ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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世界の中での日本の存在感

 またまたテレビ番組の話題からで能がない話だが、昨夜のNスペは北朝鮮のミサイル発射事件。5月はじめの徴候察知から、日米がこれまでにないほど緊密に連携しました---という内容だった。
 だが、ここに来て、日々の報道でミサイル事件が扱われる量は確実に減ってきた。テポドンが日本列島を越えなかったこと、アメリカがそれほど激烈に動かなかったこと、国連安保理も明らかに「収拾」に向かったこと等々で、早くもテポドン・ネタも下火になってきた観がある。
 筆者の知人のメディア関係者も、4~5日前まではよく、「テポドン2とテポドン3とテポドンXって何なの?」みたいなことをよく尋ねてきたけれど、ここ数日は誰も話題にすらしなくなってきた。
 ちなみに、テポドン3とは、在韓米軍司令官ら米軍・情報機関筋が「北朝鮮が開発中」との見方を示している3段式のICBM。テポドンXは6月26日付『読売新聞』が米議会調査局情報として報じたもので、これも北朝鮮が開発中のICBMとのことだ(3とXはたぶん同じものを指していると思うが)。
 もっとも、これらの情報はすべて未確認。公開情報だけなら根拠は皆無に等しい。テポドンとは別に「北朝鮮は新たな中距離弾道弾を開発中」とのこれまた根拠不明の報道もあるが、こうなってくると誰にも何がどうなっているのかわからないのではないかと思う。

 それはともかく、テポドン・ネタがそろそろ下火だということでいえば、欧米メディアはもっと露骨だ。たとえば昨日のCNNやBBCではすでにほとんど取り上げられていない。代わって、イスラエルのレバノン攻撃、イラン核問題、アメリカのCIA工作員身元漏洩事件(元工作員側が米高官を提訴)などがメインの話題になっていた。とくに、国連安保理絡みでは、すでに北朝鮮からイランに完全に主題が戻ったといえる。
 とにかく国際社会からみれば、自分から戦争を仕掛ける可能性が皆無に近い北朝鮮と、いつ何をするかわからないイランでは、優先順位は明らかにイラン上位になるということだろう。
 ただし、国際メディアの扱いにこれだけの差が出るということに関していうと、極東よりも中東のほうが世界の中心に近いという意識がもたれていることも多少は影響しているのではないかという気がしてならない。極東はアフリカと同様、所詮は世界の端っこなのである。

 ところで、それと少し話は違うが、この機会に今日は「日本は世界でどれだけ存在感が薄いか」ということを考えてみたいと思う。
 多少の海外生活の経験から、筆者には世界と日本国内で「日本という国」の存在感に対する意識がものすごく乖離しているという印象がある。平たく言うと、日本人は日本を世界の主要国として認識しているのに対し、世界は日本のことなどほとんど眼中にないといって過言ではないと思うのだ。
 日本の存在感の希薄さは、まずは国際政治の舞台においての発言力のなさが基本にあることは間違いあるまい。
 たとえば、昨夜のNスペでは、「北朝鮮ミサイル問題で、日本はかつてないほど積極的に国連外交を行なった」と強調されていたが、結果をみれば、やはりアメリカと中国、それにロシアが少し絡んで状況は〝決定〟されており、日本の意向などほとんど影響力がなかったことがわかる。
『正論』8月号で、日高義樹氏が面白いことを書いている。ワシントンでは、基本的に日本のことなど興味を持たれていないというのだ。
 たとえば、ワシントンではもちろん対日政策に影響力を持つ日本専門家もいるが、日本のメディアでは有名な彼らが、ワシントン政官界の中ではほとんど泡沫に近いポジションにあるらしい。だいいちワシントンの政治中枢では、日本の政治家の名前など誰も知らないともいう。日高氏によれば、ブッシュ政権は日本の次の首相についても「対中強硬派なら誰でもいい」ということで、それで最近ようやく「アベ」という名前が認知されたにすぎないのだそうだ。
 そうだろうな、と思う。これらの指摘に関していえば、筆者も日高氏の見方に激しく共感する。
(ただし、安倍氏がアメリカの対日セクション内部で重視されるようになったのはずっと前からのようだ。たとえば、昨夜のNスペでは「6月15日に安倍=シーファー秘密会談がもたれ、ミサイル問題の連携策が練られた」と報じられていたが、この安倍=シーファー・ルートというのは、実は特別なものでもなんでもない。永田町記者のあいだではよく知られた話だが、シーファー大使はもうずっと前から安倍氏との協議を定期的に行なっている。これはポスト小泉レースが本格的にスタートするもっと前からのことで、そういった意味では、安倍氏は日本側キーパーソンとしてかなり前からアメリカの対日政策当局に〝認知〟されていたということになる。もっとも、対日セクション自体が米政権内で泡沫扱いならば、シーファー・ルートもそれほど重要ではないとの見方もできるが)

