ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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7人の昭和人

 数日前の拙ブログで、太平洋戦争世代のことについて書きましたが、ここ数年、自衛隊OBの取材をしたり、昭和裏面史関連の取材をするなかで、「この人物について知りたい!」と強烈に思う昭和の先人が何人かいます。いずれも故人なので、直接話を伺うことは不可能ですが、現代史の裏面の主人公として、非常に強烈な人生を歩んでこられた方々です。
 できれば評伝を書いてみたい希望はあるのですが、裏面史の人物だけに、いずれも既存の情報があまりありません。それなりの新規取材が必要になりますが、軍事誌をメインにしている私には、なにぶんコストパフォーマンスの面でハードルが高く、今のところ手も足も出ない状況です。
 ともあれ、そんな興味深い人物を7人ほどリストアップしてみます。
①広瀬栄一
 元北部方面総監で、退官後は日本郷友連盟会長なども務められた方です。旧軍で欧州駐在経験もある対ソ諜報のプロで、終戦時には陸軍次官秘書官、陸相秘書官を歴任していて、当時、陸軍中野学校グループのリーダー的存在でした。戦後は陸自で情報部門の拡充に奔走。自衛隊の情報部門でもっとも大きな足跡を残された方です。陸幕二部(調査部)の初代情報班長で、後に二部長となり、例の「陸幕調査部別班」を創設しています。三無事件や三島由紀夫事件でも名前が登場します。娘婿の方もたしか陸自のソ連情報の専門家で、北部方面総監になられていたと思います。
②小杉平一
 旧内務官僚で、初代陸幕二部長。後藤田正晴氏とともに草創期の自衛隊の情報部門を牽引しました。その後、警察庁に戻られ、最後は関東管区警察局長で退官されています。2006年までご存命だったようで、ひと足遅かったと残念です。
③山崎重三郎
 元参謀本部第2部支那課支那班長(中佐)を務められた旧軍の中国専門家で、戦後はキャンプ座間の米陸軍第500部隊(情報部隊)に参加し、日本人調査要員のリーダーとして長く務められました。かつて国会で共産党に「山崎機関」などと追及されたこともありましたが、いずれにせよ戦後の在日米軍の情報活動をもっともよく知っていたはずの人物です。
④岩畔豪雄
 旧軍の情報部門を牽引した著名な将校です。登戸研究所、中野学校、昭和通商などの生みの親で、南方工作機関として知られる岩畔機関の指揮官でもあります。また、対米開戦を回避すべく、開戦直前のアメリカで奔走されたことも有名です。
 縁者の方が評伝を出版されていますが、やはり秘密事項の多い謀略戦の部分は依然謎が多く残されています。また、この方は戦後、在野で右翼系の活動をされていた形跡もあるのですが、その部分はまったく謎です。1965年に京都産業大学の設立に奔走し、同大の初代世界問題研究所長を務められています。同大の直系には、日米秘密交渉で有名な若泉敬氏などもいます。
⑤村井順
 旧内務官僚で初代内閣調査室長。退官後は綜合警備保障の創設者。有名な方で、かつては共産党系メディアなどにさんざん批判的に書かれてきましたが、その足跡が正しく伝えられていない気がします。
⑥三浦義一
 昭和裏面史最大の大物。児玉誉士夫氏を超える戦後最大のフィクサーですが、ロッキード事件で有名になった児玉氏と違い、その人生の詳細はあまり明らかになっていません。私が知っている範囲では、猪野健治氏の『日本の右翼』に書かれた人物来歴がもっとも詳細と思いますが、それでも三浦氏の足跡のほんの一部といえます。あれほど重要な役割を果たした人物にしては、あまりに情報が少ない。黒幕の宿命なのでしょうが、戦後史を知るには欠かせない人物です。
⑦関山義人
 三浦系の大物右翼ですが、戦中に香港で関山機関を運営したり、戦後にG2と密接に関わったり、大日本義人党などを指揮してコワモテ系として睨みを利かせるなど、なかなか興味深い役割を果たした人物です。昭和最後の黒幕として有名な西山広喜氏を育てた人物でもあります。三浦氏と関山氏を中心に、その周辺の右翼群像に迫れば、戦後史の空白のピースが埋められる気がします。

 以上、いま脳裏に浮かんだ名前を書き連ねてみましたが、他にも興味深い人物はたくさんいます。
 以前、『ワールド・インテリジェンス』で藤原岩市・元陸上自衛隊調査学校長や、天川勇・元海軍大学教授などの足跡について記事を書いたことがありますが、こうした作業は非常に興味深いものがあります。
 近年は佐野眞一さんによる甘粕正彦氏の評伝『乱心の曠野』や、工藤美代子さんによる笹川良一氏の評伝『悪名の棺』などの傑作がいくつも世に出ています。笹川氏などはちょっと前まではアンタッチャブルな領域でしたが、ようやく昭和裏面史の人物に光をあてる時代になってきたのだと思います。
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  1. 2011/12/13(火) 14:13:33|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

http://plaza.rakuten.co.jp/junksai/diary/201105050000/

くれどと申します 北炭のドンだった 萩原吉太郎の私の履歴書から ひろったもので ちらっと重要なところで 三浦義一が出てきています
よろしければ どうぞ

  1. URL |
  2. 2011/12/18(日) 06:58:16 |
  3. くれど #-
  4. [ 編集]

ご教示ありがとございます。今後ともよろしくお願いいたします。
  1. URL |
  2. 2011/12/19(月) 07:56:37 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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