ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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戦場取材について

 先週、危険地帯に記者を派遣しない(正確には、記者の取材を禁止している)日本の大手マスコミ各社を批判しましたが、その2日後に山本美香さんが亡くなりました。それでも私の意見はむろん変わりません。かの国ではすでに2万3000人が殺害され、明日も明後日も多くの人が殺害され続けます。メディアがそれを伝えるのは自然なことだと思いますし、それで記者が危険に晒されるのもやむをえないことだと思っています。今回の事件によって、さらにシリア反体制派従軍取材が各社でタブーとなるなら、余計に残念に思います。
 私は山本さんとは一度お会いしただけですが、共通の知人が多いこともあって、私の周辺ではやはり話題になっています。その後、佐藤和孝さんのコメントや彼らの映像公開などによって、状況が明らかになってきましたが、元同業者としての目線でみると、絶妙な時期に核心の場所に、効率よく、しかもセオリー通りの安全確保策を講じて現地に入ったジャパン・プレスのプロフェッショナル度が際立っています。戦場ですから、そこはリスクが付きもので、今回は不幸な結果となりましたが、今あの地点に到達していたのは流石です。
(あまり知られていませんが、紛争地取材は何より「最前線に到達すること」が非常に難しいものです。それなりの嗅覚や交渉術が必要で、そこはそれなりに場数を踏まないと身に付きません)
 ただ、戦場取材者を特別視するような報道のされ方には、個人的には違和感を感じます(むろん各人のお仕事には最大限の敬意を表しますが)。
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  1. 2012/08/24(金) 19:42:27|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:12
<<狙撃される日常 | ホーム | 基本的に「シリア革命は反独裁闘争」>>

コメント

>絶妙な時期に核心の場所に、効率よく、しかもセオリー通りの安全確保策を講じて現地に入ったジャパン・プレスのプロフェッショナル度が際立っています。
>今回は不幸な結果となりましたが、今あの地点に到達していたのは流石です。

まあ、そうなのかもしれませんが、シリア側から見れば敵意を持ったしかも密入国です。

理解出来ないのは弾が当たる様な場所でカメラを回し続けていた事。

軍命令じゃあるまいし、しかも写されている方から見れば情報が取られる訳でもある。

山本美香さんは最終的には相手が撃って来ないという確信でも有ったのだろうか。

それが人間に対する信頼からだとすると余計に悲しい。

シャッビーハーが天使ではないと分った事だけが山本さんの死の代償なのだろうか。
  1. URL |
  2. 2012/08/26(日) 00:27:04 |
  3. 道楽Q #-
  4. [ 編集]

 ジャパン・プレスのお二人は、相手が撃ってこないと思っていたわけではなく、それを想定し、自由シリア軍の一部隊に従軍取材していました。これは戦場取材のセオリーどおりで、戦場ジャーナリストなら誰でもそのような方法をとります。アレッポではすでに多くの外国人ジャーナリストが同じような方法で同じような状況を取材し、無事に帰還しています。
 部隊に従軍すると、危険性もその部隊と共有することになります。自由シリア軍は損害率が高いので、彼らに従軍して前線に出ること自体が危険なことですが、皆そういうことは承知して仕事をしています。
 佐藤さんや山本さんのお考えは存じませんが、一般に、現役時代の私もそうでしたが、とくにコンバット・フォトグラファー系のカメラマンなどは、撃ち合いの現場に立ちたいと願うものです。これは欧米系の戦場ジャーナリスト業界では、とくに極端な考えではないです。私はそれが良いとか悪いとか言うつもりはなくて、各人それぞれの考えでいいと思っています。
  1. URL |
  2. 2012/08/26(日) 09:08:24 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

なぜ最前線に行く必要があるのでしょう?
政府と反政府と戦いという前提ですよね?何を確認し、取材するために戦闘の現場まで行くのですか?残虐な戦闘シーンをとらえる為ですか?
我々が知りたいのは一般の方がその戦闘に対して国に対して思っていること。現地に暮らす人々の意見が聞きたい。
いろいろな報道があるにも関わらず、いつも戦況や軍事介入するしないとかで、どうして一般市民の声を誰も取材してくれないのか。
反政府が正しいというなら、反政府が制圧している地域の住民がどう思ってるかとか生のインタビューがあっても良いのに。
それとも都合が悪い何かがあるんですかね、と思ってしまう。
まともな神経してたら、人が殺されたシーンを何度もインターネットやテレビで垂れ流しにして、だから武器を持って戦うんです協力してください、ってのはおかしいと思う。
殺られたからやり返すとかじゃなくて、そもそもどんな具体的な政府のやり方が間違っていて、国民が具体的にどんな被害にあって、反政府軍はどんな信念があって内戦をしているのか、そういう大切なことをまずきちんと報道していただきたい。
  1. URL |
  2. 2012/08/26(日) 22:01:18 |
  3. 匿名 #-
  4. [ 編集]

