ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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北朝鮮核実験と新軍部の動向

 本日、TBS「ひるおび」に呼んでいただきました。
 私の担当は、要するに「特別行動とは何か?」&「核実験はやるのか?」の2点でしたが、毎度のコメント力不足でうまく時間内に発言できなかった部分もあるので、こちらでまとめてみます。北朝鮮指導部のやることは本当に予測不能なので、以下はかなり直感に頼っています。

 まず「特別行動」ですが、私が北の指導者であれば、狙うはサイバー攻撃ですね。インフラを破壊するような本格的なものではなく、主要メディアのサイトをダウンさせたり、複数の政府機関のトップページを李明博侮辱メッセージに書き換えたりといったことをやり、それで「いつでも我が軍は南朝鮮の心臓部を壊滅させられるの。今回のところはこれで勘弁してやる。うははは」と発表します。
 これだけでは、韓国は北朝鮮を攻撃できません。サイバー攻撃にはサイバー攻撃で対抗するのが筋ですが、北朝鮮はネットワークそのものがほとんどないので、サイバー攻撃防御はきわめて強力です。韓国に出来ることはほとんどなく、北朝鮮側の一方的な攻勢で終わるでしょう。
 西海の国境にあるケモリ海岸に移動ミサイル発射基が集結との未確認情報がありますが、延坪島攻撃の可能性は低いでしょう。海に1発か2発、シルクワームを撃ったりするかもしれませんが。
 北朝鮮自身、ウェブサイト「わが民族同士」で、「延坪島砲撃と同じ水準の警告に過ぎないと思ったら、それは間違いだ」と言及している。彼らも「やらない」と言ったことはやらんでしょう。
 陸上の休戦ライン沿いでの砲撃はあり得ると思います。戦争にならない程度の、ごく軽めのジャブ的な攻撃ですね。韓国側の兵士に危害を加えるほどのことはやらないと思いますね。いま北朝鮮側も、戦争は望んでいません。
 北朝鮮指導部としては、今月はとにかく国家最大の慶事である金日成生誕100年の祝賀を盛大に終わらせ、金正恩体制をしっかりとキープすることが最優先。国内的にメンツが保てればそれでいいということだろうと思うのです。
 ただ、気になるのは、新体制中枢で、激しい権力の綱引きが起きていることです。たとえば、昨年末の金正日の葬儀で、霊柩車に付き従ったトップ8人のなかの軍人4人ですが、その中の2人はすでに失脚しています。そんな不安定な権力最上層部の中で、イケイケの強硬派が主導権を握る可能性があります。新軍部ナンバー1の総参謀長などはそのクチですね。
 北朝鮮軍だけでなく、古今東西どんな組織にもあてはまりますが、組織の指導部あるいは路線などが不安定状態の場合、しばしば声の大きな強硬派が主導権を握ることがあります。現実的で穏健な路線を主張すると、「この臆病者が!」とか批判されるわけですね。
 なので、北朝鮮の場合も、合理的な判断がなされるのであれば、これ以上の挑発ないし軍事行動は制御されますが、イケイケ幹部たちに押されて、危険な軍事行動に出る危険性がないとはいえません。そこは外部から窺い知ることのできない、北朝鮮政権中枢の力関係次第です。

 関連してひとこと指摘しておきたいのですが、しばしば「北朝鮮はアメリカに認めてもらいたくて、ことさら虚勢を張っている」「注目してほしくて、ことさら危機を煽っている」と解説されるのですが、短期的な駆け引きはともかく、構造的には違うのではないかと私は見ています。
 以前も書きましたが、北朝鮮の最大の狙いは「核ミサイル武装」です。とくに核開発への動きは、朝鮮戦争休戦直後、1950年代から始まっています。
 そのため、こっそり核ミサイル開発を行ってきました。誇示ではなく、隠れてこっそりです。そんな国家的悲願である核ミサイル完成が目前となっている今、北朝鮮は、できればアメリカにほっといてほしいのではないかと思うです。
 ただ、これもやっぱり北朝鮮が従来のように(是非はともかく)国家生き残りのために合理的判断をすることが前提です。イケイケ将軍たちが暴走すると、ちょっとわかりません。

 さて、他方の核実験ですが、これも合理的判断となれば、孤立化という大きなデメリットを引き起こす核実験を、あえて北朝鮮が選択する政治的意味は非常に希薄だと思います。
 なので、いずれ核ミサイル保有に向けた実験は不可避でも、今の流れではやらないのではないかと言ったり書いたりしてきたのですが、どうも各実験の準備が完了したとのインテリジェンスが多方面から出てきています。
 ただ、それらの情報も、わかる範囲で検証してみても、どうも確度のよくわからない話が多い。核実験の準備はおそらくかなり進められているとは思いますが、実際にやるかどうかはわかりません。
 これもどうなるかは実際のところはわからないわけですが、合理的判断ならまずやらないと私は推測しています。が、これもやっぱり、新軍部の暴走があれば、ちょっとわかりません。中国が翻意に動いていますし、張成沢の発言力が絶大ならば、そこは抑えると思うのですが。

 いずれにせよ、「やるのか、やらないのか?」というのは重要ですが、それより重要なのは、仮に核実験が実行された場合、以前も書きましたが、その後、北朝鮮が「核ミサイル武装宣言」をする可能性が高いことです。
 これは日本にとっては、死活的な大事件です。が、そこがいまひとつ伝えられないもどかしさを感じています。
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  1. 2012/04/27(金) 19:06:31|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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