ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

基本的に「シリア革命は反独裁闘争」

 山本美香さんの事件で、シリア情勢が注目され、いくつかメディアの方から質問などもいただいたのですが、どうも「外国の思惑」でシリア情勢が動いているかのような誤った印象をお持ちの方が多いように思います。
 それも全体の中の一部としてありますが、基本的な構造は、「アラブの春」の影響を受けて、現地の人々が独裁に「ノー」と言って立ち上がったということになります。
「自由シリア軍は外国の手先ではないか」との疑いを持っている方もいらっしゃるようですが、これも違います。彼らは逃亡兵を中心に、ささやかな抵抗運動を、長い長い時間を耐えて、自らの屍の山を乗り越えて戦い続けてきた勇気ある人々です。「思惑」などといった打算でやれるほど甘い世界ではありません。それはさまざまな人がいますから、なかには怪しいグループもいますが、今のところそういうのはほんの一部です。
 こうしたことは、現地の一般社会にそこそこ情報源があればすぐにわかることなのですが、どうもネットなどの陰謀論的な話が流布していて、全体像を見えにくくさせている気がします。
 また、「外国人ジャーナリストだから狙われたのか?」と考えている方もいらっしゃるようですが、違います。彼らは日常的に殺し合いをしていて、そこに記者がいても手加減などしないということです。
 この「記者を狙う」という話は、「レイプ多発」と同じく、戦場で拡散する都市伝説の典型例です。ほとんどの場合は噂の再生産にすぎません。

(追記)
ロイター日本版の記事⇒
▽シリア人報道関係者の犠牲54人に、政府軍が記者狙う方針か
 タイトルが少々ミスリードですね。山本美香さんのケースとはまったく違う話です。
 まず、この記事のいう「記者」の方々というのは、最前線で情報収集・公開活動を決死の覚悟で続けている地元の「活動家」の方々です。2万3000人が殺害されている戦場ですから、彼らが戦闘に巻き込まれる危険は非常に高いですね。
 それに、彼らの活動はアサド政権からみれば敵対行為ですから、たとえば市民記者らの電波発信源を探知されれば、政府軍の攻撃を受けることもあります。そういう意味では彼らは政府軍の標的でもあります。
 さらに、彼らは活動家ですから、治安部隊や秘密警察による暗殺・拉致の対象になります。上記記事のケースは、おそらくそのひとつなのではないかなと思います。

(追記2)
 AFPによれば、山本さんは昨年3月以降、シリアで殺害された4人目の外国人記者だそうです。シリア政府が外国人記者をとくに標的にしている・・・ということはないですね(これはべつに極悪シリア政府の肩を持っているわけではありません)。
 山本さんが銃撃される直前、男が「日本人だ!」と叫んでいたとして、「日本人記者だから狙い撃ちされた」との説が出てきています。該当の映像を何度も見直しましたが、言葉がはっきり聞き取れず、日本人=ヤバーニーと言っているとは断定できません。仮に日本人だと叫んでいたとしても、その一瞬後に銃撃が開始されていますから、タイミング的にも、日本人だと認識されたから撃たれたということは考えられません。
 戦場では、自分の身を守るためにも、必ず敵のガンマンをまず狙います。山本さんの周囲には自由シリア軍の兵士がいましたから、襲撃者は彼らをまず狙ったはずです。山本さんはやはり銃撃戦に巻き込まれたものと考えていいでしょう。
スポンサーサイト
  1. 2012/08/23(木) 00:50:22|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
<<戦場取材について | ホーム | シリア諜報機関司令官死亡情報>>

コメント

実際現地に赴いて見てきたわけでもないのに断定的な物言いをする理由が良くわかりません。あなたのブログを見てああそうなんだと思ってしまう人もいるかもしれない。何故そうなのかと両方の立場に立って考えられない人は良い答えを見つけられないと思います。反政府が正しいような意見を言う人は排他的な発言が多い。だから不信感を覚えてしまう。やらなきゃやられるとかそういうことではなく、まず、どのような信念を持って反政府派というのは政府と戦っているのかが知りたい。
あなたは証拠と言ってご自身の家族や恋人の殺害されたシーンやその酷い痛いをテレビやインターネットで流すと言うのですか?
  1. URL |
  2. 2012/08/27(月) 22:32:36 |
  3. 匿名 #-
  4. [ 編集]

