ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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PAC3を追いかけろ

 マスコミ各社が、イージス艦とPAC3のおっかけと化しています。そのおっかけに参加している知人のカメラマンが「オセロ中島が終わったので、今度はテポドン」と言っていましたが、なにかそんな感じになっています。
 日本もいまだにロケット打ち上げに失敗しているぐらいなので(情報収集衛星がダメになったこともありましたね)、北朝鮮が失敗することは大いにありえますが、制御を失って東京に落ちるとか(PAC3は東京でもスタンバイ!)、沖縄の島に落ちることは、まずほとんど考えられない話です。
 ここでゼロ%と言い切ることはできませんし、万が一に備えるということで「ミサイル防衛」出動はいいとは思いますが(とくに格好の訓練ですから、それはどんどんやったほうがいいと思います)、北朝鮮ロケット打ち上げの危険性が必要以上に煽られているように思います。

 まず、北は2009年の発射でほぼ予告通り第2段ロケットまでは飛ばしています。
 それから、すでに3度の衛星を打ち上げたイランと技術協力関係にあります。
 また、どこに飛んでいくかもわからないほどの技術であれば、親分である中国との国境近くから、中国に飛んでいく可能性もある黄海南方コースに打ち上げたりはしないでしょう。多少、コースを外れる可能性はありますが、その際の処理くらいは準備されているでしょう。
 失敗の可能性でもっともありそうなのは、打ち上げ直後、第1段ロケット燃焼の段階ですね。2006年のときはそれで失敗して爆発しています。
 次が、ブースター切り離しと再点火。2009年のときは第2弾ロケットの切り離しで失敗したとみられています。
 そうなると、失敗した場合、落下の可能性がもっともあるのは打ち上げ基地周辺であり、その次には、ブースター落下予定地点の近傍ほど可能性が高くなるということになります。
 今回の北ロケットのブースター落下予定は、韓国西方の黄海上と、フィリピン東方の太平洋上ですから、沖縄はどちらからもかなり遠い距離にあります。仮に沖縄付近に落ちるとすれば、第1段ロケットを使いきり、第2弾ロケットである程度飛んだ後に何らかのトラブルで失速、爆発、あるいは制御ミスで落下するといったケースが考えられます。ありえないことではないですが、飛翔途中での落下の可能性は、打ち上げから何千kmにもわたる海域すべてにあります。
 黄海から東シナ海、西太平洋に至る広大な海域を考えると、沖縄の島に落下し、さらに人家や船舶を直撃する確率など「ほぼ無視できるほど」になります。備えることは必要かもしれませんが、大騒ぎするほどのことはないです。

 たとえば、韓国もほぼ同じ方向に衛星打ち上げを過去2回(2009年8月、2010年6月)に実施し、いずれも失敗していますが、そのときも沖縄付近を通過するコースで、日韓で事前に了解があり、まったく問題になりませんでした。
 韓国のロケットは「羅老」(ナロ)ロケットといい、2段式、総質量 140 トン、全長 33 m、直径 2.9mです。ロシアの技術をもとにしています。
 羅老1号機は沖縄近海の上空を通過し、高度300km以上まで達したものの、衛星の速度が足らずに、大気圏突入時に燃え尽きたとされています。部品の一部がオーストラリア北部ダーウィン近郊に落下しています(人的被害ナシ)。
 2号機は高度70km付近で爆発・分解しています。残骸が長崎県男女群島沖合いの公海に落ちていますが、そこはかの戦艦「大和」が沈んでいる場所のごく近くですね。
 韓国の衛星打ち上げと、今回のテポドンでは、危険性はほとんど同じです。失敗して残骸が落ちる可能性はありますが、その候補地は広大なエリアになります。今回だけ「沖縄が危ない」ということではありません。万が一に備えるなら、韓国のときもミサイル防衛出動すべきですね。
 そういえば、世界各国の人工衛星がときどき落ちてきますが、そのうちなぜか特定の衛星のとき、妙に「地上が危ない」と騒ぎになることがあります。ちなみに、アメリカの上層大気観測衛星UARSが昨年9月に落下した際は、NASAが「破片が人間にあたる確率は3200分の1」と発表。結果的には何もありませんでした。

 ところで、この3月21日、北朝鮮は上記の韓国の衛星打ち上げ失敗を引き合いに出し、「外国の助けを借りて2度の衛星打ち上げを行い、いずれも失敗に終わった韓国は、はじめから北朝鮮に助けを求めておけばよかったのに。少なくとも民族の評価を高めることができただろう」と論評。韓国を痛烈に皮肉っています。

(追記)
 ついでに言えば、日本もロケット打ち上げで、小笠原方面やフィリピン沖の西太平洋などにいろいろ落としてます。今後は小笠原海域にイージス艦を出動させ、父島にPAC3展開とか?
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  1. 2012/04/01(日) 11:37:10|
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戦艦大和と日本のイージス艦が15kmの距離でやりあうことになったら

1 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2012/11/30(金) 02:10:27.22 ID:YOWsg5Yf0 ?2BP(1001)どっちが強いの?昔のフィルムの陸上への艦砲一斉射撃攻撃見るとイージス艦なんて圧倒的
  1. 2012/12/01(土) 00:03:58 |
  2. 【2ch】ニュース速報嫌儲版

プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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