ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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アサド側近の面々

 シリアの政治権力はバシャール・アサド大統領に集中しています。2代目独裁者のバシャールは、性格的には取り巻きの意見をよく聞くほうだとも言われていますが、いずれにせよ最終決定権はすべてバシャールに集中していて、彼がこうだと決めたら、そうなります。
 政権受け継ぎ直後のイメージが残っているのか、「バシャール個人は何も決めず、側近グループが決めている」「だから国民弾圧の責任はバシャールではなく、側近グループにある」との通説がありますが、独裁政権を握って10年以上ですから、もはやそういうことはありません。
 ただし、バシャールに匹敵するくらい発言力の大きな人間がひとりいます。バシャールの弟で、軍の最精鋭部隊である共和国防衛隊と第4機甲師団の司令官であるマーヘル・アサドです。
 マーヘルが最強硬派なので、バシャールがそれに引きづられていることはあり得ます。マーヘルは若い頃から乱暴者で有名だったので、シリア国民のおそらく過半数が、今のアサド政権の「文句を言う奴は皆殺し」路線は、もともとマーヘル主導だったのだろうと推測しているはずです。ただし、それでもバシャールは紛れもなく独裁政権の大統領なので、バシャールが何らかの政治決断をすれば、いくらマーヘルが反対しても、やはりその通りになります。なので、いまやバシャールの責任を免責してもいいと考えているシリア国民も、ほとんどいないと思います。

 ともあれ、シリアの権力中枢は、このバシャールとマーヘルの極悪兄弟を中心に、ごく少数の極悪仲間によってインナーサークルが作られています。先週、国外脱出したマナフ・タラス准将はこのインナーサークルの主要メンバーのひとりだったので、政権側の受けた衝撃は大きいはずです。
 BBCサイトのシリア情勢背景解説欄に、このアサド政権のインナーサークルの主要メンバーが列記されていたので、一部抜粋します(今年6月6日付)。

▽アシフ・シャウカト
 軍副参謀長(筆者注:昨年9月に副国防相となったと思っていたのですが、こちらの記事では副参謀長のままになっています)。バシャールの実姉の夫。長年、軍事情報局長としてバシャール体制を支えてきました。バシャールの最側近といっていい人物ですが、今年5月、反体制派による暗殺説が流れました。真相は不明ですが、たしかにそれ以降、動向がまったく伝えられていません。

▽ラミ・マフルーフ
 バシャールの母方の従兄弟。政商として有名。

▽アブドル・ファタ・クドシーヤ
 軍事情報局長。元共和国防衛隊保安室長、大統領警護隊長、空軍情報局長も務めた秘密警察の生え抜き。

▽アリ・マムルーク
 総合治安局長(筆者注:総合情報局長ではないかと思われます)。元空軍情報局副局長。自身はスンニ派。

▽ジャミル・ハッサン
 空軍情報局長。もともとはデルゾールの保安担当。

▽ムハマド・ディブ・ゼイトゥーン
 政治保安局長。元総合治安局副局長。

▽ズヘイル・ハマド
 総合治安局副局長。もともとは総合治安局内でメディア検閲を担当する特別情報班の指揮官。

▽ハフェズ・マフルーフ
 総合治安局ダマスカス支部長。上記ラミ・マフルーフの弟で、大統領の従兄弟。

▽ムハマド・ナシフ・ハイルべク
 治安担当副大統領補。アサド家と同郷で、親族のひとりがリファアト・アサド元副大統領の娘と結婚したため、アサド家と縁戚関係になっています。もともとはハフェズ・アサド元大統領顧問、総合治安局副局長などを歴任。

▽ヒシャム・イフティヤル
 バース党地域司令部国家治安局長。もともとは総合治安局幹部。

▽ズゥ・アルヒンマ・シャリーシ
 大統領警備隊長。バシャールの従兄弟

▽ルストム・ガザリ
 軍事情報局ダマスカス郊外地区長。元軍事情報局レバノン支部長

 以上、全員「超」がつくワルモノでした。
 ちなみに、上記以外で、日本政府が制裁対象としているシリア政府要人は以下です。

▽ファルーク・アル・シャラ
 副大統領

▽ムハマド・イブラヒム・アル・シャール 
 内務相

▽アリ・ハビブ・マフムード
 前国防相
 
▽アーティフ・ナジーブ
 元政治治安局ダラア支部長

▽ムハマド・ハムショー
 政商

▽ムハンマド・マフルーフ
 政商。上記ラミ・マフルーフの父。バシャールの叔父にあたる。

▽オウス・アスラン
 共和国防衛隊旅団長

▽ジャーミウ・ジャーミウ
 軍事情報部デリゾール支部長

▽ダウード・ラージハ
 国防相

▽ムニール・アダノブ
 軍副参謀長

 以上も、紛れもなくワルモノです。
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  1. 2012/07/12(木) 17:44:54|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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