ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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「サイバー攻撃」を知る本

 本日発売の『週刊エコノミスト』の書評欄「旬のテーマを読む」に寄稿しました。テーマは「サイバー攻撃」です。
 昨今、世の中を騒がせているサイバー攻撃ですが、じつはその実態を知るための情報源は非常に少ないのが実情です。
 とくに国家同士のサイバー戦に関して言えば、米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」の年次報告が基本データになり、若干の補足情報が米国防総省の中国軍に関する年次報告などにある程度。ただし、米中経済安全保障調査委員会の報告は、米軍やCIA、FBIなどの内部資料が使われているわけではなく、解放軍報などのオープンソースを丹念に分析している程度なので、米当局が持っているディープな情報まではわかりません。
 その他、最近は国家情報長官室の国家防諜室のレポートや、いくつかの民間シンクタンク、セキュリティ会社、防衛企業によるレポートが出ていますが、それもそれほど量が多くはありません。いずれにせよ、いちばん詳しいはずの米当局の情報がほとんど出ていないわけです。
 ということで、編集部から「3冊挙げてくれ」との注文だったのですが、圧倒的に『世界サイバー戦争』(徳間書店)がお薦めです。リチャード・クラーク氏とロバート・ネイク氏の共著。書き分け共著ではないので、おそらくクラーク氏の情報協力を受けてネイク氏がまとめたものと思われます。
 このクラークという人物は、もともと国防総省の情報マン。クリントン、ブッシュ両政権で長年にわたり、大統領府のテロ対策の調整官をしていた人物で、私たちテロ・ウォッチャーの間では、9・11テロに関する政権批判本『爆弾証言~すべての敵に向かって』の著者として有名です。
 また、共著者のネイク氏は、外交問題評議会フェローで、サイバー・セキュリティ問題の専門家ですね。
 このクラーク氏は、ブッシュ政権下でサイバー・テロ対策担当大統領特別補佐官も務めていたので、サイバー戦の実態をよく知る立場にいました。いわば政府の〝中の人〟で、その著作ですから、資料的価値が非常に高い。豊富な実例が引用されていますが、この立場の人物の著作なので、いずれも「おそらく実話である」と判断していいものと考えられます。
 クラーク氏はサイバー戦の脅威を啓蒙する立場なので、書き方はかなり扇動的ですが、そこに引用されている実例は、かなり衝撃的なものです。サイバー戦の実態がここまで来ているということに、驚かざるをえません。

 サイバー戦については、上記の書籍がダントツで重要と思われますが、他に2冊とのご要望でしたので、サイバー犯罪に関する本ですが、『サイバー・クライム』(講談社)と『サイバー犯罪とデジタル鑑識の最前線』(洋泉社)を紹介しました。前者は『フィナンシャル・タイムズ』に寄稿しているジャーナリストのジョセフ・メン氏の著作。サイバー犯罪者グループとそれを追うITセキュリティ専門家&英国国家ハイテク犯罪対策部捜査官の戦いをドキュメントしています。
 後者は小林恭子、塚越健司、成松哲、原広、吉澤亨史の5氏のライターの共著で、サイバー犯罪の問題全般について、コンパクトにわかりやすく解説されています。

 なお、締め切りが早かったので、今回の書評には間に合いませんでしたが、アマゾンによると、今月2日、『「第5の戦場」 サイバー戦の脅威』(祥伝社新書)という本が発売になったようです。著者の伊東寛氏は元陸上自衛隊システム防護隊長で、現在はラックホールディングス株式会社サイバーセキュリティ研究所所長だそうです。まだ拝読していませんが、これは楽しみです。

 ちなみに、アマゾンで「サイバー戦」で検索したら、こんな強烈な本も出ていました。
『3・11人工地震テロ&金融サイバー戦争 二人だけが知っている超アンダーグランドのしくみ』(ヒカルランド刊)。著者はあのベンジャミン・フルフォード氏と飛鳥昭雄氏で、序文・解説があの船井幸雄氏という電×界の強力チーム。もちろん書評には遠慮させていただきましたが、興味のある方は止めはしません。
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  1. 2012/02/06(月) 12:18:17|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
  1. URL |
  2. 2012/05/04(金) 15:35:27 |
  3. 履歴書の職歴 #-
  4. [ 編集]

伊藤寛さんの「第5の戦場」拝読させていただきました。
さすが、陸幕調査部でのご勤務もあり、コンピュータセキュリティだけではなく、インテリジェンスの目もお持ちだという印象を受けました。
三菱重工の事件をリークしたのは警察だというお話や北朝鮮のパソコンを解析したというお話は中々面白いです。
外事警察が公開するのも間もなくで、徐々に防諜や情報セキュリティの概念を浸透させるやり方は、さすが●●と思いました。
伊藤さんの論文掲載の許可をいただき我が社に掲載しましたが、とても好評でした。
「諸外国からの見えない脅威」をもっと国民に知ってもらい、理解していただいて、強い日本を作ることが大切だと思いました。
  1. URL |
  2. 2012/05/09(水) 00:26:21 |
  3. lawin_s #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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