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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

リビアのCIAブラックサイト

 米『ウォールストリート・ジャーナル』電子版は9月3日、「Tripoli Files Show CIA Working With Libya」という記事を掲載しました。
▽トリポリ文書はCIAとリビアの協力関係を示す
 旧東ドイツで冷戦終結後にシュタージ・ファイルが大問題になったり、イラクでサダム政権崩壊後に秘密警察の資料が公になったりと、独裁体制が革命で倒された後は、機密文書がいろいろ物議を醸すわけですが、リビアでもさっそく出て来ました。
 対外保安局本部で発見された文書に、CIAとの協力に関して書かれたものがあったというのです。それによると、ブッシュ前政権時代のCIAが、テロリスト容疑者として拘束したアルカイダ関係者を、尋問のためにリビアの刑務所に秘密裏に送っていたということです。
 文書のひとつは、リビア対外情報局のムーサ・クーサ局長に対するCIAのスティーブン・カッペスからのテロリスト容疑者尋問代行の依頼書でした。カッペスはもともとCIA作戦本部の幹部でしたが、クリントン時代のリストラでCIAを追われていたところを、アルカイダとの戦いが浮上したおかげで秘密工作担当副長官として呼び戻された、有名な生え抜きの情報工作官。2004年にクーサと交渉し、核放棄と対米関係改善を実現させた立役者でもあります。そのカッペスが、やはり04年に尋問代行を要請していたわけです。

 もっとも、これはかつて米大手メディアでさんざん書かれてきたCIAの秘密収容所「ブラックサイト」のひとつとして、すでに知られていた話です。
 テロ容疑者を尋問し、情報を引き出すためには、ある程度の拷問が必要となる局面もあるわけですが、法的に人権が守られているアメリカ国内ではそれが不可能です。そこで国外の協力的な国に身柄を引き取ってもらい、代わりに拷問をやってもらっていました。CIAで「エクストラオーディナリー・レンディション」(特殊な移送)と呼ばれていた工作です。
 いくつもの国々の協力がわかっていますが、その中にリビアもあったわけですね。独裁国家の独裁ぶりを、当時のCIAは利用していたことになります。もっとも、それが一概に間違いとは私は思ってはおりませんが・・・。
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  1. 2011/09/03(土) 20:26:35|
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黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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