ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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張成沢が護衛総局を掌握?

 本日もTBS「ひるおび」でスタジオ出演させていただきました。コーナー最後に「北朝鮮はこれからどうなると思うか?」との質問に、フリップ回答を求められたのですが、いろいろ迷って「とりあえずフェードアウト?」と自分でもなんとも歯切れの悪い文言にしました。
「核実験」だの「特別行動」だのときな臭い話がいろいろ出ていますが、結局のところ現在の金正恩政権は政権サバイバルにアップアップの状態で、本音では本格的な軍事衝突は望んでいないと思います。なので、短期的には、その好戦的なプロパガンダとは裏腹に、なとなくうやむやに何事もなく収まる可能性のほうが大きいと私は見ています。
 ただし、これは当面の話で、その後、金正恩政権が長期政権を全うするかは状況次第でわからないので、「とりあえず」としました。
 また、北の指導部は現在、突出した権力者が不在の状況で、激しい内部の綱引きがありますから、軍部の強硬派が暴走するようだと、必ずしも合理的な判断をしない可能性がかなりあります。なので、権力闘争の状況如何で、という意味で「フェードアウト」に「?」を足しました。

 北の指導部は現在、ざっくり言えば、金正恩ファミリーと軍部強硬派という2つの核が並立しています。ファミリーの大番頭・張成沢の権限は絶大なものがありますが、ポスト配分を俯瞰すると、ファミリー系は軍部でも内部の監視部門や親衛隊などを押さえにかかっていて、明らかに軍の離反を相当警戒しているものと思われます。
 他方、軍の指揮系統は李英鎬・総参謀長ら強硬派が握っていますが、核もミサイルも特別行動もすべてこちらサイドの受け持ちになります。なので、軍部強硬派が軍備的冒険主義に向かう可能性はあります。
 
 上記した張成沢ですが、新たな情報が報じられています。
『朝鮮日報』4月30日付によると、最近になって大将の階級章を付けた軍服を着るようになった張成沢ですが、その制服が護衛総局の軍服だというのです。事実であれば、護衛総局を掌握したことになります。
 護衛総局は、金ファミリー専用の護衛部隊「護衛司令部」が最近改編されたもので、その際、党中央軍事委員会にも名を連ねていた尹正麟(ユン・ジョンリン)司令官(大将)が解任されて新たなトップが就任しており、張成沢はこの新司令官を操っているものと思われるということです。
 同紙によると、護衛総局の兵力は推定3万人前後。ただし、その下に編成されている平壌防御司令部を合わせると10万人を上回るとのこと。戦車や装甲車などで重武装した最精鋭部隊であり、軍団クラスの部隊が反乱を起こしても鎮圧できるだけの火力を備えているとのことです。

 金正日死去後、北の幹部・軍部の人事が大きく動いています。まとめると以下になります。
▽張成沢(国防副委員長・党中央軍事委員・党行政部長)・・・党政治局員候補⇒党政治局員/大将(護衛総局を掌握)(※依然権力中枢)
▽金慶喜(党軽工業部長・党政治局員・大将)⇒党書記
▽崔竜海・・・党書記⇒軍総政治局長・党政治局常務委員・党中央軍事副委員長・次帥(※大抜擢)
▽李英鎬(総参謀長・党中央軍事副委員長・党政治局常務委員・次帥)⇒変わらず(※依然権力中枢)
▽金正覚(軍総政治局第1副局長・党中央軍事委員・国防委員・党政治局員候補・大将)⇒人民武力部長・党政治局員・次帥(※大抜擢)
▽金元弘(軍総政治局組織担当副部長・党中央軍事委員・大将)⇒国家安全保衛部長・党政治局員・国防委員(※大抜擢)
▽金英徹(軍偵察総局長・党中央軍事委員・上将)⇒大将⇒変わらず
▽李明秀 金正恩の教育係⇒人民保安相⇒国防委員(※軍部中枢に復帰)
▽呉克烈(国防副委員長・党政治局員候補・大将)⇒一時序列後退⇒序列再浮上⇒ポスト変わらず
▽金永春(人民武力部長・国防副委員長・党中央軍事員会委員・次帥)⇒人民武力部長解任(※半ば引退)
▽禹東則(国家安全保衛部第1副部長・党中央軍事委員・国防委員・党政治局員候補・大将)⇒国防委員解任(国家安全保衛部第1副部長ポストもおそらく解任(※事実上の失脚)
▽尹正麟(護衛司令部司令官・党中央軍事委員)⇒護衛司令部司令官を解任

 今のところ現時点では、軍部はまだ李英鎬・総参謀長が実権を握っていると思われます。対外的には明らかに強硬派になります。
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  1. 2012/05/05(土) 00:23:35|
  2. 著作・メディア活動など
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<すでに終わっていたビンラディン | ホーム | TBSラジオ「アラブの春」解説を聴く>>

コメント

二ヶ月ちょっとで

>>今のところ現時点では、軍部はまだ李英鎬・総参謀長が実権を握っていると思われます。対外的には明らかに強硬派になります。
李英鎬総参謀長が解任されちゃいましたねぇ。誰が仕掛けたのやら。気になります。
  1. URL |
  2. 2012/07/16(月) 10:59:54 |
  3. シャイロック #YqzQT8Bs
  4. [ 編集]

 驚きの展開です
  1. URL |
  2. 2012/07/17(火) 00:33:24 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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