ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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北が小型起爆装置完成か?

 まだ真偽不明の段階ですが、韓国紙『朝鮮日報』が、驚くべき情報を報じました。北朝鮮の李英鎬・総参謀長が解任された際、崔竜海・軍総政治局長配下の兵士団が李英鎬を連行しようとしたところ、李英鎬の護衛兵士グループとの銃撃戦になり、20人余りが死亡。李英鎬自身も負傷したか死亡した可能性がある、との情報を韓国政府が入手し、確認中であるというのです。
 李英鎬解任は、おそらく張成沢=崔竜海ラインで画策され、最終的に金正恩が了承したものと思われますが、現在、軍部はかなりの緊張状態になっていると推測されます。
 なお、ロイター通信北京支局が「中朝関係筋」からの情報として伝えたところによれば、李英鎬は経済改革に反対したため、金正恩と張成沢によって粛清されたということです。また、金正恩政権は、軍から経済の統制権を取り戻すため、特別機関をすでに設置したということです。
 こうした情報を総合すると、金正恩政権は、亡父が進めていた先軍政治から、党中心に経済改革を進める中国方式を取り入れる方針だというのは、そのとおりなのではないかなという気がします。金正日路線を変更するのは、あの国ではなかなか難しいことだったはずですが、そこは張成沢と金正恩の考えがおそらく一致したのではないかと思います。
(ちなみに、TBS「ひるおび」で何度もご一緒させていただいた料理人の藤本健二さんが、金正恩から招待を受けたとのことで、平壌に向かいました。藤本さんは基本的には金正恩を評価していて、すでに金正恩が中心になって政権は運営されており、必ず改革政策をとるはずだと指摘されてきました。今回の招待は、まさにそんな経済改革路線をアピールする意図が金正恩側にあるのかもしれませんが、そこはよくわかりません)
 
 さて、それはそれとして、軍事はまた違う話で、ここからは情報が少ない現時点では突飛な仮説になりますが、北朝鮮はもしかすると、プルトニウム型核爆弾の起爆装置の小型化にある程度成功し、その実験の準備に入った可能性があるのではないかという気がしてきました。というのも、以下のような話が出てきたからです。
 まず、今月16日、北朝鮮は、金日成の銅像破壊などのテロ計画を摘発したと発表。続いて19日に、平壌で元脱北者と自称する男が記者会見し、「韓国側に買収されて北朝鮮国内でのテロ計画に関与した」と語りました。韓国政府は否定しましたが、この男が脱北者だったことは認めています。
 さらに20日、今度は北朝鮮外務省報道官が、そのテロ計画の背後にアメリカがいたことが明らかになったとして、それを口実に「核問題を全面的に見直さざるを得なくなった」と発言しました。アメリカ批判は常套手段ですが、いまこの時点で「核問題の見直し」に言及した点が非常に気にかかります。
 いくつかのメディアでは、「アメリカに北朝鮮への敵視政策の変更を迫るためのブラフ」との解説がされていますが、必ずしもそうは言い切れないと思います。

 私はかねてから指摘していますが、北朝鮮は一貫して核ミサイルの開発に邁進しています。それは独裁政権存続のためには最重要なもので、金正恩政権になったからといって、簡単に放棄されるとは思えません。たとえ前述したように、金正恩政権が緩やかな中国式の経済改革を進めようとしたからといって、北朝鮮が自国の当然の権利と考えている核ミサイル開発をやめるという理屈にはなりません。これは、北朝鮮側からみれば、軍事上の合理的な判断であり、金正日の遺訓がどうのという精神面の理由とは別の話です。

 で、金正恩政権内の権力闘争がどうなろうと関係なく、核ミサイル開発の技術は日々進んでいます。中でも最重要課題として取り組んでいるはずの小型起爆装置の開発は、かなりのレベルまで到達している可能性がきわめて高いと推測します。
 となれば、北朝鮮は必ずその核実験を実行すると思います。私は今年4月の金日成生誕100年行事の頃に、政治的理由で核実験をすることはないだろうと予測しましたが、それとは別に、軍事的理由で技術的に必要となった時点で、北朝鮮は躊躇なく核実験を行うとかねてから予測していました。
(ただし、濃縮ウラン型は軽水炉発電のための平和利用との理屈で動かしていますので、まだしばらくはウラン型核武装への野心は偽装していくと見ています)

 もっとも、その際、勝手に核実験しては、また国際社会の批判の集中砲火を浴びることになります。なので、そこはタテマエ上、自国の当然の権利として核実験を行うのだという理屈を通す必要があります。これは国際社会、というか実際のところ北朝鮮の核実験に反対している中国への配慮が重要だからです。
 なので、私は基本的に、北朝鮮当局者が「自国の当然の権利としての核開発」というような理屈を持ち出してくるのを警戒しています。こういう話を持ち出すのは、必ずしもブラフとはいえず、むしろ実際の核実験のための布石である可能性があるからです。
 北朝鮮という国は、とにかくどういうことをやってくるかわかりません。しかし、ここで唐突に「核問題の見直し」という危険信号が出現したことには留意する必要があると思います。
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  1. 2012/07/20(金) 23:16:36|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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