本日発売の『週刊現代』に、「イラクで勃発!米軍vsクドス部隊の死闘」という記事を寄稿しました。編集部より「米軍がイラン空爆計画!」とのBBCの報道を受けて、関連の解説をとの話があり、それならばということで書きました。
将来のことはわかりませんが、米軍はたぶんイランを空爆する気は現時点ではないと思います。軍というものは、常に実戦を想定した作戦計画を考えていますが、それは通常業務のようなものに過ぎません。イラン空爆説がしょっちゅうリークされるのは、一種の心理戦です。
ただし、この心理戦はなかなか本格的なもので、周辺海域にはすでに米海軍は空母打撃群3個を投入しています。これはイランからするとかなり圧迫感があります。
アメリカがこんなふうにイランを恫喝する理由は2点。ひとつは核開発ですが、これはどうなるか現時点での情報からはよくわからないところがあります。イランの核武装はアメリカもイスラエルも許さないとは思いますが、イランのウラン濃縮施設はイラン自身が公表しているほど進んでいないとするインテリジェンスがこのところ盛んに米英の有力メディアにリークされています。それが事実なのか、あるいは心理戦なのかがよくわかりません。
イラン側は5月にも18基のカスケード(遠心分離器が約3000個)を設置するとしていて、それがその後、実際に稼動に移されれば、もう文句なく核爆弾大量生産態勢に入ります。けれども、どうもそんな緊迫感がアメリカにもイランにもありません。こちらはもう少し時間的余裕がありそうな気配になっています。
それよりも、アメリカが今、直面している最大問題はイラクでしょう。米兵の犠牲を減らすことがもう待ったなしになっています。ということで、米軍は今、イラクからイラン工作員を排除することにマジになってます。
イラン側でいろいろ悪事を実行している特殊工作機関が「クドス部隊」というハメネイ直系の謀略機関(革命防衛隊の特殊部隊)です。アメリカの対イラン圧力は、とにかくこのクドスを押さえることを最優先課題として行なわれてます。クドスはイランの謀略工作機関としてとくに90年頃から専門筋に注目されてきた秘密部隊で、イラン国内の外国人テロリスト養成キャンプの運営、さらに数々の海外でのテロを実行してきた組織です。筆者は日本の筑波大助教授殺害事件の黒幕ではないかとも考えています。96年のサウジでの米軍兵舎爆破テロでは当時のクドス司令官だったアハマド・バヒディがアメリカ捜査当局の容疑者リストに加えられたこともあります。
ともかく、クドス部隊はイランのなかでも政府中枢ですらアンタッチャブルな秘密のコワモテ組織として、大統領も手を出せない独自の動きをしています。この特殊機関はすでにイラク国内で、有力なシーア派民兵およびクルド民兵に深く浸透していますし、おそらくスンニ派民兵の一部にも影響力を持っています。クドスを排除することなくして、イラク駐留米軍の被害は抑えることはできないでしょう。
いずれにせよ、ブッシュ政権の残り期間は、イラクの後始末に全力を尽くすということだと思います。アメリカからの報道を見るかぎり、北朝鮮のことなど、ワシントンではあまり関心がもたれてないように見えます。日本の報道では、米朝協議で雪解けムードになってるように感じられますが、要はアメリカが北朝鮮なんて後回しでいいと考えているということではないでしょうか。
スポンサーサイト
- 2007/03/05(月) 15:25:03|
- 未分類
-
| トラックバック:0
-
| コメント:1
私は筑波大卒業生です。殺害された助教授の講義は興味深いものであったため何度も参加しておりました。殺害自体は卒業後でしたが、殺害現場にも献花に行っております。
当時、殺害犯がイスラム教徒であろうとは当然思われておりましたが、具体的な組織名が出てきたことはなかったと記憶しております。
なんらかの情報があるのでしたら、何かに書いていただければ拝見させて頂きたいと思います。
ただし、件の助教授も講義の中で「私も殺されるかもしれません。」というようなことを仰っていたくらいですので、お気をつけ下さい。
- URL |
- 2007/03/05(月) 20:17:59 |
- M.komatsu #mQop/nM.
- [ 編集]