ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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不思議の国の防衛論争

 今号の巻頭言に、「不思議の国のテロ特措法『攻防戦』への疑問」という一文を書きました。紙幅の関係であまり突っ込んで書けなかったので、少し補足を……。

 これまで何度か書いてきた「例えば」の話をしましょう。
 例えば、兵庫県で山口組が兵庫県警をやっつけてしまった、とします。当然、大阪府警とか近隣の県警が兵庫県警の応援に出ることなりました。けれども、日本中のヤクザが山口組を支援するために結集。ついには東京・警視庁をはじめ、日本全国の県警から機動隊が投入される事態になっちゃった、としましょう。しかも、警察官の殉職者が瞬く間に数千人規模に!
 ところが、たとえば鹿児島県警では、「他県のことには手を出したくないので、県警機動隊の車両だけ兵庫県警に貸しましょう」ということになりました。ところが、警察官10人を殺した凶悪な組員が県境を越えて大阪府に逃げ込んだのを追って、その車両が大阪府に入っちゃったかもしれないという疑惑が飛び出しました。それで「兵庫県内だけという約束はどうなった!」と鹿児島県公安委員会では大騒動に。ついには、「ウチの車両は引き揚げろ!」ということになりました。
 もちろん地元県議会議員のなかには、「そんなことをしたら、鹿児島県だけ仲間外れにされる」「何かあったときに他県警が助けてくれなくなる」という意見も。「警察庁が正式に命令したときだけ出動すべきだ。そのときは車両だけじゃなくて、ちゃんと機動隊員も出すべきだ」「それで鹿児島県の警察官が死んだらどうする? 危なくない車両提供がいちばんいいのだ!」と大激論は続きました……とさ。

 ま、普通に考えると、ヤクザ連合軍と交戦中で殉職者続出の大阪府警や兵庫県警からすると、「どうでもいい話」ですね。

 ところで、給油支援の論争で興味深いのは、「親自衛隊派の人たちが日米同盟重視」という立場でいることです。鹿児島県警の車両提供と同じで、自衛隊の給油活動なんて瑣末なことです。それでアメリカ人が「日本は同盟国だ」なんて考えるでしょうか? かたや何千人も殉職している国からすれば、少なくとも1000人くらいの自衛隊員が戦死しての同盟国なのではないでしょうか。
 結局、アメリカ人からすると、「日本は軍事的庇護の見返りに基地を提供している国」以外のものではないのではないかと思うのです。同盟の意味なんて、そんな程度ではないかと。
 ということはですね、「もっと日米同盟を!」と言うことは、「自衛隊員殉職すべし!」と言っているように聞こえませんか(もちろん極論ですけど)。
 まあ、いろいろ考え方はあるのでしょうが、アメリカ人目線で考えると、そんなふうに思えてしかたないわけであります。もちろん鹿児島県内の事情だって鹿児島県民にとっては大事なことではあるのでしょうが・・・。
 ちなみに、私の個人的意見としては、鹿児島県警は殉職者を出しても機動隊員を前線に提供すべき、という考えです。たとえば「大阪府警の戦争だ!」との批判に対しては、日本中の警察がものすごい数の警察官を投入すればいいのではないかと。イラクだって、アメリカやイギリスばかりがメインになるのでなく、世界中の国がこぞって大部隊を投入していればよかったのになあ、と思います(現実には難しいでしょうが)。
 小沢一郎氏の政略的・屁理屈的「ISAF参加論」は集中砲火状態ですが、小沢政略はどうでもいいとして、アフガンに自衛隊を出すことは、たとえ殉職者が出たとしても、人類として意味のあることではないかと。できれば、スーダンのダルフール紛争あたりに陸自の大「戦闘」部隊を投入し、民兵どもを蹴散らすくらいのことをしてくれればなあ、なんて考えたりもするのですが……ヘンでしょうか?
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  1. 2007/11/03(土) 11:08:33|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

ご意見ごもっとも、と思います。
私は根本的な問題が先に解決されるべきだと思います。
つまり「憲法改正」とそれに伴う「自衛隊の地位向上」です。

またアメリカの思惑とは別に、日本として対テロ戦争をどの程度の覚悟でやるのか?
ペルシャ湾は大事な石油ルートですが、じゃあマラッカ海峡の海賊はどうするのか?
アメリカが撤退したら、日本も看板を降ろすのか?

ダルフールの紛争解決に自衛隊を出すのは、日本独力で国際紛争解決に乗り出す、ということでしょう。
それは遥か彼方の、でも到達目標としては魅力的な「夢」でしょうね。
  1. URL |
  2. 2007/11/03(土) 15:44:41 |
  3. sin #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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