ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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衛星と称する事実上のミサイル?

 テポドン&PAC3の報道が過熱しています。知人のカメラマンは、イージス艦の姿を求めて沖縄海域を飛び回っています。なにせ海は広いですから、なかなか難しいようです。
 私ははっきり言って、今回の発射はまったく危機とは思っていません。よくあるロケット打ち上げのひとつです。自衛隊の訓練には最適なので、出動自体はたいへん結構なことだと思いますが。
 それより注目すべきは、いつも書いているように核開発です。前エントリーで書いたように、核ノドン配備が目前です。今回、訓練程度のMD展開に人々は反応していますが、そんなものじゃない本気の展開が必要になると思います。
 今回の衛星発射など「たいしたことじゃない」的な発言をすると、「危機感がない」と批判されるかもしれませんが、私はむしろ次なる核ノドンに強い危機感を持っていて、世間の反応の鈍さに歯がゆい思いを感じています。生意気を言わせていただければ、今回の衛星打ち上げでの幻の「万が一」に過剰反応しているほうが、よほど危機感のリアルな感度が鈍いのではないかなという気がします。
 もうすぐ日本全域が、この先どうなるかわからない超独裁国家の核ミサイルの射程に入ります。これは近い将来、確実に実現されます。たいへんな事態だと思いますね。イスラエルなら確実に空爆でしょう。アメリカだってやると思います。日本もそうやれとは言いませんが、それほど深刻なことだということです。

 ところで、北朝鮮の行動を読むうえで、ここ数年の北朝鮮が、徹底して「平和利用」を盾にして核&ミサイルの開発を進めていることが、あまり認識されていないように感じます。べつに北朝鮮の肩をもつわけではないですが、衛星を口実にした長距離ロケットの開発、発電を口実にしたウラン濃縮は、いずれも理屈が成立するものです。これは、前も書いたように、実際にイランがやってきた道で、北朝鮮はそれを真似ているわけです。
 ロケット発射は安保理決議違反ですが、イランもなし崩しにやってきていますし、中国の支持を引き留められる線なので、さらなる制裁の安保理決議を通すほどにはならないでしょう。
 北朝鮮を非難する根拠は国連安保理決議違反ということにつきますし、国連安保理としては違反にはペナルティが当然ですが、それはそれとして、衛星打ち上げをすべて軍事目的と断定するのが二重基準であることも事実です。
 これも北朝鮮の肩をもつわけではないですが、「衛星打ち上げと称する事実上のミサイル発射」という報道の表現にも違和感があります。
 今回、北朝鮮が行うのは、衛星打ち上げであって、ミサイル発射実験ではありません。ミサイルとするなら、弾頭に爆弾あるいはそのダミーを搭載し、放物線弾道で発射することになりますが、今回はそうではなく、衛星モドキを搭載し、衛星打ち上げ軌道をとることになります。
 衛星打ち上げ軌道では、弾道ミサイルの軌道より通常は低い高度を飛翔し、ある高度で高度を維持し、地球面に対してほぼ水平方向に加速をかけて第1宇宙速度に達します。両者は、飛ばし方がかなり違うわけです。
 なので、今回、北朝鮮はこれだけ世界に大見得をきって衛星打ち上げと言い切る以上、弾道ミサイル発射実験のコースをとることは考えられません。外見上は衛星打ち上げということでいいと思いますし、ミサイル発射とする表現は適切ではありません。ロケットならまだいいですが。
 ただ、衛星打ち上げのための強力ロケットは、技術的には弾道ミサイルとなんら変わりません。要は、どれだけ重いものを、どれだけ遠くに、どれだけ速いスピードで飛ばせるかという推力の問題です。大まかに言えば、弾道ミサイルの場合は「遠くに」優先、衛星の場合は「速く」優先ということになります。
 実際には、弾道ミサイルを衛星打ち上げに流用するためには、その特殊な運用と制御を実現し、最終段階で衛星を加速させる機能も必要になりますし、逆に衛星打ち上げロケットを弾道ミサイルに転用するには、高温に耐えて機能する再突入体の開発が必要になります。しかし、ロケットの推力強化という点では共通しています。
 要するに、衛星打ち上げは弾道ミサイルの性能向上、とくに飛距離のアップに直結します。だから、「ミサイル開発にも繋がる衛星打ち上げ」という表現が正確になります。ですが、すべての国の衛星打ち上げは、潜在的にはミサイル開発にも繋がるので、わざわざ言うまでもないことです。
 北朝鮮の言い分にも、言葉上ではそれなりに理があるとはいえます。

 なお、上記は決して北朝鮮を擁護するものではありません。国連決議違反ですし、すべて核ミサイルを持つためにやっていることは明白です。なによりあの国の政権はとんでもない悪い政権であり、他の民主国家のように扱うわけにはいきません。
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  1. 2012/04/13(金) 01:59:34|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

「事実上のミサイル」

「事実上のミサイル」と言う表現は如何にも違和感がありますね。小生もずっと何か変だなと思っておりました。一体誰が「事実上のミサイル」だと確認したのか、それも言わずに一体何が「事実上のミサイル」なのか、不思議でたまらない。マスメディアって、どこまで思考停止の連中なのかと、そりゃ~恐ろしくなりました。
  1. URL |
  2. 2012/04/14(土) 01:10:39 |
  3. かむかむ #Dos/NM5k
  4. [ 編集]

 コメントありがとうございます。欧米メディアでは「ミサイル」とも「ロケット」とも表記されていますね。今、グーグルでニュース検索してみたら、「north korea missile]で12,100件、「north korea rocket」で14,100件ヒットしました。ざっくりしたサンプリングですから一概には言えませんが、若干ロケットが多いですね。ちなみに「north korea satellite」では10,300件でした。
  1. URL |
  2. 2012/04/14(土) 18:55:30 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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