 コメントありがとうございます。きっと貴方と同じ考えの方もいらっしゃると思いますし、貴方の望むような報道も、英語メディアなどまで探せば、いろいろあると思います。
 ただ、私と同じ考えの人もいます。報道に関わる人々も、それぞれ自分の考えを持っていて、他人が別の考えを強制することはできません。私はもともとコンバット・フォトグラファー志願組だったのですが、最前線至上主義だけが正しいなどとはまったく思っていません。
 1点だけカン違いされているのは、インターネットで残虐なシーンが発信されているのは、「証拠」のためです。そのため、現地の方々は命がけで撮影し、発信しています。私は自分なりの情報収集・分析に基づき、アサド政権の嘘を指摘・糾弾し、現時点では反政府側を支持することが正義だと確信していますので、微力ながらこのようなブログを書いています。
 これが単なる権力闘争であれば、双方の言い分がどうのという話もわかるのですが、残虐な独裁に対する叛乱なので、どちらが正義か(現時点では、ですが)は明らかというのが私の認識です。現地の声をそこそこ拾ったうえでの、非常に自信のある強固な認識です。
 あと、私の認識では、シリアの現状は「やられたらやり返す」という甘い状況ではなく、「やらないと殺される」というレベルになっています。
  1. URL |
  2. 2012/08/27(月) 02:12:57 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

黒井先生、しかしそれだと戦場ジャーナリストのリスクは一般兵士よりも高いということになる。一般兵士は別にカメラで映像情報を取る訳ではないし、自身守る武器を保持している。軍の情報隊員にしても自身が武装しているか仲間の援護を受けている。対して戦場ジャーナリストは「敵」を見つけても攻撃しないし自身を守る武器を保持していない。しかも、「味方」からも金で動いていると見做されて連帯感がある訳ではないのでちゃんと警護される保証も無い。反体制派に政治的利用されて捨てられて終わる。

これでは偽善的な平和主義の戦後日本の企業メディアが社員を現場に送れないのは当然ですね。そして、下請けの冒険野郎にリスクを回す。

ジャパンプレスなんて団体も出来たようですが国家が日本人ジャーナリストの名誉を守り遺族の生活保障をする様な事が出来れば良いのですが。
  1. URL |
  2. 2012/08/27(月) 22:42:17 |
  3. 道楽Q #-
  4. [ 編集]

 戦場の、通常の戦線であれば、ジャーナリストが兵士の前を行くということはあまりないので、リクスはやはり兵士よりは小さいです。私の場合はボスニア戦線の砲撃戦で負傷しましたが、その場では兵士もジャーナリストも前線基地の下働きも皆、同じリスクでした。(今回のようにいきなり急襲を受けるパターンも、一斉乱射戦になるので、アタマの数秒間のリスクは、兵士も記者もほぼ同じ。しかももっとも危険です)
 マスコミについては、あれは責任問題回避です。ですが、下請けの冒険野郎は実際のところ、それで仕事にありつけるわけなので、そのほうがありがたいわけです。 
  1. URL |
  2. 2012/08/28(火) 04:53:41 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

「冒険野朗」という表現は不適切でした。戦場ジャーナリストを貶めたりする意図は全く御座いません。筆の滑りというかキーボードの滑りです。ただ山本美香さんの様な人は稀有の人材だけにもっとリスクを減らす事は出来ないものかと想像を巡らせてみました。
  1. URL |
  2. 2012/08/29(水) 22:29:28 |
  3. 道楽Q #-
  4. [ 編集]

 山本さんはもちろん違いますが、少なくとも現役時代の私などは完全に「バカな冒険野郎」のカテゴリーでした(「バカな」と書くのは、ちゃんとした冒険家に失礼だからですね)。もっとも、当時、私の知っている戦場ジャーナリストの方々は、私と違ってしっかりした使命感のある立派なジャーナリストであっても、どこかに冒険野郎の部分を残した人が多かったと思います。
 しかも、そんな冒険野郎たちにとって、マスコミの「下請け」にありつけるフリーは、いわば超エリートで、羨望の的でしたね。
  1. URL |
  2. 2012/08/30(木) 03:20:55 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

一つだけ質問させて下さい。

このような急襲攻撃に巻き込まれたジャーナリストが、9発もの弾丸をその身に受ける
ということは一般的なことなのでしょうか?

素人ですので、少し奇異な感じを受けるのですが・・・
  1. URL |
  2. 2012/09/05(水) 13:01:18 |
  3. 匿名 #-
  4. [ 編集]

 さまざまな可能性があり、明確にはわかりません。
  1. URL |
  2. 2012/09/06(木) 13:12:58 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

そうですよね。

御冥福をお祈りするのみです。
  1. URL |
  2. 2012/09/06(木) 17:06:21 |
  3. 匿名 #-
  4. [ 編集]

戦場取材の事情について興味深く読ませていただきました。

マスコミの報道を見て感じたのは、遺族の姿を映すなど山本さんの死を感傷的に演出しているというだけの事でした。
内戦の構造や大国の利害が絡んだ国連の対応について掘り下げたものは皆無でした。
日本のマスコミは、アメリカの軍事介入を批判する以外は内戦には興味がないんでしょうかね?

山本さんの行動の是非については自分には判断材料が少なすぎて何とも評価しがたいんですが
これでは一体何のために取材してたのか?と疑問に感じました。
  1. URL |
  2. 2012/09/11(火) 02:07:01 |
  3. 匿名 #-
  4. [ 編集]

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黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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