ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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沖縄防衛局長舌禍事件・その他雑感

 諸々雑感を書き連ねてみます。

 まずは防衛省沖縄防衛局長の「犯す」発言問題。記者懇で酔っ払い、政府が普天間移設のための環境影響評価書を「年内に提出できる準備をしている」との表現に留めていることに対して、「女性を犯すときに『これから犯しますよ』と言いますか」と発言したそうです。
 事実とすれば完全アウトですが、どうも事実関係が報道ではよくわかりません。防衛省側(本人)の説明では、以下の発言だったとのこと。
「『やる』前に『やる』とか、いつ頃『やる』とかということは言えない」「いきなり『やる』というのは乱暴だし、丁寧にやっていく必要がある。乱暴にすれば、男女関係で言えば、犯罪になりますから」
 言った言わないの話なので、事実は不明ですが、発言内容のインパクトが全然違いますね。後者でも暗にレイプを匂わせていて、喩えとしてはたしかにこれでもマズイことはマズイですが、もしこれを「犯す」発言に記者が捏造していたのなら、それもかなり悪質ということになります。
 事実はわかりませんが、わからないうちから「犯す発言」で状況がどんどん動いていったのも、本来はおかしな話です。
 本日の新聞解説では「これで普天間移設が難しくなった」との論調が出ていますが、それもよくわかりません。防衛省に対する県民感情で決めるものなのでしょうか。
 批判は女性蔑視、沖縄蔑視に集中していますが、本当の問題は、この発言には政府側が「沖縄を油断させておいて、いずれはチカラワザで動かすしかない」と考えているホンネが出ていることではないかなと思います。仮に本人の弁が事実だったとしても、「やる」という言葉のニュアンスはそういうことを示しています。
 実際、私が聞いている範囲だけでも、そういう観測を持っている人がほとんどです。沖縄側もそのあたりの政府のホンネはわかっているはずだと思うのですが・・・。

 さて、今度の通常国会に提出予定の秘密保護法案に、新聞協会が反対だそうです。公務員の守秘義務が強化されますから、従来のようなオフレコ取材がかなり難しくなります。新聞・テレビは番記者態勢でオフレコ情報が入るというのが最大の強みでしたが、その構図が崩れる可能性があります。
 最善の策は、特別秘密指定を本来の国家機密に絞り込み、それ以外は原則公開にすることですが、特別秘密指定をするのは役所なので、トラブル回避のためになんでもかんでも特別秘密にされる可能性がたしかにあります。
 私自身は機密保全の必要性を訴えている立場ですが、その一方では、ライターという職務上、非公式情報を記事化することはしばしばあります。情報源個人が不利益にならなければ、それは生業ですから原則的には書きます。ですが、今後はそれも難しくなるかもしれません。

 ところで、TPP論議は、その議論の対立のしかたが非常に興味深いです。私自身はざっくり言えばTPP賛成派ですが、メリット、デメリット両方あって、それぞれ論者がどの立場に立つかで明確に二分されています。
 しかも、両サイドの識者ともに相手方への罵倒のしかたが尋常でないですね。「売国奴」なんて言葉もあちこちで飛び交っています。
 それにしても専門家の方々が、互いに反対陣営に対し「あいつらは何もわかっていない!」と自説原理主義になっているので、読んでいるほうも何がなんだかわかりません。それでも、そんな専門家の意見がそれぞれそれなりに説得力があるのは、要するにどちらにもメリットとデメリットがあるからにほかなりません。
 私自身は経済グローバル化のメリットのほうが大きいと今のところは考えているのでTPP賛成派なわけですが、同じ賛成派陣営でも、私の比較的得意分野である安全保障問題の観点で「TPPの本質は日米同盟」との説には賛成できません。対中国シフトなどというのは後付けの理屈であって、そこはやはり日米の経済浮揚の話がメインであろうと思っています。

 ちょっと違う構図ではありますが、感情的な怨嗟のバトルになっているところは、TPP論争は原発論争に似ているところもありますね。
 開米瑞浩氏のコラムで紹介されていたのですが、コピーライター・糸井重里氏が震災しばらく後の今年4月25日にツイッターでこんなふうに書いていたそうです。

