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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

日本大使館の人々

南スーダンに陸自PKO…300人規模で(読売)
 こういうこと、大事だと思います。日本は世界の中に存在しているわけで、他国のことは知らないということにはいきません。
 アフリカは何が起こるかわかりません。不幸にして自衛隊員から負傷者あるいは犠牲者が出る可能性もゼロではありませんが、それでも非常に有意義な任務だと思います。

 ところで、ちょっと前のエントリーで、大学時代の先輩である元週刊誌記者で現在は職業=海外徒歩旅行者の平田裕先輩が「まぐまぐ」のメルマガを始めたことを紹介しましたが、最新号に、イスラマバード駐在の小生意気な日本大使館員の話が出ていました。(→あるきすと平田のそれでも終わらない徒歩旅行~地球歩きっぱなし20年~
 私もこれまで各地でなにかと日本大使館にはお世話になる機会がありましたが、バックパッカー時代が長かったので、正直言えば、悪い印象の大使館員のほうが多いです。まあ、日本国に何の貢献もしていない貧乏旅行者だったので当然といえば当然なのですが、後で大手メディア特派員だの大手企業駐在員だのに対する優遇ぶりを目にするようになると、その差別ぶりに多少はむかっ腹も立つわけです。
 で、今回、たまには他人様の悪口を書いてみようと思うわけです。

 まず、前にもちょっと書いたことがありますが、私にとってのワースト1は、90年代はじめ頃の在タイ大使館の参事官ですね。
 当時、私はカンボジア国境やミャンマー国境を取材するために、タイ政府の記者証を取得しておこうと考えたのですが、あちらの担当者は「日本大使館からジャーナリスト証明のレターをもらって来い」とのこと。基本的には在バンコク特派員用みたいですが、テンポラリーでも対応するとのことでしたので、日本大使館へ。面倒ですが、こういう国はときどきあるので、まあ事務的な手続きです。
 で、そこで登場したのが、尊大な参事官。とにかく態度がデカい。初対面なのに、最初からまるで自分の部下に対するみたいな口の利き方なんですね。
 で、自分では名刺を出さず、私の名刺を手で弄びながら、いろいろ偉そうにお説教をたれるのですが、そのうちなんと私の名刺をグシャっと折り曲げやがったのですよ。無意識に。
 速攻で名刺を奪い返し、悪態をついて退出したことは言うまでもありません。いったいそれまでどんな社会生活をしてきたのか、不思議な方でした。

 次に在カンボジア大使館のノンミャリのベテラン大使館員。なにかの折に他の日本人ジャーナリスト数人とその人に会う機会があったのですが、この人も説教魔。ある著名な日本人ジャーナリストの悪口を延々と話しておりました。
 概して日本人の少ない国の大使館員は、日本人に親切なのですが、日本人の多いところは態度でかいし、相手によって露骨に態度を変える人が多いですね。とくに、貧乏なフリー・カメラマンが多く集っているような場所だと、偉そうにするのが当たり前みたいに思っているベテラン大使館員が稀にいます。だいぶ前ですが、カイロの大使館にも尊大なベテランがいましたね。まあ、その方はそんなに悪い人ではなさそうでしたが。

 バックパッカーの頃、恥ずかしながらメキシコ・シティで強盗グループに襲撃され、貴重品をパスポートごと強奪されたことがあります。当時宿泊していた安宿に、同じ日にパスポートを盗まれたスウェーデン人の女の子がいました。同じ惨めな境遇ということで、一緒に行動することになりました。
 まず日本大使館。敷地の入口の受付で用件を告げると、20分ほど待たされて日本人職員が登場。旅券代わりの帰国用一時国籍証明書(そういうのがあるんですね)発行を申請すると、その場で申請用紙を書かされ、坦々と事務的に受理されました。で、「5日後に取りに来い」と。べつに文句はありませんけれども、結局、寒空のなか館内どころか敷地内にも一歩も入れてもらえなかったわけです。
 で、次は彼女のお供でスウェーデン大使館へ。まったく無関係の日本人で、旅券すら持っていない私ともども応接室へ通されると、すぐに大使が登場。「それはたいへんな目にあったねえ」と、その場で本国に照会して、ものの30分で新旅券が発行されました。
 その間、私も一緒に豪勢な昼食をご馳走になり、彼女なんてその場で現金まで貸してもらっていました。我彼の格差に唖然、です。

