ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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北朝鮮ミサイル発射の意図

 新聞各紙やテレビで北朝鮮のミサイル発射に関する評論をひととおり拝見しての感想です。

 北朝鮮の意図は外部にはわかりようもないので、結局は推測するしかないですが、私は、北朝鮮は単に金日成生誕100年の祝賀行事として、本当に衛星を打ち上げたかったのではないかなという気がします。
 周知のとおり、北朝鮮は先日、アメリカと食糧支援とウラン濃縮一時停止のバーターを骨子とする米朝合意を行っています。それだけ食糧事情が厳しいということですが、これは北朝鮮側の強い意思でまとめられたもので、北朝鮮側は本気だったのだろうなと思います。
 北朝鮮政府にしてみれば、なんとか一時しのぎの食糧を手に入れる算段はついたけれども、何か正恩の指導力を誇示するような派手な演出が欲しい。だが、核実験も長距離弾道ミサイル実験も先の合意で一時停止することになっている。対南挑発の軍事行動でもアメリカの反発も目に見えている。そうだ、人工衛星打ち上げなら問題あるまい・・・・というような発想だったのではないでしょうか。
 もちろん軍事的にみれば、人工衛星打ち上げは弾道ミサイル発射実験と同じことになりますが、北朝鮮政府はおそらくそうは考えなかったのでしょうね。人工衛星打ち上げは主要国が日常的に行っていることであり、国際機関に事前報告するなど正当な手順を踏めば、問題ないだろうと考えたのだと思います。
 実際、事前の報告も、予定軌道も、理に適ったやり方であり、北朝鮮側からすれば、なぜ世界中から反発されるのか理解できないかもしれません。
 北朝鮮の脳裏にあったのは、まず間違いなく昨日のエントリーで詳しく紹介したイランのサフィールがあると思います。事実上、テポドンとほぼ同レベルの中距離弾道ミサイルであるサフィールのシリーズで、イランは人工衛星を衛星軌道に乗せることに成功しています。イランだって結局は許されたことであるし、同じことをしてもなんら問題はない・・・と北朝鮮は考えたのでしょう。
 軍事的な実験が主な目的であれば、まだ実験していないムスダンが使われる可能性もありますが、今回は北朝鮮最大の祝賀行事の目玉として、絶対に「失敗は許されない」ことを考えると、すでに実績があるテポドン2改が使用される可能性が高いのではないかと思います。むろん数少ない発射の機会ですから、パワーアップしての射程延長の実験の面はあるでしょう。前回、3000km超でしたが、それをどれだけ延ばしてくるかがやはり注目です。

 あと、これは今後、注意深く見てかなければならない点ですが、北朝鮮政権中枢で、意思統一がきちんとされていない可能性もあるかもしれません。現在の金正恩政権は、このような重大事項は少なくとも張成沢と李英鎬総参謀長を中心に、党&軍部上層部のコンセンサスがまとめられているものと思われますが、北朝鮮側の揺れる対外政策は、意思統一のしくみが混乱していることを表しているのかもしれません。

 ところで、防衛省はPAC-3を沖縄に配備し、イージス艦も展開させて破壊措置の準備に入るようです。前回もそうでしたが、弾頭に爆弾が積まれていないミサイル本体が仮に失速したり、ブースターが計算違いの切り離しなどによってどこかの島に落ちてきた場合でも(確率的にはゼロコンマ・レベルですが)、直撃破壊しても落下物の危険性は排除できません。というか、破片が散って、確率的には余計に危なくなります。何をしたいのかよくわかりませんが、いずれにせよまず起きないだろうことではあるので、よい出動訓練にはなるでしょう。
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  1. 2012/03/20(火) 09:23:22|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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