ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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アラブ連盟がアサドに退陣要求

 昨日のアラブ連盟の外相級会合で、ようやくアサド退陣要求がまとまりました。内容は以下。
▽2週間以内にアサド政権と反体制派が対話を開始
▽2カ月以内に与野党による与野党による国民統一内閣を発足
▽暫定政権ではアサド大統領はシャラ副大統領に全権委譲
▽3ヵ月月以内に新憲法制定のための委員会を発足
▽その後、国際社会の監視下で大統領選挙および議会選挙
▽暴力行為を調査する独立機構を設置

 主導したカタール外相は、アサド政権が受け入れない場合、国連安保理に付託するだろうと述べています。
 アサド政権は即座に拒否しています。世襲独裁すなわちアサド王朝ですから、当然の反応です。反乱軍が増えてきたといっても、いまだに政府軍圧倒的優勢の状況に変わりはないですから、アサド政権としてはこのまま国際社会の要求をのらりくらりとかわしつつ、徹底的な弾圧を継続するしか道は残されていません。退陣などすれば、これほどの大量殺戮をやってしまった以上、いずれ新政権下で死刑になる可能性が非常に高いので、これは独裁者側も後へは引けないわけです。
 
 さて、今後の見通しとしては・・・
▽2週間以内にアサド政権と反体制派が対話を開始
⇒まずここからして難しいですね。反体制派にも大きく分けて3派があります。①海外在住者グループ ②国内の武闘派・直接行動派 ③国内穏健派ですが、アサド政権と交渉と言っているのは、今のところ③です。が、③は反体制派全体にはほとんど影響力がありません。いま状況を動かしているのは圧倒的に①②で、彼らは口と行動が合致しないアサド側と交渉など信じてませんね。
 アサド退陣の今回のアラブ連盟案を前提とすれば②も③も異論はないでしょうが、おそらくアサド政権はアサド退陣は拒否しつつ、反体制派との交渉は望むところと称して、③グループの、まったく実のないかたちだけの交渉ということになろうかと思います。

▽2カ月以内に与野党による与野党による国民統一内閣を発足
▽暫定政権ではアサド大統領はシャラ副大統領に全権委譲
⇒現時点でアサドが実質的に受諾することはないですね。内戦化し、離反兵続出でアサドが末期のカダフィみたいに地下逃亡を余儀なくされるような状況に至れば、アサド側が命乞いの意味でこれを持ち出すことになるでしょう。手遅れですが。

▽3ヵ月月以内に新憲法制定のための委員会を発足
▽その後、国際社会の監視下で大統領選挙および議会選挙
▽暴力行為を調査する独立機構を設置
⇒これが出来ればいいのですが。いちばんありそうなのは、「アサド政権が形式上の退陣(実権は保持)」→「アラブ連盟の選挙監視団受け入れを受諾」→②「翼賛選挙実施・国際監視団の行動を妨害」→「選挙結果を操作し、アサド当選を宣言」・・・という茶番でしょうか。制憲委員会も暴力行為調査機構も、形式だけの骨抜きのかたちでアサド政権が仕掛けてくる可能性があります。

▽主導したカタール外相は、アサド政権が受け入れない場合、国連安保理に付託するだろうと述べています
⇒さっさとやればいいのに、と思います。アラブ連盟が監視団を出し、それでアサド退陣要求という結論に至っているならば、ロシアの詭弁ももうなかなか通じづらくなるはずです。いきなり武力行使容認決議まではないでしょうが、とりあえず飛行禁止&安全地帯設定までなんとか持っていけないものでしょうか。
アラブ連盟は上記のアサド退陣要求と同時に、監視団の延長も決めています。が、監視団が弾圧を抑止する効果がないのは明白ですから、もう充分です。アラブ連盟には「白人が乗り出す前に、アラブ人に一回やらせてみる」というアラブ世論対策のアリバイ効果しかないので、さっさと監視団を引き揚げ、国連安保理に付託すべきですね。
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  1. 2012/01/23(月) 12:46:53|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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