ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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ウィキリークスが自爆?

 ある種の「化かし合い」「騙し合い」で英ガーディアン紙と完全「内ゲバ」状態になっていたウィキリークスですが、つい数日前に「ウィキリークスが『暴露本の中で米外交公電のパスワードを勝手に公開した』とガーディアンを非難」という記事を目にしたと思ったら、ウィキ側がキレてしまったようで、公式サイトで全データをそのまま公開してしまいました。
 たしかにサイト上では、8月30日付で25万件以上がそのまま全公開です。在日大使館発のも全部あります。とりあえずシークレット指定のものだけでもダウンロードしておこうかなあ・・・と。いやあ、それにしても多い!
 しかし、こうしてナマ資料がそのまま出ると、情報源の個人名がすべて公開されるというわけで、場合によっては関係者の生死にも関わってくる可能性があります。ウィキリークスを「公権力に立ち向かう正義の味方!」と持ち上げていた向きもありましたが、これはさすがにマズいのではないでしょうか。
 ガーディアンはじめ、シュピーゲルやニューヨークタイムズなど、提携していた欧米5紙誌は共同で非難声明を発表しています。一時はヒーロー視されていたのに、なんだかすっかり悪玉になってしまいました。自業自得ですが。

(追記)
 ところで、ウィキリークスが話題になったとき、「これで情報公開の時代が来る!」と期待した論調も多かったですが、それに対して私は少し懐疑的な見方をしていました。別冊宝島『機密告発サイト ウィキリークスの真実』で、私はインテリジェンス専門家の小谷賢・防衛研究所主任研究官と対談させていただいたのですが、小谷さんもどちらかというとそういう見方をされていました。
 インターネットが情報公開の敷居を低くしたのは事実ですが、それでいきなり機密情報が何でもオープンになるかというと、そういうことではないですね。
 いちばんの限界は、ウィキリークスに限らず、ネットは「情報を持っている人」からの自主的なタレコミに期待する「待ち」のメディアだということです。情報というのは、古今東西、原則的には「取りに行く」ものであり、そこが世界中の情報機関や報道機関が苦労しているところなわけです。
 正義感からにせよ、自己顕示欲からにせよ、愉快犯的動機からにせよ、私的怨恨からにせよ、機密情報を暴露したいという人は、どんな組織でも常にごく少数はいます。ですが、それはごく少数であって、そこが急にマジョリティになることはありません。
 ウィキリークスはたしかにいろいろ興味深い情報をゲットしていますが、世界中から注目されるほどのネタというのは、今のところ全部、たったひとりの米軍兵士がネタ元です。まあ、現実にはそんなものなわけです。
 ただし、上記対談で私も指摘したのですが、技術発達によって、ひとりのネタ元が出現した際の破壊力が格段に上がっています。かつてはせいぜい資料を紙でコピーして持ち出していたところが、今ではDVDやメモリースティックなどによってギガバイト・レベルで容易に持ち出されてしまうようになっています。そこはたしかに新しい時代に入ってきたことは事実だと思います。
 とはいえ、いずれにせよ、タダで危険を冒すような人は、そんなには出現しません。匿名のタレコミ情報に多額の報酬が生じるシステムが構築されれば、タレコミが増える可能性はありますが、偽情報も増えますから、なかなかうまくはいかないでしょう。やっぱり情報は「取りに行く」姿勢が不可欠です。
 ところで、ガーディアンとウィキリークスの内ゲバの経緯は、なかなか興味深いものがあります。ガーディアン側は当初はいかにもウィキリークス側のアナーキーな情報公開思想に共感するリベラル派のふりをしてアサンジに接近しますが、結局、目論みどおりにスクープ独占ができなかったことで喧嘩と相成りました。
 ジャーナリストはどこの国でも、ホンネでは手柄競争に血眼になっているのですね。プロである以上、私はそれは当然だと思うのですが。
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  1. 2011/09/03(土) 00:42:31|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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