ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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日本vsシリア サッカーのロンドン五輪最終予選でもうすぐアウェー戦。でも、シリアは内戦状態

 2月5日にはサッカーのロンドン五輪最終予選C組第4戦の対シリア戦がアウェーで行われます。現在、日本は3勝を上げて勝ち点9の首位。2位のシリアは2勝1敗で勝ち点6。今度の試合は事実上の決戦といっていいですね。
 ただし、アウェー戦といってもシリアで行われるわけではありません。安全が確保できないとして、1月11日に急遽、ヨルダンで行われることが決定しました。
 シリアではここのところ、背景が不明なテロや、外国人への攻撃が多発していて、「テロリストがいるから、しかたなく軍を市内に出しているのだ」という独裁政権側の詭弁に利用されています。反政府側は関与を一切否定していて、シリア情報機関の自作自演説が濃厚ですが、サッカーの国際試合など、テロ宣伝にはもってこいの場ですから、仮にシリア国内でのアウェー戦を強行していたら、日本チームも冗談でなく、ちょっと危険なことになっていたかもしれません。
 それはともかく、シリア・チームは故郷がこんな状況ですから、試合どころではない心境でしょう。

 ちなみに、下はシリアでは有名な元シリア代表チームのゴールキーパー。ホムス出身で、現在はホムスのデモを主導する地域調整委員会のリーダーのひとりとして頑張っています。実弟が治安部隊に殺害されています。名前はアブドルバーセト・アル・サルートゥといいます。
▽デモを指導するアブドルバーセト・アル・サルートゥ

 アルジャジーラでも彼の特集が組まれています。
▽アブドルバーセト・アル・サルートの戦いアル・ジャジーラ)

 とにかくシリアの状況は急速に「内戦化」の一途を辿っています。
 イドリブ、ホムス、ダラアなど、反政府勢力の強い都市の一部で、自由シリア軍が部分的に支配権を確保した街はいくつかありましたが、1月16日、レバノン国境に近いアル・ザバダーニという街で、政府軍が撤退し、初めて町全体を自由シリア軍が掌握しました。
 その映像は以下。
▽ザバダーニ内部映像
 1月16日アップ。町を掌握した自由シリア軍の映像あり。アラビア語ですが、よくまとまっているレポートです。
▽ザバダーニを掌握した自由シリア軍
 1月18日撮影とあります。音楽かぶせてあります。

 下はCNNのザバダーニ報告。こちらは英語です。
▽CNNのザバダーニ報告
 さすがはCNNです。いい仕事しますね。

 アル・ザバダーニはレバノンへの幹線道路にある山岳地帯の街で、もともと部族社会が強く、昔から密輸ビジネスの地下社会がありました。麻薬密輸組織なんかもあって、もともと軽武装集団があります。密輸ビジネスを通じてレバノン側とも関係が深く、今回の蜂起はそうした下地があるところに、アラブ連盟の視察団が入った機会にいっきに勝負をかけたといったところでしょう。
 ただ、アサド政権軍はいったんは撤退しましたが、再攻撃をかける可能性が大きいですね。今のうちに欧米のメディアがどんどん入り込み、反政府軍の拠点としてクローズアップされれば、アサド軍も無理な虐殺はしづらくなると思うのですが。
 ホムスでも、相変わらず政府軍と自由シリア軍の戦闘が続いているようです。
 ハマでも、自由シリア軍の映像が出てきました。
▽ハマの自由シリア軍
 1月19日アップ。ハマのアル・ハミディーエ地区。自由シリア軍の勢力については、誇張情報が飛び交っていてよくわからない部分が多かったわけですが、こうしてみると最近いっきに増えてきた印象があります。

 2月5日の五輪予選シリア戦は日本でも多くの方がテレビ観戦すると思いますが、シリアがこんな状況になっていることとか、ほとんど知られていないのが残念です。
 じつは私自身、シリア問題の企画をいろいろ持ち込んでいるのですが、なかなかメディア側の好感触を得られないでいます。カダフィのときなどは、そこそこ問い合わせもあったのですが、どうしてもシリアはインパクト的にマイナーなのですね。
 中国のサイバー戦や北朝鮮情勢でのお話は今もいろいろいただくことがあるのですが・・・。やっぱり遠い国なんですねえ。私自身は独裁政権が打倒される現在進行形の革命に、歴史の激流を目の当たりにしている感覚があるのですけれども。

(追記)
 反乱軍である自由シリア軍は、バース党政権を象徴する現在の国旗でなく、緑色基調の古い国旗を使っているのですが、昨年11月の日本vsシリアのホーム戦で、シリア側サポーター席で、体制派と反体制派がそれぞれの旗を掲げて揉めていたそうです。ネットにそのときの写真もありました。
▽日本vsシリアでのシリア側応援団の内ゲバ
 写真上部の緑色の旗が反体制派。下の赤色が入っているのが体制派。体制派は大使館員などでしょう。反体制派は留学生などでしょうか。どっちも人数少ないですが、どちらかというと体制派優勢ですね。行って反体制派に加勢したかったです。
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  1. 2012/01/20(金) 14:10:54|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:6
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コメント

アサドはそんなに悪人なんでしょうかね?

