ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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北岡教授の現実的アプローチ

 インテリジェンス学という学問のジャンルがあるとすれば、日本でのその第一人者が、国立情報学研究所の北岡元教授だろう。外務省国際情報局国際情報課長や内閣衛星情報センター総務課長などを歴任された方だが、今日は、そんな北岡教授にお話を伺う機会を得た。
 話題は日本のインテリジェンス機構改革についてということだったが、北岡教授の考えは非常に現実的なもので、わかりやすい。たとえば、対外情報機関を作ろうというプランが、先般の町村前外相時代の外務省大森懇談会、あるいはこれも町村議員が座長を務めた自民党検討チームより提言されているが(町村代議士自身は森派幹部としてポスト小泉の根回しに忙殺されているようで、この問題の主導的役割は現在小休止状態のようだ)、北岡教授は「まず、できることから始める」という考えでこの問題を捉えていた。
 北岡教授はそれを「ロードマップ」と位置付けていたが、たとえば、新たな法整備をしなくとも、内閣官房の合同情報会議にイギリスの統合情報委員会のような常設のインテリジェンス評価スタッフを置いてはどうかと提言する。ヒューミントの組織を作ることも重要だが、日本ではまずそれ以前に、インテリジェンスを統合的に評価するシステムが必要だとの意見だ。
 日本政府のインテリジェンス機構の整備については、どうも大方の役所で総論賛成・各論反対の空気が垣間見えるが、いきなり大変革するのが難しいならば、段階を踏んで一歩一歩進んでいくという姿勢も、この国では大切なことなのかもしれない。大事なことは、どういうかたちであれ、日本のインテリジェンス能力を高めるという「実」にあるわけだ。
 それにしても思うのは、北岡教授のように、情報コミュニティの内実を熟知しながら、将来への提言をしっかりと発言される人がどうしてこうも少ないのかということだ。われわれメディアは、なにも国家機密を暴露してくれと言っているわけではなく(暴露してくれたらそれはそれでスクープになるが、ここではそんなことまで望んではいない)、現実の課題を身をもって知っている人たちに、「では、どうすればいいのか?」を聞きたいだけなのだが、それでも沈黙を守ろうとする人が少なくない。
 それぞれしがらみだとか人間関係とかでいろいろ事情はあるのだろうが、たとえばアメリカなどでは情報機関出身者が大学や研究所に入り、セオリーとしてのインテリジェンスを論じているケースも珍しくない。CIA諜報研究センターや国防大学などの論文筆者には、そうした立場の人間も多い。国際的事件が起こると、元情報機関員が普通にCNNやABCなどに出演したりしている。
 そのあたりの意識の違いが、日本社会のインテリジェンス軽視に一役買っているような気がしてならない。 
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  1. 2006/07/14(金) 01:50:34|
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  4. | コメント:1
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コメント

アメリカの大学と諜報機関

アメリカの大学と諜報機関の関わりは深いものがあります。
すこし、あちらの大学にいたのですが、
CIAのリクルーターが学校にやってきて、講演会開いて、
勧誘活動をしているのを何回も見ました。

あとArmy Intelligenceも来てましたね。
ちょうど、国防総省が独自のHUMINT機関を立ち上げる、
とか話題になっていた時期と前後したので、
そのための人員集めだったのかもしれません。
中佐と少佐あたりが来て、
ベオグラードの中国大使館誤爆事件をニヤニヤしながら話していたのが印象的でした。

大学も(学部が安全保障系だったこともあり)非常に協力的で
教授たちも、むしろ就職を後押しするような雰囲気すらありました。

日本の諜報機関のリクルート事情はよくわかりませんが、
インターネットでの公募、というのが関の山のようで、
中途採用もないようです。


おっしゃるとおり、日米の温度差を感じますね。
  1. URL |
  2. 2006/07/14(金) 09:26:43 |
  3. しんか #LdnfTID.
  4. [ 編集]

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黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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