ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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震災から1年

 磐城高校時代の同級生で、地元で復興プロジェクトのボランティアをやっている友人と話しました。いわきでも津波被害はあったのですが、地元でも話題は原発一色で、津波の被害者や復興事業へのケアが遅れている(忘れられている?)そうです。
 震災に関してはさまざまなメディアが大きく報じ続けていますので、とくにこちらで報告するようなこともありませんが、いわきの友人たちからいろいろ話を聞くなかで、ちょっと気になった点を2点述べてみます。

 まずは、やはり迷惑しているのが、放射線汚染を扇動する一部のメディアです。地元でももはや失笑の対象ではあるようですが、それでも幼児を抱えるお母さんたちなどには不要な不安を与えているとのことです。
 いわきは中通りなどに比べると幸いなことにずっと線量は低いのですが、やはり気にはなりますから、正しい情報をみなさん渇望しています。煽りはなるべく謹んでいただきたいものです。風評被害でも瓦礫問題でも迷惑ですし。

 もう1点は、これは一部の話なのでしょうが、カルトの話です。震災で各地にボランティア団体が出来ましたが、その一部にカルトが触手を伸ばしています。私が直接聞いた話は、カルトというよりヒーリング系の詐欺グループでしたが、他人の不幸、他人の善意に付け込む手口は許せません。ボランティアの皆様、気をつけてください。

(追記)
 上記エントリーで、放射線問題を扇動するメディアに批判的な書き方をしましたが、さまざまな意見の方もおられると思うので、少し補足します。

 インテリジェンス(情報収集と分析)の基本ですが、情報(インフォメーション)にはさまざまなノイズ(雑音情報)が含まれていて、それらを都合よく繋ぎ合わせる(チェリー・ピッキングといいます)と、どんなストーリーでも作成することができます。きちんと分析できれば、その過程でノイズは削除できるのですが、分析者に先入観(認識バイアス)があると、分析が機能せず、結果、自分の先入観を補強するストーリーが永遠に再生産されていきます。
 私のみるところ、そうしたケースが非常に多く見られます。とくに情報収集(コレクション)に優れたメディアが、分析を誤っているケースが多々あります。情報収集力で勝負してきたので、分析に慣れていないのですね。
 インテリジェンスにおいて「情報収集」と「分析」はまったく別種のもので、情報収集に優れているからといって、分析が優れているわけではありません。メディアそのものはエキスパートでははく、エキスパートの情報・分析を紹介するのが本務です。とくに日本のメディアは官公庁と専門家の情報・意見を紹介するのが基本業務で、それを批判する声もありますけれども、それ自体はべつに間違ってはいません。
 よく欧米メディアが自身の分析を掲載しますが、それは分析の訓練を積んだエキスパート記者がいるからです。
これはシステム上はどちらが優れているというわけではないのですが、問題は、他者の分析を選別する選択眼です。エキスパートでない人間には、どのエキスパートの分析が正しいのか判断できないし、そもそも誰がエキスパートなのかもなかなか見分けがつきません。
 ただし、エキスパートでなくとも、ある程度は情報の見分け方というのがあって、たとえば多種類の情報の精査(クロスチェック)を丹念にやることなどによって、ノイズはある程度除去できます。今の放射線扇動のような雑な報道は、ノイズでも新情報ならスクープとして評価されるパターンに慣れているメディアがはまりやすいワナのようにみえます。
 メディアは常に、自分はエキスパートではないことを自覚すべきですが、実際にはなかなかそういうふうにはいきません。スクープ記者は圧倒的に嗅覚に優れている方が多いですが、そういう方はどうも分析も勘に頼ってしまうことが多いように思います。私自身、スクープ記者の真逆のダメダメ記者でしたが、それでも長年取り組んできたいくつかの分野ではそれなりの自信を持っていて、ついノイズを拾ってしまっている可能性はあります。
 ただ、それでも今の放射線問題に関していえば、私自身たいして分析の訓練を積んでいるわけではありませんが、出身地の問題なので、それなりに真面目にさまざまな専門家の議論を拝見してきた結果、放射線危険扇動派の分析は、意識的な情報操作と無意識的な偏向により、多くの点で間違っていると考えています。
 ちなみに、誤解なきように申し添えると、再三書いていますが、私は原発自体は脱・原発派(条件付きの減・原発派)です。いわき出身ですが、東電からカネもらったこともないですよ。
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  1. 2012/03/03(土) 03:37:58|
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  1. 2012/03/26(月) 12:23:47 |
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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