最近シリアに入って取材してきたフランス人ジャーナリストの
ティエリ・メッサン氏によれば、「シリア国内でのアサドの支持は絶大。
自由シリア軍の正体は前科モンや金につられた貧乏人等の傭兵で、指揮してるのはCIAとMOSADの共同オペ。アメリカはリビア同様に
シリアの資産をがめる気でいる。シリア国内取材中は警察などに
咎められたり指図されるようなことは一度として無かった。」と述べている。
2011年12月中、ロイターが「ダマスカスで大規模な反アサドデモ」
と写真付きで報じていたが、全くの嘘っぱちだった。反アサドデモではなく
アサド支持の特大集会の写真を、全く逆の注釈をつけて報道していた。
随分むかし、湾岸戦争時に油まみれの海鳥の写真を見たが、
まるであれと同じ類のロイター式の糞記事だ。

欧米目線のブログ記事でしたので、あえてコメントさせて頂きました。

  1. URL |
  2. 2012/01/20(金) 20:48:31 |
  3. 匿名 #-
  4. [ 編集]

 コメントありがとうございます。拙ブログでは、誹謗中傷の類でなければ、私自身の考えと異なる方のいかなるご意見も歓迎いたします。
 さて、アサド大統領の支持率ですが、信頼できる世論調査などの資料がありませんので、水掛け論にならざるを得ない問題ですが、私自身はこの点はそれなりの経験によって自信を持って書いております。
 また、欧米目線とのご指摘ですが、私の情報源はどちらかというと現地の人間です。たった約20年ほどにすぎませんが、それなりに中東地域とは継続して関わってきておりますので、シリアに限りませんが、そこそこアラブ世界のことは理解しているつもりでおります。
  1. URL |
  2. 2012/01/21(土) 02:15:34 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

横から失礼致します。
私もどちらかといえば、アメリカのやり方には否定的なのですが、さすがに9・11陰謀論などは信じていません。

上記、匿名氏が持ち出したティエリ・メッサン(メサン)Thierry Meyssan は、まさに9・11陰謀論の著作を持つ、怪しげなジャーナリストだと、私は思っています。

2代にわたるアサド王朝(といっていいでしょう)の良いところももちろんあるでしょう。が、ハマの虐殺や、最近のデモ弾圧を見れば、悪人の形容詞は間違ってはいないでしょう。
青山弘之氏の「シリア・アラブの春顛末記」など、日本語でも丁寧に現地の情勢をフォローしているサイトがあります。ぜひ、見ていただきたいですね。

長くなって恐縮ですが、黒井様に質問をひとつ。
昨年9月10日のエントリーでシリアの治安機関について解説されていましたが、バース党の機関には触れていませんでした。
ご存知であれば、お教え下さい。



  1. URL |
  2. 2012/01/21(土) 10:15:16 |
  3. sin #-
  4. [ 編集]

 コメントありがとうございます。
 さて、ご質問の件ですが、おそらくバース党内にも政治監視セクションのようなものはあると思うのですが、よく知りません。私の知るかぎり、現在のシリアでは、そういう方面は圧倒的にムハバラート、アムン、軍事情報局、空軍情報部などのほうが主力になっています。お役に立てずに申し訳ありません。
  1. URL |
  2. 2012/01/22(日) 10:47:31 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

黒井様

ご多忙のところ、お返事をいただき、ありがとうございます。
参考になりました。

昨年来、黒井様が週刊誌、月刊誌にご健筆をふるわれているのを、嬉しく拝見しております。
「ワールド・インテリジェンス」の再開も遠くはないのではないか、と心待ちにしています。
今後、ますますのご活躍を。

余談ですが、昨年末も、「イランの情報機関」と題した同人誌を作りましたが、50部が3時間で完売しました。既刊の「サウジアラビアの情報機関」も25冊が売れました。
ある程度、この分野に需要があるのだな、と改めて思いました。
  1. URL |
  2. 2012/01/22(日) 18:00:52 |
  3. sin #-
  4. [ 編集]

 ご丁寧な言葉を承りましたが、まったく役に立たないレスポンスで、たいへん申し訳ありませんでした。
 さて、イランの情報機関ですが、私はなんといってもアル・クドス部隊に注目しております。とにかく得体が知れない裏部隊で、今やちょっとした裏の権力を持っている域に達しつつあるような印象さえ持っています。今年はこれからイラン情勢が緊迫しますが、なにかやらかすかもしれませんね。
  1. URL |
  2. 2012/01/24(火) 01:00:42 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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