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ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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シリア問題で注目のCNN効果

 シリア情勢が急速に動いています。国際社会の動向に関しては、国連とアラブ連盟を中心に、アメリカやロシアを含めて毎日のように新たな動きが出ていますが、いずれにせよアサド退陣に向けての流れは定着しました。やはりアラブ世論を背景にしたアラブ連盟がアサド退陣を打ち出しているのが大きいですね。
 現在のシリア情勢はほぼ以下の状況です。
※ホムスでアサド政権軍が無差別砲撃継続中。さらに大規模攻撃を準備中。数日中にもさらなる大規模虐殺が行われる可能性が高まっています。
※ザバダーニなど他の町でも、反乱軍の多い地区を政府軍が大規模弾圧作戦を進行中。
※南部ダラア、北部イドリブなどで、反乱軍の反撃が継続中。
※昨日、アレッポで治安局を狙った車両自爆テロで死者多数。
※昨日、シリア全土でかなり大規模な反政府デモ
※反乱部隊の中で、昨年から反乱部隊「自由シリア軍」を率いてきたアサアド大佐と、1月に反乱軍に加わったムスタファ・シェイフ中将で主導権争いが勃発。シェイフ中将は「最高革命軍事評議会」設置。最初は格下のアサアド大佐が反発していましたが、国民評議会や支援国がシェイフ中将に急接近したため、アサアド大佐が妥協。国民評議会の仲介で、協力することになりました。全体の代表をシェイフ中将が、現場の作戦指揮をアサアド大佐が受け持つようです。
 ちなみにシェイフ中将はこれまで治安担当の北部地域副司令官でした。アサアド大佐はたまたまこれまでの反乱軍の中で最高位だっただけで、ゲリラ戦の指揮官としてはほとんど評価されていません。国民評議会ともたびたび揉めていて、反体制派陣営でも少し困った人でした。シェイフ中将の働きに期待です。国民評議会、地域調整委員会、最高革命軍事評議会が連携し、諸外国に公式に認められれば、支援ルートがいっきに動き出す可能性があります。

 あいかわらずKYなロシアがアサド支持に動いていますが、国際社会はすでにロシア抜きでアサド包囲網に動いています。ロシアが拒否権を持つ国連安保理はダメでしたが、国連総会、国連人権高等弁務官事務所、国連人権理事会などが一致して反アサドを鮮明にすれば、アラブ連盟のお墨付きもあり、国際的な反アサドの流れができます。カダフィのときのように、国際刑事裁判所がアサド追放の法的基盤に使われる可能性も高いですね。
 シリア国内ではアサド軍がもうなりふり構わぬ虐殺モードに入っていますので、今後も多大な犠牲が出るでしょう。それでもシリア国民は、反アサド活動を強める一方です。フェイスブックのシリア反体制派の世界では、「もう平和的解決などと言っている事態ではない。ジハードに立ち上がるべきだ!」といったニュアンスの書き込みがここ数日でもいっきに増えた印象があります。
 欧米はアラブ世界の要請があって初めて動ける状況になるので、一日でも早く国連総会や国際刑事裁判所でアサド非難を固め、世界のほとんどの国が外交関係を停止し、アラブ連盟を旗頭に有志連合を編成してアサド政権に圧力をかける必要があるでしょう。
 また、結局のところはアメリカ政府がどうするかという話にもなっていくわけですが、アメリカ政府を動かすのは、米世論。米世論を動かすのは米メディア、とくにTVメディアですが、そこで注目されるのは、CNNが最近、シリア関連ニュースをかなり前面に出してきていて、しかもその内容がどんどんアサド批判一色になってきていることです。
 つい先ほども、CNNインターナショナルがホムス砲撃について30分の特集を流していました。まとめたかたちではまだネットにアップされていませんが、以下は最近のニュースの一部です。
▽Men, women and children trapped in Syria2月9日)
▽Syrian attacks escalate (2月10日)
▽New blasts in Homs (2月10日)
▽The perils of everyday life in volatile Syria(2月10日)
 とくに本日の特別番組は、ユーチューブにアップされた内部からの情報にも大きく頼った非常にエモーショナルな作りでした。CNNにしては珍しく、悲惨な死体やケガ人の映像もかなり使われました。絶望的な状況のなか、ホムスの住人が「国連はこれを望んだのですか?」「誰か助けて!」と叫んでいます。私なんかちょっと泣きそうになるほどのレポートでしたが、これはアメリカのお茶の間に、そうとうな衝撃を与えるでしょう。

 ただ、このくらいの現地映像はすでに昨年春にはネットに出回っていましたので、なにか「今さら感」を感じますね。これまで「確認できない」との理由で、これらの映像は部分的にしか使用されず、情報的にも全部ウソのシリア政府公式発表に遠慮した報道が続いていました。それがなにか急に「アサドはひどい!」「シリア国民が可哀想!」な雰囲気になっていますが、当ブログでずっとお伝えしてきたように、アサドはもう1年間も国民を殺害しつづけてきました。
 そういえば、昨日、米国務省がホムスの衛星写真を公表し、駐シリア大使が「砲撃はアサド政権軍によるもの。反体制派のしわざではない」とざわざわ説明していました。
 かの国の人々とホンネで話した経験がある人であれば、アサド政権側の言うことは全部偽情報だということは自明のことで、あとは反体制派側の情報から偽情報や誇張をどう見分けるかというだけの話になることは最初からわかりきっていたことと思うのですが・・・。
 
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  1. 2012/02/12(日) 00:24:33|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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