ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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北朝鮮ミサイルの謎

 すでにニコ生のリンクはご紹介していましたが、ユーチューブにもアップされていたのでご紹介します。先週金曜のテポドン発射失敗直後の生放送です。
▽[ニコ生]ついにミサイル発射!打ち上げ失敗で、どうなる今後の北朝鮮!?
 もうひとりの出演者は朴斗鎮・コリア国際研究所所長。初めてお会いしましたが、非常に視点の鋭い方で、私も勉強させていただきました。

 ところで、その後、日曜日の軍事パレードで新型の19m(推定)ミサイルが初登場し、ウォッチャーの注目を集めました。で、いろいろ過去に遡って詳しく調べてみたのですが、ひとつあまり伝わっていないことを指摘すると、北朝鮮のミサイルの性能については、「正確なことは何一つわかっていない」ということかと思います。

 そもそも、失敗したテポドン2改も、その正体は判明していません。推進剤の種類も謎。1段目はノドン4基といわれていますが、その真相も謎。2段目がノドン系なのかムスダン系なのかも不明。3段目が液体系エンジンなのか固体系モーターなのかも謎。
 射程も、今のところ実績がわかっているのは、第2弾までで3千数百kmは飛ばせたということ。それ以上の射程(弾道ミサイルの射程というと、だいたい1トンの弾頭を想定)は謎。ムスダン系の第2弾であれば中距離弾道弾レベルの可能性はありますが、実際に第2弾の落下予定エリアをみると、それほど飛ばせるとは思えません。
 わからない部分を最大の推定値で考えると、射程6000km以上となる可能性はありますが、それが実現されているかは甚だ疑問があります。
 そもそも、2010年のパレードで初めて映像が公開された3000~4000kmの射程とされている1段式ミサイル「ムスダン」の性能も謎です。少し前のエントリーで紹介したように、6年前にイランに輸出されて発射実験が行なわれ、3200km飛んだという情報もありますが、これも真偽はわかりません。
 少なくとも北朝鮮自身は、ムスダンの発射実験を一度も行なっていません。ちなみに、ノドンも1300km以上の射程といわれていますが、実際に発射実験で飛ばした距離はもっとずっと短いですね。
 要するに、ノドン、テポドン2、ムスダンともに、よくわかっていないわけです。

 今回、初登場した19mミサイルも、何もわかっていません。外見の形状、大きさしかわかりません。
 16輪の強力そうな移動発射基に乗せられていますが、重量も推定するしかありません。形状からおそらく2段式に見えますが、システムとしてはノドン系なのか、ムスダン系なのか、あるいはまったく新型の固体燃料系なのか、あるいはただのハリボテなのか、外見だけから判断はできません。
 そのサイズから、仮にムスダン(これ自体、性能は推定値ですが)の大型化だとすると、最大で5000~6000kmの射程を持つ可能性があると”想像”はできますが、あくまで推定にすぎません。この点、発射実績も、それなりに信頼性の高いインテリジェンスもないなか、「射程6000km」だというような話になりつつあるのは、おかしな話です。
 最近出てきた未確認情報には、「(平壌近くの研究所で)全長40Mの大型ミサイルを開発している」「(東海岸の発射場で)固形燃料モーターの燃焼実験を何度も行なっている」「ムスダンをもとにICBMを開発している」などというものがあります。これらの情報は無視はできませんが、情報の出方をみると、あまり信用度が高いものとはいえないですね。
 新型ミサイルが6000km、テポドン2改も6000km。さらにこれらをもとに1万km級の長距離ミサイルを開発しようとしているのではないか・・・・そいった「可能性」はたしかあります。そのさまざまな可能性のなかから、蓋然性の高い推定を導き出すのがインテリジェンスですが、ちょっと現段階では情報材料が少なすぎますね。
 自国の兵器について、「実力以上のものに見せかける」ケースと、「実力を隠す」ケースがあります。北朝鮮の場合、どちらかというと実力以上に見せかけることが多いような気がします。技術者としても、新開発の兵器なら最大値のテストをしたいということもあります。
 もちろん各ミサイルは、その最大性能を付与したいという目的で開発が進められているでしょうが、それが実現できていると考える要素はありません。というようなことを考えると、私自身の当てずっぽうな直感ですが、北のミサイルはどれも、いわれているほどの性能はないのではないかなという気がします。
 もっとも、直感をもとに防衛政策をとるわけにはいきませんから、日本政府・防衛省は北のミサイルの脅威に備えなければなりませんが。
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  1. 2012/04/17(火) 19:02:12|
  2. 著作・メディア活動など
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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