ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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被害妄想ニッポン?

 他人様の記事紹介ばかりですみません。すべて同意というわけではないのですが、示唆に富む記事をいくつか、ご紹介します。

①「週刊朝日」今週号より、「細野式数学的思考力~結局、こういうことですよね」(細野真弘氏コラム)
 今週のタイトルは「年金支給年齢引き上げ報道①」
 年金問題は「年金財政」ではなく、「世代間不公平」の問題だということ。日本の年金制度は諸外国に比べて恵まれていること。年金支給開始年引き上げに関して議論しただけなのに(すでに以前から議論されていたもの)、マスコミによってなぜか唐突に「年金は将来もらえなくなる」と短絡した報道が噴出したこと・・・などを指摘しています。

本当の専門家に聞いてみた放射能の真実~「分からない」から不安と恐怖が増殖していく(JPプレス/10月27日/鶴岡弘之氏)
『放射能の真実』の著者(辛坊治郎氏との共著)で、京都大学原子炉実験所の高橋千太郎副所長へのインタビュー記事。京都大学原子炉実験所といえば、マスコミ的には反原発派の梁山泊みたいなイメージですが、高橋氏はかなり違う見方をする専門家です。
 低線量被爆の人体への影響はよくわかっていないこと。それでも世界で長年の研究・検討の経緯があり、科学的議論とは別の社会の合意として、国際放射線防護委員会(ICRP)がかなり低めに設定した被曝限度を勧告していること。ただし、日本の暫定規制値もそれなりに厳しく設定してあるので、たとえば外部被曝のない京都などでは、暫定規制値の100倍くらいの放射線濃度のものを食べても問題ないこと。さらに、たとえば横浜のストロンチウムなど、報道されている放射線量はまったく問題のない数値で、検出されたというだけで大騒ぎする必要はないこと・・・等々を解説しています。
 本文はぜひ上記リンク記事の一読をお薦めしますが、重要な問題なので、以下一部引用します。
(質問)テレビで、東北の農産物を子供に食べさせてはいけない、捨ててくださいと訴えた学者がいました。東北の農産物は食べても大丈夫ですか。
「原発周辺に住まわれている方は、食品以外に外部被曝のリスクもあるし、ホコリの吸入による被曝のリスクもあります。暫定規制値は、そういう人たちを念頭に置いて定められた数値です。でも、それ以外の地域の方であれば、規制値をちょっと上回った食品を1カ月や2カ月食べ続けたって、健康にはなんの影響もありません」
(質問)放射能への不安と恐怖が蔓延しています。都内に住んでいる私の知り合いは、プールの底に放射性物質がたまっているといって、小学校のプール開き前の掃除に自分の子供を参加させませんでした。校庭の草刈りにも参加させないそうです。
「おそらく、見えないものに対する恐怖が極めて大きいんだと思います。人間の心情として、見えないもの、コントロールできないものを非常に危険視する傾向があります。
 また精神的にストレスが高い状態になると、極論に走りたがるものです。『危険かどうか分からない、だから危ない』と考えて、徹底的に遠ざけようとするんですね」
(質問)原発の是非は別にして、テレビや週刊誌、ネットなどの情報の中には放射能に対する不安を必要以上にあおっているものも見受けられます。
「放射能と戦う『正義の味方』になると、もてはやされますからね。また、『心配いりません』と言うより『こんなに危険です』と言った方が話題になり、注目してもらえるという側面もあると思います。
 しかし、一般の方がそれをそのまま受け止めていては弊害があります。もっと冷静に見つめて、この事態に対応していただきたいと思います」
 以上、引用。こうした専門家の声は、なかなか報道には乗らないですね。

被害妄想と時代錯誤の「黒船」~TPP論争問題は農業保護でも貿易自由化でもない(こちらもJPプレス/10月26日/池田信夫氏)
 TPPの脅威は、日本でだけ、反対派のあいだでだけ盛り上がっていること。反対派の言うアメリカ陰謀論=「アメリカの強硬な対日要求」など一向に出てきていないこと。経済の老化段階にある日本にはTPPが必要なこと・・・等々を指摘しています。

