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ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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シリア国民評議会代表のモスクワ記者会見

 つい先ほど、シリア国民評議会のガリユーン代表がモスクワで記者会見を行いました。ネットで中継していたのを見ましたが、発言の注目点は以下。
「現時点で外国の軍事介入は求めないが、暴力が停止されるように国連平和維持軍の進駐を希望する」
「自由シリア軍が、自衛の戦いをするのは当然だが、それを超えて戦闘を仕掛け、内戦化するのは希望しない」
「アサド政権でまだ犯罪行為に手を染めていない人々に、政権離脱を強く促したい」
 あくまで非暴力闘争での軟着陸を目指すということのようですが、私の聞いているところでは、外国の介入要請は「時期を待っている」ところだとの情報もあります。
 モスクワの会見なので、ロシア海軍のタルトゥース使用に関する質問が出るかと期待したのですが、それはありませんでした。ロシアはとにかく軍事的・国際政治的な国益の観点でアサド支持の姿勢を崩していません。モスクワの知人に聞きましたが、ロシアの一般国民も、アメリカ&NATOへの反感があるようで、まだアサド反対の世論はそれほどないようです。
 ただ、ロシア外務省がガリユーン氏と協議したということは、ロシア政府もアサド政権存続をホンネでは諦めているのではないかと思います。シリア問題でロシアは国際社会で孤立していますが、このまま単独でアサド政権支持を貫くと、リビア新体制から締め出されたのと同じ不利益を被る可能性が高いと判断したのかもしれません。
 ガリユーン氏の記者会見で、質問で多く出たのは自由シリア軍のことでしたが、ガリユーン氏自身は彼らにそれほど影響力があるわけではないとのことでした。
 他方、その自由シリア軍ですが、暫定司令官のアスアド大佐はこんな発言をしています。
「政変後、自由シリア軍が治安の責任を持つ」
「アサド体制の人間は新体制から外す」 
 かなり先走った印象ですね。
 結果的に、ガリユーン発言とアスアド発言はミックスでなかなか効果的な心理作戦のようになっていますが、まあ偶然でしょう。
 とにかくシリア情勢はなにやら急に動き出してきました。1日1日で潮目が変わったりしますので、目が離せません。

(追記)
 空想かもしれません。でも、ちょっと考えたのですが、ベストの道はたしかにガリユーン国民評議会代表の言う方法かもしれません。
 シリアの現状はすでに内戦に準じる状況だと、アラブ連盟と国連安保理で認定し、国連平和維持軍が進駐して、国連管理下で総選挙を行う。国連部隊にはアメリカを入れず、たとえばロシア、中国、フランス、南アフリカ、アルジェリア、エジプト、ブラジル、日本あたりが主体になる、と。それで新たな国家の体制を決めるということなら、もっとも犠牲が少なくて済むのではないかと思うわけです。
 これまでの人類の歴史が教えているのは、革命は、その成就後こそが難しいということですが、そういった意味でも、融和を為すために、ガリユーン・プランはベストではないかなという気がします。

(追記2)
 非公式情報ですが、ガリユーン代表は今回、非公式にロシア外相とも会談した模様。ロシア側はかなり強硬で、「アサド体制維持」を前提に、「国民評議会とアサド政権がエジプトで交渉」し、「今年3月時点への回帰=つまり軍の撤退とデモ終結」を実行し、「アサド政権の定めるプログラムで改革を進める」ことを提案したとのこと。アサド政権が約束を守るかどうかは、「ロシアがアサド政権と交渉」するので、「国民評議会は口出し無用」ということです。
 最初だから公式論しか話さなかったということでしょうが、そんなふうにいかないことはロシアもわかっていると思うので、実のある話はまた今後に、ということでしょうか。
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  1. 2011/11/15(火) 23:28:14|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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  1. |
  2. 2011/11/18(金) 14:06:52 |
  3. #
  4. [ 編集]

シリアは何処へ?

21日の段階。自由シリア軍のアマル・アルワウィ事務局長によると、離反兵は2万5000人に上っているとのこと。西部のラスタンは彼らが抑えており、政府軍は手が出せない。20日には、与党バース党の建物を直接武力攻撃するに至っている様子。アルワウィ氏は「政権は終わりに近づいている」と強調している。
一方アサド大統領サイドはアラブ連盟の打開策を蹴り、今後も彼らが言う「ギャング」に対する弾圧を継続することを示唆している。
  1. URL |
  2. 2011/12/01(木) 01:32:36 |
  3. まーちゃん #-
  4. [ 編集]

 自由シリア軍は人数も戦績も大幅に誇張しています。組織もまだ未整備で、じつは地方の離反兵をきちんとフォローしきれていません。数日前、ようやく国民評議会事務局との連携を合意したところで、今後のより効果的な組織化が期待されます。長い時間がかかりましたが、ようやくここまで来たなといったところでしょうか。
  1. URL |
  2. 2011/12/01(木) 08:43:26 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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