ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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なりすましと背乗り

 昨日のテレビ朝日『やじうまテレビ』にVTRコメントを採用していただきました。こちらもオウム高橋の逃亡に関するネタで「なりすましの手口」という企画でした。
 高橋克也や菊地直子の場合は、単に他人の情報をもとにこっそりなりすましただけですが、それだとなりすましにも限界があります。本人が健在であれば、不用意ななりすまし行為は発覚してしまうからです。
 そこで、完全に他人になりすまそうとするなら、オリジナルの本人には社会から消えてもらわなければならないという話になります。闇金融の周辺などでは、昔から「戸籍の売買」がありますが、そうして完全に「他人として生きる」ことができるようになります。宮部みゆきさんの小説『火車』なんかもそうした話が題材になっていますね。
 金銭で戸籍を買ったとしても、それで安心とはなりません。本人が何かの折りにひょっこり「昔の名前」で社会に顔を出せば、なりすまし行為は容易にバレやすいからです。
 そこでスパイの世界では、身元不明の死者・重病者の戸籍を盗用したり、あるいは本人を殺害・拘束・拉致したりして社会から抹殺し、身分を乗っ取ってしまう「背乗り」と呼ばれる手法が昔からあります。第二次世界大戦以前から旧ソ連のKGBが、欧州にスパイを送り込む際に使ってきた手口ですね。
 たとえば、当時のソ連には、ヨーロッパなどから共産主義シンパの外国人などがよくやってきていたのですが、スターリン時代には、そのかなりの数が「スパイ容疑」「国家反逆容疑」などでシベリアの収容所に送られました。その情報は外部には漏れないので、それを利用して、背乗りしてしまうわけです。旧KGBはこの背乗りを、かなり組織的にやっていました。
 背乗りはその後、世界中のスパイ組織がやっていますが、なかでも多用したのが北朝鮮です。あの日本人拉致事件のいくつもが、背乗り目的のものです。
 いくつも事例はありますが、代表的なのはチェ・スンチョルと辛光洙ですね。チェ・スンチョルは西新井事件の犯人であり、蓮池さん拉致の実行犯ですが、小熊和也さん、小住健蔵さんの二人を背乗りしています。
 また、辛光洙は地村さん拉致の犯人のひとりですが、原敕晁さんを背乗りしています。
 日本人になりすますというのは、日本人と見紛うほどの人間でないとなかなかできないので、まず東洋人でないと無理ですから、どうしても北朝鮮が多いですが、中国というのは聞いたことがありません。
 ロシアの場合はあります。アジア系ロシア人(実名不明)のKGB/SVRの工作員が60年代半ば~90年代半ばまで30年にわたって日本で活動していたことが判明しましたが、このスパイは黒羽一郎さんを背乗りしていました。
 オウム高橋&菊地の程度のなりすましであれば、せいぜい住民票をとってアパート入居やバイト面接などで使える程度でしょうが、背乗りしてしまうと、結婚して地域に溶け込んだり、旅券を作って海外に出たりすることが可能になります。北朝鮮のスパイの場合、この海外渡航が最大の目的で、工作船を使わずに飛行機で堂々と中国経由で本国と往復したり、韓国に潜入したりしています。
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  1. 2012/06/12(火) 08:25:35|
  2. 著作・メディア活動など
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:3
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コメント

北朝鮮は日本国内で反日秘密警察である朝鮮総連が日本人の個人情報を収集出来るからでしょうね。シナは最初から日本左翼や朝鮮総連からの情報提供があるのでリスクを犯す必要は無いという事でしょうか。

因みにイスラエル諜報機関モサッドもマブフーフ暗殺事件で自国民に対する背乗りが発覚しています。自国民で英国籍保持者の名義でパスポートを作った。

例えば超正統派とかキブツメンバーで当分海外に出ないだろうと当局が見立てた人がターゲット。当然本人の許可を得てなく勝手にイランだとかヤヤコシイ国への渡航記録が残るので犠牲者が知らずに当該国へ行き逮捕や処刑といったリスクも有り得るのです。

日本国家も対外情報専門機関を創るのであれば当然こういった問題も出てくるのでしょう。
  1. URL |
  2. 2012/06/12(火) 22:38:38 |
  3. 道楽Q #-
  4. [ 編集]

対外インテリジェンス改革の話はときおり出ますが、たとえ対外情報機関とつくろうという話になったとしても、私の聞き及んでいるかぎりでは、外国でのスパイ活動は禁じられる方向になると思います。
  1. URL |
  2. 2012/06/14(木) 12:12:39 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

>対外情報機関とつくろうという話になったとしても、外国でのスパイ活動は禁じられる方向になる。

町村元外相主催の調査報告書に有る様に外務省は乗り気だった気がしたのでしすが。ショックですね。スパイ活動を禁じるのは事実上情報活動するなという事。国内において安全保障の為のスパイ防止法を作らず外国スパイを野放しの一方で自国の情報活動はさせない売国政治家共。江崎道朗氏が内調機密資料に「田中角栄元首相が警察に中国の情報活動を妨げるなと指令した」と書いてあるのを見たと言ってました。

まあ、「日本列島は日本人の物ではない」と言うルーピーとか竹島は韓国領であるという文書に署名した土肥とか「日本を解放する人民解放軍の野戦司令官」の小沢一郎とかを考えれば頷けるが、このままだと日本は滅びる。
  1. URL |
  2. 2012/06/14(木) 22:36:25 |
  3. 道楽Q #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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