ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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シリアで英国人が逮捕されていた

 最近、フランス人女性ジャーナリスト、BBC女性記者、英「チャンネル4」取材班(イラン系イギリス人女性レポーター&アラブ系の名前の男性ディレクター)が相次いでシリア国内に潜入して撮影した番組が放送されたことを紹介しましたが、うまくいった人もいれば、うまくいかなかった人もいたようです。
 25日、英チャンネル4が、同局の番組のためにシリアで潜入取材していたイギリス人ドキュメンタリー監督のショーン・マッカリスター氏が、ダマスカス市内で協力者とともに逮捕・拘束され、シリア当局が反体制活動家たちに拷問をしていたのを目撃していたことを、帰国した氏のインタビューとともに放送しました。
▽Journalist witnesses Syrian authorities torturing (10月25日/Channel 4 News)
 彼と一緒に逮捕された現地の活動家はまだ拘束されたままのようですが、それでも、ご本人だけでも無事生還できてよかったです。あんな国で逮捕されるなんて、私なんて想像するだけでビビっちゃいますね。戦場取材よりずっと恐ろしいです。
 それにしても、ヨーロッパのジャーナリストの勇気・行動力は素晴らしいですね。もっとも、日本人では風貌&言葉の問題で、たしかにちょっとハードルが高いですが。

 ところで、取材の失敗など、私はそれこそたくさん経験していますが、風貌&言葉ということで思い出した「潜入」失敗談をひとつ。
 91年の湾岸戦争の最終局面の頃のこと。私はイランの首都テヘランから、イラクに近い南西部の町アフワズに向かう長距離列車の中で、湾岸戦争終結のニュースを知りました。
 ですが、その後、すぐにイラクでは南部のシーア派の反フセイン蜂起が発生し、バスラなども反乱勢力の手に落ちて、無政府状態になりました。
 これをラジオで聞いて、私は俄然燃えました。世界のニュースの最前線となっていたバスラに、距離的には世界中のジャーナリストの中で、アフワズにいる自分がダントツで近い場所にいたからです。
「これは潜入すれば世界的な大スクープだ!」
 しかも、フセイン政権はそのとき、シリア南部のコントロールを完全に失っていました。ということは、目と鼻の先にあるイラク国境までたどり着けば、楽勝でバスラに入れてしまう可能性が非常に高いわけです。
 警察国家・イランの政府は外国人記者の自由な取材を禁じていましたし(なので、一般旅行者として入国しました)、イラン=イラク戦争の頃から国境地帯は地雷原になってはいましたが、こういうときは、現地の詳しい人間の手引きがあれば、なんとかなるものです。私は勇んで乗り合いタクシーに乗り込むと、バスラまでわずか30キロ足らずの国境の都市ホラムシャーに向かいました。途中、何度かイラン軍の検問がありましたが、乗り合いタクシーはまったく目を留められることもなく、カフィーヤで顔を隠した私は、ホラムシャーにすんなりと到着しました。
 町の中心部の市場でタクシーを降りた私は、すぐに案内人を探すことにしました。国境へのアクセスに詳しい住人をカネで雇うわけです。こういうちょっとウラの事情に詳しい地元民というのは、市場をメインに探すと見つけやすいものなのです。
 しかし、私は自分が甘かったことを、すぐに思い知ることになります。東洋人の風貌を持つ私は、あっという間に好奇心に満ちた人々に囲まれてしまったのです。
 しかし、現地語のわからない私は、人々とまったく意思の疎通ができません。が、人々はとても親切で、私が困っていると、すぐに警察官を呼んできてくれました。
 そのエラく愛想のいい警察官ともあまり言葉が通じなかったのですが、なんとかカタコトで「英語が出来る人を呼んだから心配するな」と言っていることがわかりました。そして現れたのが、泣く子も黙る公安警察「コミテ」。確かに英語が堪能でしたが、これでもうすべてがおしまいです。
 私はコミテの事務所に連行され、そのままアフワズに移送されました。珍しい東洋人の風貌と、現地語が出来ないことが致命的でした。
 もっとも、結果的にはそれが良かったのかもしれません。イラクではすぐにフセイン軍が反撃し、シーア派反乱勢力を駆逐してイラク南部を完全に掌握したからです。もしあのままバスラに潜入していたら、フセイン軍の大攻勢に巻き込まれていたか、少なくともフセイン軍に拘束されたであろうことは、まず間違いと思います。
 あんな国で、誰にも知られないまま密かに拘束される・・・考えただけでゾッとします。
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  1. 2011/10/28(金) 00:34:36|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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