 すでに私の立場は何度か書いていますが、繰り返します。
 一般論として、戦争・紛争ではどちらのサイドにも加害性と被害性が並存している場合が多いことは事実です。私も長年紛争取材をしてきましたので、そのくらいのことは当然、承知しております。なので、現地の事情をよく知らない方が、一方的な情報や言説を疑ってかかるのは当然だと思います。
 それでも私が今回、このような立場に立っているのは、現地の事情についてそれなりに情報収集・分析を尽くし、確信を持っているからです。
 上記したような一般的な国際紛争と、サダム・フセインやカダフィ、北朝鮮のような独裁への叛乱は、まったく事情が違うというのが、私の経験上の認識です。これもすでに書いていますが、日本の方には、シリア=北朝鮮と考えていただけるとわかりやすいと思います。仮に金正恩体制に反対する一部の民衆蜂起を政権側が弾圧し、内戦化したと想定した場合、「米帝国主義の陰謀から主体思想を守るための戦いだ」という立場もあるかもしれませんが、私には論外です。シリアと北朝鮮は、北朝鮮のほうが独裁度が若干高いですが、恐怖体制を基盤とする秘密警察国家という国のしくみは同じです。
 遺体の映像については、自然災害とは違い、理不尽な被害を受けた人々は、その事実を誰かに訴えたいとの強い意志を持っている人が少なくありません。私の経験上、戦場でも「撮ってくれ」という人がたくさんいたのは事実です(全員ではありませんが)。シリアの場合は、官製報道では事実が隠蔽されるため、私の知る限り、住民の多く(大多数といっていいと思っています)は、こうした映像を世界中に伝えてほしいと願っています。
  1. URL |
  2. 2012/08/28(火) 04:34:36 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

シリアはシリアです。何故北朝鮮のことを引き合いに出すのかわかりません。北朝鮮にだってアメリカや欧米にだってシリアにだってまともな考え方を持つ人、ちょっとかたよった考え方をもつ人、いろんな人がいるでしょう。私には反政府側の知り合いも政府側の知り合いもいません。参考にできるのはテレビやインターネットにある情報のみですが、少なくとも私が拝見させていただいた範囲のものでは反政府側からの視点での意見は断定的、排他的な意見が多く、印象としてものの考えたよりがあるようにきこえる。独裁って言い方は悪い印象があるけど、具体的に国民の皆さんはアサドさんの政治のどのようなところに苦しんでいて、反対側はどのような改革をのぞんでどのような政治理念を持ってお互いを傷つけ合うほどの事態に発展したのかが知りたかった。100%の人が納得する政治ってとても難しいというか、可能かどうかもあやしい。
いろいろ長く言いたいことだけ書いてしまって申し訳ありません。
よくよく考えたら、国内では震災や原発ここ最近の豪雨などの被害で困っている人がたくさんいると思うので、まずはその事から考えるべきですね。
ただ、そうした国内の状況があるなか日本が他の国の戦争、内紛に例え資金援助だけでも加担をしないことを祈ります。
  1. URL |
  2. 2012/08/28(火) 12:11:48 |
  3. 匿名 #-
  4. [ 編集]

匿名は全然黒井先生の記事を読んで無く要はイチャモン付けただけか。シリア反政府側が偏って政府側がまともだと?匿名は朝鮮総連のシンパの馬鹿左翼だな。
左翼による意図的風評被害に苦しみ三十万人以上もが県外に出ざるを得ない福島では誰も死んでいない。一方でシリアでは二万人以上死んでいるという事だ。だが日本赤軍を保護したのでオマエら左翼はシリア好き。化石資源の無い日本で原発無しにどうやって安定的に電気を供給するんだ馬鹿。地球人口は毎年一億人増え続け五年後には化石燃料の生産量はピークに達する。今後ますます化石燃料を必要とする発展途上国との資源争奪戦で地獄だよ。電気使うなアホ!
  1. URL |
  2. 2012/08/29(水) 22:21:03 |
  3. 道楽Q #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://wldintel.blog60.fc2.com/tb.php/880-d7cbf6fd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




最近の記事

最近のコメント

カテゴリー

月別アーカイブ

最近のトラックバック

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。