 これらの記事に共通するのは、短絡的な煽り情報の弊害への懸念ということですね。
 いま私が取り組んでいるサイバー攻撃関連でも、無防備でいることへの懸念を私は主張しているのですが、煽ってばかりいてはマズイのかも・・。
 サイバー攻撃は現実のもので、それに警鐘を鳴らすということ自体は間違っていないと思っているのですが、付け加えるなら、これはなにも日本ばかりが被害に遭っているわけではないことで、世界的なトレンドだということ。他国が欲しがる情報が少ない日本は、むしろ標的としてはマイナーなほうであること。サイバー攻撃の主舞台は、世界を動かしているアメリカ、ロシア、中国(&台湾・インド)、欧州主要国、あるいは紛争当事者の中東や朝鮮半島などであること、などもきちんと指摘したほうがいいのかもしれません。
  
 上記の②記事では、高橋先生がこんなことも言っています。
「テレビ局なんかはいきなり電話してきて、年間100ミリシーベルト以下の放射線は人体に影響があるんですか、ないんですか、どっちなんですかと聞いてくるんです。分からないとしか言えないんですよ、一言で説明するのは難しいんですよね、と答えていたら、いつの間にか取材されなくなりました」
 高橋先生はべつにそういうことをメインに言いたいわけではなく、インタビュー時に出た話のなかから、取材者が面白いと感じたエピソードを抜き出しただけなのでしょうが、私も似たような経験があります。
 欧州などでアルカイダ系のテロが続出した頃、「次は日本が危ない!」というような記事で、週刊誌などからコメントをときおり求められました。アルカイダの本なども出していたので、無名の私のようなものでも、ありがたいことに多少は需要があったわけです。
 でも、「日本でアルカイダのテロなんて考えられない」というような話ばかりしていたので、たいていボツでした。しょうがないですけど・・・(最後は愚痴ですみません)。

(追記)
 ところで、開米瑞浩さんの「原子力論考」新記事(▽人はメンツで理屈を語るもの(後編)で、興味深い2つの記事が紹介されていました。
▽日本の「被曝限度」は厳しすぎる~私が「月間100ミリシーベルト」を許容する理由(日経ビジネス・オンライン/10月17日/山田久美氏)
 オックスフォード大学名誉教授の物理学者へのインタビューです。
▽放射能を恐れすぎるな、フクシマの危機は過ぎたBLOGOS編集部/7月11日)
 こちらはロシアの原発事故専門家が、7月に自由報道協会主催で行った会見の起こしです。同協会は反原発派の牙城のようなイメージがあったのですが、こうして自分たちの主張に反する専門家の話もきちんと採り上げているところは流石ですね。こちらは専門家の中の専門家が、ニュートラルな立場から専門的な見地で原発事故・放射能汚染に関しての見解を述べています。少し長い記事ですが、この方のコメントの中に、今も続く「煽り情報」の問題点が語りつくされています。面白い内容なので、ぜひご一読をお薦めします。 
 とにかくいろいろな専門家の話を聞いて、(最近よく聞く言葉ですが)正しく怖がりましょう。
 少し前、山梨県に行く機会があったのですが、そこの飲食店で、私の同郷(いわき市出身)の従業員に会いました。放射能から逃れるために避難したのだそうです。
 この人を責めるつもりも、哂うつもりもありません。いろいろ悩みはあるはずです。今のところ自分の知るかぎりでは、故郷の友人で避難した人はいませんが、やっぱりみんな不安なのは知っています。
 とにかくいろいろな専門家の話を聞いて、正しく怖がるしかないと思います。
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  1. 2011/10/27(木) 10:48:35|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

自由報道協会にとっては誤算だったのではないかと

いやそれがですね、ロシアの専門家を呼んだときの岩上安身の発言、リアルタイムで見てましたが、彼らにとっては誤算だったようです。福島もチェルノのようになる、日本政府はダメダメだ、という発言をしてくれるものと思って呼んだのに期待はずれでガッカリ、という感が伝わってきましたよ。
  1. URL |
  2. 2011/10/27(木) 22:24:17 |
  3. 開米瑞浩 #-
  4. [ 編集]

そういうことでしたか。話は少し違いますが、左翼系市民団体が、海外取材からの帰国者を平和シンポジウムに呼んだときなど、ときどき似たようなことが起きるようですね。
  1. URL |
  2. 2011/10/28(金) 01:19:06 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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