ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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『カルロス』

 フランス映画『カルロス』の試写会に行ってきました。上映時間5時間半の大作ですが、物語に引き込まれて、あっという間に時間がすぎました。カンヌでも上映されたそうですが、掛け値なしに傑作です。
 ストーリーは表題どおり、70~80年代の伝説のテロリスト「カルロス」の生涯を追ったものです。登場人物や事件はすべて実話なので、この映画で東西冷戦時代を学ぶこともできます。
 たとえば、こんな人物や組織が出てきます。
 ワディ・ハダド、PFLP、黒い九月、革命細胞、日本赤軍、ETA、アハマド・ザキ・ヤマニ、KGB、ユーリー・アンドロポフ、シュタージ、ハンガリー国家保安局、シリア空軍情報部、ムハマド・アル・フーリ、フランス国土監視局、フィリペ・ロンド、CIA、ハッサン・トラビ・・・・。

 カルロスのテロ活動とその背景、上記した登場人物や組織、最後のカルロス拘束の経緯などはだいたい知っている話だったのですが、私がいちばん注目したのは、ワディ・ハダドやカルロスとKGBの関係です。ハダドやカルロスがKGBと接点があったことはわかっていますが、彼らが「最初からKGBの工作員だったのか否か?」が謎です。
 映画でも、アンドロポフKGB議長とカルロス、ハダドがバグダッドでイラク軍幹部らと同席した会議のシーンがありますが、どうもハダドやカルロス自体は、かなり自己裁量で活動しているように描かれています。いわばフリーランスの傭兵で、その都度、スポンサーを自分から見つけているのですね。KGBとの関係はそれほど深くない印象です。
 ただ、東欧の諜報機関内で「カルロスはソ連留学していたが、もとからKGBと関係があるのかどうかはわからない」と話し合われているシーンがあります。おそらく実際に当時の世界中のインテリジェンス機関はその点を知らなかったと思われますし、現在に至るもはっきりわかっていないということでしょう。

 ところで、面白いのは、役者さんたちが皆、本物によく似てること。もともと似ている役者を起用しているうえに、雰囲気もよく再現しています(私もオリジナル人物の動いている画をみんな知っているわけではありませんが)。
 なかでも、カルロス役のエドガー・ラミレスは本物の雰囲気そっくり。しかも、本物のカルロスの変遷に合わせて、どうやったか不思議ですが、精悍なマッチョ体型とブヨブヨ肥満体型を両方作ってます。『チェ 28歳の革命』で、戦死するゲリラ指揮官を演じた役者です。
 プロフィールを見ると、なんとカルロスと同じベネズエラ人(しかも、カルロスの本名もラミレスで同じ)。父親が軍の海外駐在武官で、子供の頃から海外を転々とし、5ヶ国語を話すそうです。実際、『カルロス』内でもいろいろな言語を自在に操っていますが、まさにカルロス役にうってつけの役者ですね。
 監督はオリヴィエ・アサイヤス。フランス映画界の巨匠だそうです(すみません。現代フランス映画の世界は詳しく知りません)。
 ちなみに、日本赤軍によるハーグ事件(フランス大使館占拠)も出てきます。和光晴生、奥平純三、西川純と、奪還される山田義明。当たり前ですが、みんな若い(!)。ちょっとマヌケに描かれていますが、実際にそうだったのでしょう。

 とにかく冷戦時代は面白いです。皆様もぜひ。公開はちょっと先ですが、9月1日から。ただし、渋谷のイメージフォーラムと吉祥寺のバウスシアターのみの上映だそうです。
▽『カルロス』オフィシャルサイト

 なお、公式ガイドブックの巻末に「関連本」というページがあって、テロ関連解説書がズラズラと紹介されているのですが、カルロスやワディ・ハダド、あるいは上記した人物や組織を網羅した拙著『世界のテロと組織犯罪』が見当たらず・・・・残念!
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  1. 2012/08/07(火) 12:39:28|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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