 もしかしてこの話は以前も書いたことがあるかもしれませんが、中米ニカラグアの首都マナグアで、風土病で地元の病院に入院したことがあります。猛烈な腹痛と下痢で、数分おきにトイレに篭城状態でした。
 で、トイレで七転八倒のとき、おもむろにノックする音が。そして、間の抜けた日本語が聞こえてきたのです。
「日本の人ですかあ? 病院から連絡を受けて、日本大使館から来ましたあ。大丈夫ですかあ?」
 トイレ内でのた打ち回っている私→「大丈夫じゃないですう。苦しいですう」
「ちょっと出られますかあ?」
「今は無理でえす」
「そうですかあ。じゃあ、なにかあったら大使館に連絡くださいねえ。お大事にー・・・」
 そう言うと、その大使館員は一度も私と会うこともなく、そそくさと帰っていきました。その間およそ1分という早業・・・。アイツはいったい何しに来たんだ???

 行くたびに扱いが良くなったのは、中米コスタリカの日本大使館でした。最初に行ったのは学生のとき。日本の新聞を読ませてもらおうと行ったのですが、まあ感じ悪かったですね。
 で、次にフリー・カメラマン時代。これも何かの用事で行ったのですが、当時はニカラグア・ゲリラ従軍など、それなりに取材していたので、政治問題担当の書記官が丁寧に対応してくれました。
 で、3回目。隣国パナマでノリエガ将軍の演説などを撮影した後だったのですが、その話を聞いて書記官の態度がなぜか一変。すぐに公使の部屋に通され、冷たい飲み物などを出していただき、慇懃な態度でパナマ情勢のレクチャーを頼まれました。

 在パナマ大使館には、米軍パナマ侵攻のときに訪問したことがあります。・・・というか、米軍基地に監禁状態だったところを、他の日本人記者とともに日本大使館の防衛駐在官に身柄を引き取られたのです。
 市内はドンパチ状態だったので、数日、大使館にお世話になったわけですが、大手メディア特派員の方々と一緒だったため、これまでの私の経験では考えられないような優遇を受けました。
 ただ、ちょっと面白かったのは、私は週刊誌特派だったからその中ではいちばん軽い扱いでしたが(中米取材経験や戦地取材経験はそこそこ長いほうだったのですが、そういうのは関係ないみたいです)、新聞記者でも、大使館員は「霞クラブ(外務省記者クラブ)出身か否か」で微妙に差別していたように見えたことです。
 というか、霞クラブ経験者に対する、大使館員が醸し出すあの親近感はなんなのでしょう?? 同じようなことは、ペルー日本大使公邸占拠事件のときの在リマ日本大使館の空気にも感じました。部外者にはよくわからない〝ムラ〝の世界ですね。

 もちろん大使館員の中には、他人に礼儀正しく、人間的に尊敬できる方もたくさんいらっしゃいます。でも、学生旅行者やフリー・カメラマンなどに無礼な態度をとる人は、少なくともひと昔前は結構いましたね。
 当時のバックパッカー仲間やフリー・カメラマン仲間などと話すと、そんな話は誰もがたくさん経験していました。今はどうなのでしょう?


 私事ですが、久々に仕事場の清掃をしたついでに、大量の新聞・雑誌の整理・処分をしました。で、ふと気付いたのですが、震災のちょっと前、日本国民は携帯カンニング事件なんかで大騒ぎしていたのですね。なんだか遠い昔のことのようです。
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  1. 2011/09/17(土) 11:29:58|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

同感です。タイの大使館職員は現在でも横柄です。

実は、先日わたしも仕事の手違いで大使館の方に迷惑をかけてしまい謝罪をしたのですが。。。一等書記官のS氏に「大使館の面を汚してただで済むな」という事を言われました・・・。私のミスですので丁寧に謝罪をしたのですが、国家を代表すべき大使館の方がこのようなメールを送ってこられることに驚きました。同僚のタイ人にも日本人にも日本の家族にも大学の恩師にもメールを転送しましたが、皆驚いています。たぶん、一部の方なのでしょうが、何であんなに人を見下した態度をとるのでしょうか。ただではすまないということも、謝罪に行った大使館内で言われました・・・。どうしましょう。
  1. URL |
  2. 2012/06/09(土) 19:52:53 |
  3. Oorriijj #-
  4. [ 編集]

どこにもいろいろな人はいますので、気にしないようにするしかないですよね。今後も実害があるなら排除しなければなりませんが、そうでなければ無視しましょう。思い出すと腹が立ちますが、不愉快な気分を蒸し返しても自分が損なだけですよね。私はこうしてブログのネタに使えたのでラッキーと思ってます。
  1. URL |
  2. 2012/06/11(月) 18:11:07 |
  3. 黒井文太郎 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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