との衝突もあるようです。
 一例として、トルコ国境でのアル・ファルーク旅団とのイザコザの例が挙げられています(同記事ではアル・ファルーク旅団を「自由シリア軍のなかでもっとも統制され、武装レベルの高い部隊」としています)。イスラム外人義勇兵部隊(指揮官はシリア人)がトルコ国境にアルカイダの旗を掲げたため、アル・ファルーク旅団(これも基本的にはサラフィスト部隊)が「トルコ経由の必需品補給に悪影響するからやめてくれ」と言ったところ、外人義勇兵部隊のエジプト人幹部に「そのために我々はここにいる」と言われたそうです。
 記者が接触したアル・ファルーク旅団の指揮官のひとりによると、外国人部隊が略奪したのを止めたこともあるそうです。

 こういう連中が入ってきているのも事実です。反独裁の義勇兵はいいのですが、イスラム過激派とか山賊まがいの連中は迷惑ですね。怪しい輩がまったくいないというわけではないので、公平を期すために紹介しました。
 ただ、何度も書きますが、こうした話はシリア全土で行われている独裁VS民衆蜂起の中では、ハレーションのようなごく一部の話です。これで「反体制派はみんなこう」とか短絡的に思い込むと、陰謀論まっしぐらパターンに陥りますのでご注意ください。
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  1. 2012/09/24(月) 21:07:41|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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