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ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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北朝鮮の食糧危機

 つい先ほど流れたニュースです。朝鮮中央通信が北朝鮮外務省報道官名で発表したところによると、先の米朝協議の結果、アメリカが北朝鮮に24万トン以上の食糧支援をするかわりに、北朝鮮が寧辺のウラン濃縮施設の稼働停止、核実験、長距離ミサイル発射実験の一時停止をすることに合意したということです。IAEA要員による監視も認めるとのこと。
 アメリカ国務省も同様の合意を発表しており、さらに寧辺の黒鉛減速炉の無能力化でも合意したといいます。

 米韓合同軍事演習に北朝鮮側が猛然と抗議している最中の合意発表です。北朝鮮はそれほど食糧事情が逼迫しているのでしょう。まだ発足したばかりの金正恩体制にとって、いちばんのアキレス腱は「食糧危機から国民の不満が政権批判に向かう」ことですが、実情はかなり追い詰められている可能性があります。

 さて、北朝鮮にとって、一時的にもこれらの措置はどれほどダメージになるのでしょうか。懸案のウラン濃縮は、公表している寧辺の施設はウラン濃縮がストップします。これより先に米メディアにリークされていた情報では、北朝鮮は技術的な問題から、すぐに停止はできないが、新たなウラン追加はしないというような提案をしていたそうですが、いずれにせよIAEA査察官が入っている状況では、実質的な濃縮活動は難しいでしょう。
 ただ、以前も書いたことがありますが、北朝鮮は寧辺以外の場所に秘密のウラン濃縮施設を建設している疑いが強くあります。そこは手付かずになります。

 核実験の一時停止は、プルトニウム型爆弾の小型起爆装置が完成していない状況からは、まだ技術的な壁を乗り越えられず、実験可能が状況に達していないのか、あるいはかなり完成度の高いものが実現されているが、実験はしばらく待ってもいいと考えているのか、そのあたりはわかりません。いずれにせよ、小型起爆装置の開発はこれまで通り続けるはずです。

 ミサイル実験の一時停止は、これも次のフェーズに技術を上げるところで、いまだ開発に手こずっている可能性が高いでしょう。ただ、発射実験は一時停止しても、研究開発そのものは継続することは間違いありません。

 寧辺の黒鉛減速炉の件はよくわかりません。現時点で、プル二ウムを継続的に生産できるのはここだけなので、プルトニウムのさらなる生産はしばらく後回しでいいという判断でしょうか。ここまで来ているので、いまさらプルトニウム型の弾道ミサイル配備の夢を諦めることはないと思うのですが。もしかしたら、起爆装置設計が容易な濃縮ウラン型をメインにしていこうということかもしれません。
 ただ、この件に関して、アメリカ政府が「北朝鮮はプルトニウム型爆弾の開発停止に合意した」としているのは、まだ情報を見極める必要がありそうです。北朝鮮がそのあたり玉虫色の言い方をしたのを、アメリカ側が強引な解釈をしている可能性もあります。

 報道では、これで6カ国協議再開かと期待するふうなものもありますが、これまでの経緯からすると、あまり有効性のないタダの時間稼ぎに終わる可能性が高い話です。希望的観測から、これだけのことで「金正恩体制はハト派」とか短絡するわけにはいきませんね。
北朝鮮の真意は推測するしかありませんが、今春の食糧危機を乗り切るための一時的な方便にすぎないのではないかなという気がします。
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  1. 2012/03/01(木) 01:38:59|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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