 筆者は外交の現場は知らないが、少なくともメディアの取材現場をみても、日本の「影の薄さ」は明白だ。経済大国ニッポンからは、世界中のたいていの外国プレスの取材現場に、ちょっと異様なほど多くの日本人記者が集まるが、基本的に欧米人クラブである取材現場では明らかに〝浮いて〟おり、何につけ後回しに扱われる。
 この疎外感というのは、東アジア、東南アジア以外の地域で仕事・生活をしたことのある多くの日本人が共有するものだと思う。
 メディアの話に戻ると、日本では誰もが一目置くような大手メディアの特派員でも、現場で一目置かれているなどというケースはほとんどない。国際政治の中心であるワシントンでいえば、たしかに『ミート・ザ・プレス』で日本人特派員が立派に議論を戦わせている場面を何度か拝見したことはあるが、ワシントンで日本メディアが世界的スクープをとったという話は筆者は知らない。
 筆者の知っている範囲でいえば、海外メディアに警戒されていた数少ない日本人ジャーナリストの1人は、ソ連=ロシア移行期のNHKモスクワ支局長だった人物である。当時、島派の筆頭幹部格だったこの人は、とにかくゴルバチョフ周辺に深く食い込んでいて、欧米プレスだけでなく、地元ロシアのプレスからも一目置かれていた。やっかみもあって悪評が圧倒的に多かったが、それはそれだけ注目の的だったということである。
 いずれにせよ、こうした記者は非常にレアな存在である。それは記者個人の力量の問題というよりは、やはり日本という国の存在感の問題が大きい(ただし、モスクワの例でいえば、日本の存在感うんぬんより、日本メディアの取材予算が潤沢だったことが大きい。当時のモスクワは、ネタはすべてカネで買えた。まだ20代の一介のフリーランサーだった筆者ですら、カネで簡単にネタを買いまくることができた)。
 海外のメディアに日本の政治が特集されることは、中国や北朝鮮と比べておそらく100分の1以下である。ネットでも同様。他にも書いたが、アラビア語ネットをみても、日本はまず話題にされていない。親日とか反日とかの前に、興味の対象外なのだ。

 筆者は今年2月、宝島社より『謀略の昭和裏面史』という本を上梓し、そのなかで戦前・戦中の特務機関、あるいはその周辺で暗躍した〝大陸浪人〟などの活動について検証した。
 良い悪いはべつにして、あの時代の日本はすごかったな、と思う。現在、『ワールド・インテリジェンス』第2号で「日本の対外情報機関」という特集記事を制作中なこともあり、ふとこんなことを考えた次第である。
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  1. 2006/07/15(土) 09:35:31|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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  1. |
  2. 2006/07/18(火) 11:47:15 |
  3. #
  4. [ 編集]

世界で日本は糞みたいな国ですねー


うーん?これは日本人のハングリー精神の無さですねー


たぶん原因は軍が無いからだと思う。他の国は軍があるのに日本だけ無い。だから戦争したら確実に早く滅びる国だろう。
  1. URL |
  2. 2010/12/07(火) 18:34:31 |
  3. ぶりぶりざえもん #-
  4. [ 編集]

ぶりぶりざえもん様 コメントありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
  1. URL |
  2. 2010/12/08(水) 11:04:45 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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