ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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なめんなよ白人デモ&暴動

 これはまったく予想外でした。ユーチューブで流されたイスラム侮辱動画(映画というより、単なる動画ですね、これは)を引き金に、イスラム圏全土で反米デモが急速に拡大しています。
 反米といっても、米政府はそんな動画に責任はありませんから、イラク戦争の頃に吹き荒れた反米言説の隆盛とは違い、政治的な動機というより、気分的な「暴動」に近いものです。ウォール街占拠デモや世界各地で頻発する気分系のデモに通じる時代の流行かと思いますが、スーダンでは無関係のイギリスやドイツの大使館まで襲撃されています。宗教の問題になっていますが、その根底には人種差別の問題がある気がします。要するに「キリスト教徒=白人に対する反感」の暴発といっていいと思います。
 キリスト教徒の白人がイスラムを侮辱した⇒白人どもは許せん、ということなのでしょうが、これは意外と根が深いと思います。日本では白人の総数が相対的に少ないので、白人が日本人を下に見下すといった空気はほとんど感じられませんが、イスラム圏では明らかに白人が地元アラブ人(あるいはイラン人、トルコ人、パキスタン人なども)より上位の人種と認識されています。つまり、地元の人々は白人に見下されていると感じていて、心の底には誰もが大なり小なり反感を持っています。
 今回のデモや襲撃は、それで何か状況を好転させるいうことは考えられないので、米政府が火に油を注ぐような実力行使などをしなければ、ひとしきり流行した後はやがて収束していくものと思いますが、ここしばらくは流行現象として拡大しつづける可能性が高いでしょう。
 いまや制度としての人種差別は先進国ではなくなりましたが、社会の深層からそれが消えたわけではありません。たとえば、欧米に留学したアラブ人の男子は、相当イケメンでも白人のギャルたちにモテモテとはなりません。9・11の首謀者だったハリド・シェイク・ムハマドも、実行班リーダーだったムハマド・アタも、欧米留学組ですが、もしも留学先でギャルにモテモテで、一切の心理的差別を受けない留学生活を送っていたら、テロリストになったかどうかはわからないと思います。
 何年か前にロンブー淳さんのラジオ番組に、9・11テロをテーマに呼んでいただいたとき、好きな曲をリクエストしてよいということだったので、当時流行していたカール・ウルフの曲を選んだことがありました。彼はレバノン出身でドバイ育ちのネイティブ・アラブ人で、後にカナダに移住して成功したR&Bシンガーです。従来、アラブ系の俳優やミュージシャンは欧米の芸能界では異形扱いのポジションだったものですが、カール・ウルフは完全にイケメン系シンガーとして認知されていました。私は、アラブと欧米の垣根を取り払うには、カール・ウルフのような存在こそが希望であると思っています。
(ちなみに、私たち日本人はもちろん東洋人の風貌ですから、アラブ系よりもっと異形のポジションになります)
 いずれにせよ、今回の反米デモは気分的なものなので、大規模動員をかけられるほどのエネルギーというのは、そう長くは続かないと思います。根っこの部分はしぶとく火種が残るでしょうが・・・。
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  1. 2012/09/15(土) 02:01:02|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

>その根底には人種差別の問題がある気がします。要するに「キリスト教徒=白人に対する反感」の暴発といっていいと思います。

黒井先生は宗教を軽く考え過ぎている。

勿論アラブ世界に人種差別が無いとは言いません。アラブ人の中にも白人や褐色や黒人がいてマルコムXの自伝に書かれている事に反して彼らの中でも序列が有ります。

ただ、これは別に白人でなくとも例えばアフリカの黒人とか東洋人が同じ事をやれば同じ結果が生まれる。むしろ偶像崇拝者の東洋人がやればキリスト教徒以上に酷い事になるだろう。

>もしも(9・11の首謀者だったハリド・シェイク・ムハマドも、実行班リーダーだったムハマド・アタが)留学先でギャルにモテモテで、一切の心理的差別を受けない留学生活を送っていたら、テロリストになったかどうかはわからないと思います。

これにはガックリと来ました。留学なんて所詮は住居と図書館との往復の毎日で会うのは比較的進歩的な教員や学生達です。

その社会の本当の差別に会う事はむしろ滅多にありません。会うとすれば外国人労働者や移民という形でいったアラブ・イスラム圏の人々でしょう。

イスラム原理主義に入るエリートは自己のアイデンティティーを真摯に求めた結果そうなったので女の子にもてようがもてまいがそんな事は直接関係無いと思います。

逆に白人の女の子と付き合う事によって文化的な疎外感をより深く持つ事だって有りえますよ。アラブ人が女性に期待している事が自由社会で育った白人女性からは得られる訳が無いですから。

それに宗教的なイスラム教徒というのは本当に自制的で隣に水着の白人女性が居てもそれを見ない様にする。私なら嘗め回す様に見ますが(笑)。
  1. URL |
  2. 2012/09/15(土) 21:32:36 |
  3. 道楽Q #-
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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