ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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KGBの対日工作②

社会党最高幹部と自民党大物議員

 この頃、すでにおそらく5人の有力な社会党員がKGBのエージェントとなっていた。
▽勝間田清一
 コードネームはGAVR。彼は66年の日本社会党書記長選挙の次点者で、74年にその党内地位を強化するために400万円をKGBから受け取っている。KGBでは社会党中道派のリーダーと評価されていた。
(※ミトロヒン文書に勝間田氏の名前はないが、後にレフチェンコ氏がGAVR=勝間田氏と断定した)
▽佐藤保
 コードネームはATOS。社会党左派(マルクス主義派)のリーダーで、4つの党刊行物の責任者だった。KGBファイルには、佐藤氏が日本社会党機関誌に記事を掲載するための資金として73年10月に40万円をKGBから渡した記録がある。
(※ミトロヒン文書に佐藤氏の名前はないが、これも後にレフチェンコ氏がATOS=佐藤氏と断定)
▽ALFONS(実名不明)
 社会新報に記事を書いていた。72年に250万円受け取っている。KGBファイルには、社会新報に記事を書くために15万円が支払われた記録もある。
▽DUG(実名不明)
 日本社会党委員長に非常に近かった社会党員。選挙資金として72年に39万円を渡された。
▽DIK(実名不明)
 選挙ビラとポスター制作費として72年に20万円を支給された。
――それ以外にも、社会党でKGBエージェントとファイルされていたのは以下の通り。
▽JACK(キリル文字でDZHEK/実名不明)
 73年からエージェント。社会党議員。
▽伊藤茂
 コードネームはGRACE。社会党議員で党中央委員会のメンバー。おそらく75年よりエージェント。
(※ミトロヒン文書に伊藤氏の名前はないが、これも後にレフチェンコ氏が断定。レフチェンコ氏はその他に、ミトロヒン文書に出てこない2人の社会党員「RAMSES」と「TIBR」の存在も断定している)
▽DENIS(実名不明)
 江田三郎・社会党書記長の親しい側近。
▽KING(実名不明)
 後に日本社会党の幹部となった。
▽KERK(実名不明)
 勝間田派議員。KGB東京支部と日本社会党執行部のコネに重要な役割を果たした。
――この他にも、70年代には著名な労働組合活動家などがいた。
 ミトロヒン氏のメモによれば、DENISとGRACEのファイルには、彼らがエージェントになった動機は、イデオロギーと金銭獲得の両方だったと書かれていたという。他の社会党議員の場合もほぼ同様と思われる。
 また、KGBファイルによると、親ソ派の学者で「山本」という人物が、KGBの協力者として議会で影響力を行使したという。「山本」がリクルートされたのは77年。以後、彼はKGBの意に沿うような国会質問が出るように議員に働きかけた。
 社会党以外の協力者でもっとも重要だったのは、「HOOVER」というコードネームだった自民党幹部の石田博英・元労相である。石田氏は73年2月に「日ソ友好議員連盟」(コードネームはLOBBY)の代表になり、同年の8月~9月の訪ソ団の団長となった。この訪ソ団は17年ぶりの日本国首相の訪ソとなる田中角栄首相訪ソの直前に行なわれた。石田氏がソ連中央で重く扱われるようにKGBGが裏で支援した。
 主要な日本の新聞社(KGBが少なくとも1人の高い地位にあるエージェントを運営している)である朝日新聞は、73年夏のモスクワへの石田氏の訪問の後にこう書いた。
「ソビエト連邦は今日、ソビエト領海侵犯で拘留される全49人の日本人漁師をすぐに解放すると発表した。発表は、石田博英訪ソ団長とソビエト最高議会党任幹部会議長の会談時になされた」
 石田氏は74年にKGB東京支部のPR系統部長ウラジミル・プロ二コフによって正式に「影響力のエージェント」としてリクルートされた。この功績によってプロ二コフは叙勲されている。
 70年代前半期、日本でのKGBの活動は、非常に重視された。たとえば、73年の日本での活動資金は、KGB本部第1総局第7部が管轄する他の11のアジア諸国のどれと比べても3倍の規模であり、インドに対する工作資金とほぼ同額だった。
(※73年のKGB第1総局第7部の工作予算は、日本が20万3100ルーブル、インドが20万4600ルーブル、パキスタンが5万4800ルーブル、ラオスが1万9000ルーブル、タイが3万2500ルーブル、カンボジアが2万6700ルーブル、シンガポールが2万2600ルーブル、マレーシアが2万3600ルーブル、インドネシアが7万2800ルーブル、ビルマが3万5300ルーブル、ネパールが1万2200ルーブル、スリランカが3万0600ルーブル、バングラデシュが5万2900ルーブル。なお、後にインド、パキスタン、バングラデシュ、ビルマ、スリランカ、ネパールは新設の第17部に移管。ラオス、カンボジアは第6部に移管された)
(続く)
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  1. 2007/06/26(火) 00:35:02|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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