<ぼくは、じぶんが参考にする意見としては、「よりスキャンダラスでないほう」を選びます。「より脅かしてないほう」を選びます。「より正義を語らないほう」を選びます。「より失礼でないほう」を選びます。そして「よりユーモアのあるほう」を選びます>

 ロジックとしては乱暴かつ不充分ですが、経験則としてはかなり同意ですね。もちろん是々非々ではありますが、なるほどなあと思いました。
 下記は悪い見本の典型的な例ですね。
▽ネットで「白血病患者急増」出回る 日本医師会が否定の文書 産経11月30日

 原発といえば、こんな世界仰天ニュースが・・・
▽世界の頭脳に福島党首夫妻 米誌「原発推進に抵抗続けてきた」100組中29位
 世界の頭脳!!!

 ところで余談ですが、原発といえば、本日発表された今年の紅白歌合戦。猪苗代湖ズというバンドが出演します。サンボマスターの山口隆さんを中心とする震災復興応援バンドですね。
 今年は東北出身者が勢ぞろいですが、我が故郷いわき市出身のミュージシャンはいないようです。で、気付いたのですが、そもそも福島県出身の芸能人ってあまりいないですね。加藤茶さん、西田敏行さん・・・あと誰かいたでしょうか???中村敦夫さんはたしか中学・高校の先輩だったような(うろ覚えです)・・・こう考えると沖縄県民って凄い!(話が脱線しました)

 さて、当ブログでカバーしているシリアですが、こんな動きがあります。
▽アラブ連盟がシリア制裁決定、資産凍結や投資打ち切りへ ロイター11月 28日
 いよいよ制裁が本格化してきました。
▽シリアのデモ弾圧は「人道に対する罪」、国連調査委が報告書ロイター 29日
 何を今更な感はありますが、こういう国際世論の雰囲気づくりは後々重要になってきますので、どしどし行ってほしいと思います。

 シリアでも外国大使館襲撃がありましたが、イランも酷いですね。
▽イランの英大使館にデモ隊乱入、制裁への抗議で暴徒化 ロイター11月30日
 中東独裁国はもう何でもアリです。国際法とか関係ないですね。自分で自分の首を絞めるだけですが。

 最後にこんなニュースも。
▽ノルウェー乱射容疑者は「精神障害」、治療施設収容の公算ロイター11月 30日
 予想通りの展開ですね。要人テロの犯人の多くが精神異常者であることは、以前当ブログでも紹介したことがあります。こういうのは、いくら対策をとっても、正直お手上げですね。

(追記→)
 冒頭に記した沖縄防衛局長の「犯す」発言について、ある新聞の社説が「オフレコを報じるのはルール違反」と非難していました。要するに「そんなことすると、これからウチもオフレコ情報とれなくなるじゃないか!」という文句ですが、これには強い違和感を感じました。
 オフレコなどというのは、記者個人が取材対象に食い込んで信頼関係を作っての話というのが筋で、なんだか「番記者ならオフレコOKがしきたり」などという甘えた記者クラブ的利権意識に聞こえます。これは文句の筋合いが違うのではないかなと思います。
 それより、誰も指摘しませんが、仮に沖縄紙の記者が悪意をもって「やる」を「犯す」に捏造していたら、それはちょっと酷いのではないかなと私は思います。文脈がそういうニュアンスを含むものだったとしても、いわゆるカギカッコの発言を悪意で捏造するのは、それこそルール違反。というか、メディアによる暴力です。事実は私にはわかりませんが、仮にそういうことがあるなら、そちらを問題にすべきでは?
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  1. 2011/11/30(水) 18:10:39|
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東京都新宿区にある事業所のご案内です。精神障害者が地域で暮らしていけるよう幅広く支援しています。自主製品の七宝焼などもご紹介しております。
  1. 2012/01/25(水) 15:06:32 |
  2. トラックバック失礼します。社会福祉法人ファロ

プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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