ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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野田=オバマ会談

 訪米した野田首相に対して、オバマ大統領が普天間移設問題に関して強硬に要求を突きつけた、と大々的に報じられていますが、にわかには信じがたいですね。基本的にアメリカ側は「普天間存続」でもさほど困りません。困るのは日本側です。
 そもそも問題山積のアメリカの安全保障政策当局にとって、普天間問題など瑣末な問題であり、プライオリティは非常に低いはずです。対日外交担当のキャンベル国務次官補あたりはともかく、アメリカ大統領がアタマを悩ませるような問題ではないでしょう。いつものことですが、日本外務省情報で政治部記者の面々が大げさに書き立てている可能性が高い気がします。
 
 ただ、親分=アメリカの要求に対して、日本側がのらりくらりとかわすという構図は、戦後の日米外交ではずーっと続いてきた「いつものパターン」ではあります。結局、日米外交の政治面というのは、たいした問題がないので、そんなことでもずーっと通用していたわけです。貿易摩擦のような問題ではアメリカも本気ですが、安全保障問題では日米関係にそれほど深刻な問題はない、というのが現状なのだろうと思います。
 唯一アメリカが気をつかったのは、おそらく在日米軍基地を「極東から世界」対応にシフトさせることだったのではないかなと思います。そのあたりのことに関連して、05年出版の拙編著『日本の防衛7つの論点』に掲載したインタビュー記事で、自民党の加藤紘一・元幹事長が興味深い発言をしています。古いインタビューですが、一部引用してみます。
(以下、引用)
――アーミテージ氏をはじめアメリカの当局者は、小出しに『日本は憲法改正すべき』だの、『いや、そういうことを言ったわけじゃない』だのと、小出しに日本に揺さぶりをかけていますが、アメリカとしてはだんだん日本をそういう方向に引き込んでいこうということなんでしょうね。
「たとえば97年の新日米防衛協力のためのガイドラインといったものも、実はそうした狙いだったと思うんですよね。それに『日本の平和と安全に重大な影響を及ぼす場合に限る』というタガをはめたのが、当時の自民党執行部なんです。具体的に言えば、政調会長の山崎拓さんと幹事長の私でした」
――アメリカから『それはやめてくれ』と言ってきませんでしたか?
「それは抵抗は強かったですが、当時は自社さ政権でしたし、そうでないと通りませんでしたからね」
――この頃、日米防衛協力に関するさまざまなレベルの協議が活発に行われていて、いよいよこれまでの日本防衛という枠を取り払い、対国際テロや大量破壊兵器拡散などのいわゆる “新しい脅威”に対処するために協力していこうということと、極東の枠を超えた世界の平和と安全のために日米で協力していこうという方向で話が進んでいます。
 これは結局、アメリカの要求に日本が従っているといっていいと思うのですが。
「そこですよね」
――テレビでよく浜田幸一さんが『日本はアメリカの植民地なんだ』と発言していますが、戦後の占領期から現在に至るまで、ずっと日本はアメリカの言うなりになるしかなかったということでしょうか? 
「ノーと言おうと思えば、言えた部分もあったと思いますよ」
――それは条件闘争のような部分に留まるのか、それとも日本の独自の戦略でアメリカに対することが本当に可能だったのか。その点はいかがですか?
「まず、実際に日本が必ずしもアメリカの言うなりにはならないようにしてきたこともあったと私は思います。
 たとえば、そもそも日本がサンフランシスコ講和条約で事実上独立したとき、当時の吉田茂首相が日米安保条約を戦略的に使おうとしたんですね。軽武装で経済を発展させる道を進もうということです。
 その後、岸信介首相は安保条約にしっかり事前協議を入れようとしたんですが、国内左翼の力が大きい時代で、なかなかうまくいかなかった。でも、吉田さんにしても岸さんにしても、日本の独自の戦略というものをどう実現化するかということを模索しつつ、現実の日米関係に対応していたんだと思います。
 ところが、その後、その日米安保体制の路線がごく自然なもの、あたりまえのものになり、しかもそれが日本にも好都合なシステムであったから、国民はみんなそれを享受したわけです。
 しかし、ある一点以上のことをアメリカに要求されると、そのときにはタテマエを使ったんですよ。それが憲法9条であり、社会党の存在ということだったのです。
 ところが、冷戦構造の終結とともに、冷戦構造の国内版たる自社対立路線が崩れたのですね。ちょっとタイムラグはあったけれども。そうなると、もはや『社会党がうるさくて』という方便が使えなくなってきたわけです。まして自社さ政権のときには社会党も政権与党になったから、対米的には口実に使えなくりました。それでだんだんとアメリカの要求をタテマエでかわすということができにくくなっていったのは事実ですね」
――政権を運営する側は、同時に2つの相手に気を使わなかったということですね。ひとつは日本国内の左翼の存在をネタに、アメリカといわばバーゲニング交渉をしなければならなかった。もうひとつは、日米同盟という基軸を揺るがせずに国内の左翼と渡り合い、国内をまとめなければならなかった。そういうことですね?
「その通りですよ」
(以上、引用)

 上記の社会党という部分を、「民主党内」に読み替えると、なんとなく現状に近い感じでしょうか・・・。
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  1. 2011/09/23(金) 15:17:25|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

オバマ大統領が普天間移設問題に関して再度要求を突きつけたのは、在日米軍縮小を日本側が自主的に言い出してくれる様、圧力をかけていると想像してるのですが、どうでしょうかね?

日本も財政的危機にありますが、アメリカもヒドイ状態にありますしhttp://labaq.com/archives/51701081.htmlひょっとしたら、本当に強硬に要求を突きつけたかもしれません。

  1. URL |
  2. 2011/09/24(土) 09:48:58 |
  3. 超音波 #MTjsj0Yc
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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