ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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KGBの対日工作③

マスコミ記者のエージェントたち

 73年の田中角栄訪ソの前後、KGB日本支部は、ソ連共産党政治局が承認した日ソ平和条約の調印を実現化すべく猛烈な世論工作を仕掛けた。その条約案は、日本側が日米安保条約を破棄し、在日米軍基地を閉鎖するのと引き換えに、日本側に歯舞・色丹2島を返還するとともに、漁業権で譲歩することになっていた。
 こうしたなか、石田博英氏は70年代を通じて日ソ友好議員連盟を足がかりに、「影響力のエージェント」として使われ続けた。
 77年には、KGBの要請に基づき、彼は個人的に福田赳夫首相に意見した。モスクワの日本大使夫妻がソ連反体制派と接触し、「歓迎されざる人物」になったから、日本に呼び戻すようにということだった。
 70年代の間に、少なくとも2人のエージェントが自民党内でリクルートされた。田中角栄の側近だった「FEN」と、KGB東京支部が積極的に篭絡した自民党議員の「KANI」である。
 ミトロヒン氏がみた74年と75年のKGBファイルによると、FENのリクルート工作は72年からスタートし、75年にかなり進展があり、ついには正式なエージェントとして取り込まれた。レフチェンコ氏の証言にある「フェン・フォーキング」とほぼ同一人物とみられる。
 KGBは、自民党の一部の派閥と日本社会に固有の腐敗につけこんだ。ただ、アメリカのロッキード社がばら撒いたような巨額の資金を持たないKGBは、ロッキード社のようには日本政財界の上層部に食い込むことはできなかった。
 メディア界のKGBエージェントの大多数はおそらく金銭目的だった。ミトロヒン氏が書き写したファイルには、日本社会党機関紙以外に少なくとも5人の一般マスコミの記者が特定されている。
 朝日新聞の「BLYUM」、読売新聞の「SEMIYON」、産経新聞の「KARL」(またはKARLOV)、東京新聞の「FUDZIE」、そして、社名不明な主要新聞社の上級政治部記者の「ODEKI」である。
 さらに、ジャーナリストの「ROY」(ファイルによると、彼はKGBとの取引を単なるビジネスと考えていた)は、日本の防諜機関上級幹部の「KHUN」をリクルートするのに役立った。KHUNはとくに中国に関する機密情報を提供した。
 なお、後にレフチェンコ氏が明らかにしたところでは、ROYはレフチェンコ氏がエージェントとして使っていた「ARES」なるコードネームの人物と同一人物だろうということだ。彼は60年代半ばにリクルートされ、「KR系統」(防諜部門)に運営された。
 彼は日本の機密情報に近く、完全に金銭目的で情報を流していたが、70年代半ばに日本の防諜機関にマークされたために、その後はあまり活動しなくなった。ただ、レフチェンコ氏によれば、ARESは77年に再び活動的になったということだった。
 ミトロヒン氏はそれ以外にも「FET」(あるいは「FOT」)というジャーナリストの存在を書き留めているが、この人物については具体的な情報はない。
 ところで、日本のマスコミ人のすべてのエージェントが、自発的だったというわけではなかった。とくに読売新聞記者のSEMIYONのKGBファイルについてのミトロヒン氏のメモには、「彼が70年代初期のモスクワ訪問の間に、『名声を陥れるような資料が作られた』ことが記されていた。それは、闇市場での通貨両替の摘発事例(おそらく国内防諜を担当するSCD=第2総局によるオトリ工作)と、不道徳な振る舞い(まず間違いなく変形的なハニートラップ)だったという。
 ソ連のエージェントとしての彼の6年間の活動の間、SEMIYONはしばしば、彼を解放するようKGBを説得しようとした。そして、彼が偽情報を流すのが発覚した後、KGB本部は結局、彼との接触を切断した。
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  1. 2007/06/28(木) 18:22:48|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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