ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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前原誠司氏の国防戦略(前編)

 前エントリーで紹介した拙編著『日本の防衛 7つの論点』で前原誠司氏が語っていたことを引用します。拙ブログでは以前、「状況に応じて柔軟に考えを変えるほうがインテリジェンス度が高い」というようなことを書きましたが、以下は6年前、氏がまだ民主党「ネクスト防衛長官」だった頃のインタビューですから、考えが変わっているかもしれません。
※以下は入稿用原稿(前原氏原稿チェック済)なので、編集部の字数微調整後に誌面になったものとは違います。


第2章 前原誠司/民主党「次の内閣」防衛庁長官の「新戦略」

論点②日本を守るための新戦略とは?
前原誠司・民主党「次の内閣」防衛庁長官の提言

▽人員を減らさずに「若返り」で人件費を押さえろ!

 防衛予算は減らしても、自衛隊のマンパワーを減らしてはいけない。隊員の年齢構成を変えていけば、人件費を抑制することが可能だ。

▽陸上配備型弾道弾迎撃システム「PAC-3」をやめ、エアボーン・レーザーを導入せよ!

 効果に疑問のある新型パトリオットの導入よりも、ミサイル防衛には航空機からレーザーを発射するエアボーン・レーザーが有効だ。

▽水際迎撃構想から敵ミサイル基地攻撃構想へ転換せよ!

 侵略軍を迎え撃つ発想はもう古い。弾道ミサイルの脅威には、長距離渡航爆撃やトマホーク巡航ミサイルのような敵基地攻撃能力こそが必要だ。

▽シナリオ・ベースで自衛隊統合運用を検討すべし!

 3自衛隊統合運用は具体的な想定をもとに検討すべきだ。西方の島嶼防衛はその恰好の題材である。

▽ライセンス生産より「完成品購入+合弁企業でメンテナンス」方式を!

 アメリカから装備をトータルで安く入手するには、中途半端なライセンス生産などより、完成品を一括購入し、その後のメンテナンスを日米合弁企業で行なうなどの新方式を導入すべきだ。

▽防衛産業技術でアメリカに勝る一分野を育成せよ!

 アメリカも必要とするような日本独自の進んだ防衛産業技術の分野がひとつでも育成できれば、日米同盟をより対等なものにすることができる。

▽憲法に有事規定を作れ!

 有事規定のない現憲法のままでは、いかなる有事法も機能しない。

▽自衛隊に自衛権を認めろ!

 個人の自衛権、国家の自衛権に続く第三の自衛権として、海外に派遣された部隊の自衛権を認めることが、不条理な自衛隊の武器使用基準を正常化する王道だ。

▽本来の「専守防衛」「非核3原則」「武器輸出3原則」に戻れ!

 おかしな解釈がまかり通っている「国是」は、もともとの字句通りの意味に戻すべきだ。

▽統合情報委員会、国家安全保障会議、危機管理庁を作れ!

 日本政府の安全保障政策セクションをより機能するものにするため、アメリカにならって、日本版JIC(統合情報委員会)、日本版NSC(国家安全保障会議)、日本版FEMA(危機管理庁)を作るべきだ。

▽国会議員に厳格な守秘義務を科せ!

 国会に国家の情報活動を監視する委員会を設置し、そのメンバーたる政治家には厳格な守秘義務を科して情報漏れを防止しなければならない。

(タイトル)
アメリカと対等に渡り合う日本となるために!

軍事と日米関係の国家戦略
前原誠司・民主党「次の内閣」防衛庁長官インタビュー①

日米同盟の将来を楽観してはいけない! 日本がこれから生きる道は、アメリカも唸らせる防衛技術分野を育成することだ。

(リード)
 民主党が政権をとったら、自衛隊の編成や戦術、そして日本政府の防衛戦略はどう変わるのか?
 自民党政権でできなかった何をどう変えていくつもりなのか?
 また、不透明な時代のなかで、日米同盟はどうなっていくのだろうか?
 軍事から外交、さらには防衛産業の問題まで、民主党きっての“国防問題の論客”として知られ、同党「次の内閣」の防衛庁長官(=つまり民主党政権発足時には防衛庁長官となる予定)でもある前原誠司・衆議院議員に、その全戦略を聞いた。

(本文)
自衛隊の基本は国土防衛

――民主党政権になった場合、防衛政策は今の自公政権とどう変わるのかというところをお聞きしていきたいんですが、政策面の話に入る前に、まず自衛隊をどう変えていくかという軍事面の話から入りたいと思います。前原さんが防衛庁長官になったら、自衛隊の編成や装備はどう変えていきたいと考えていますか?
「ひとことで言えば、自衛隊の主たる任務である国土防衛をもう一度、しっかりと検討し直し、それを最重要視した布陣に整備していくべきと考えています」
――すでにさまざまな任務を念頭においた再編成が着手されていますが、昔の姿に戻せということですか?
「そうではありませんよ。ただ、ちょっと今は国際貢献に重きが置かれすぎてるなという印象はあります。もちろんそれも外交ツールとしては重要ではあるんですけど、国防の基本はあくまで国土防衛というのが私の考えです」
――24万体制というのはキープすべきですか? 現在、自衛隊は陸自を中心にリストラ圧力にさらされていますが。
「陸自の人員を減らすということを考える前に、隊員の年齢層のアンバランスさを是正していくほうが先だと思いますね。自衛隊は実際、中高年の隊員の割合がすごく多くなっていますからね」
――隊長ばかりで兵隊が少ない軍隊と揶揄されていますね。
「中高年よりも若年層の比率を上げるようにしていけば、それは若者のほうが給与が低いですから、それだけでかなり人件費が削減できるのではないかと思います」
――マンパワーの数自体は現状維持を目指すということですね?
「なるべく人数を減らしたくはないです。先ほど言ったように、自衛隊の本来の役目は国土防衛だと私は考えているんですね。国土防衛のためにはやはり精強さは失ってはいけない。兵力というのは一度落とすと急には強化できませんし、そこはやはりなるべくキープしたいと思っています。ただ、陸海空の予算配分シェアが硬直的だというのはまったく意味がないですから、基本的には陸自から海空に予算をシフトするということは検討すべきでしょう」
――その他に、防衛予算で見直したいところはありますか?
「ミサイル防衛に1兆円ものお金を、今の政府の計画のようなかたちで出すというのどうかと思いますね。とくに地上配備型のPAC-3は、これは有効射程距離の短さなどからあまりいい選択とは思えません。
 私はミサイル防衛に反対ではないんですが、このようなPAC-3はやめて、イージス艦配備のものに加えて、たとえばすでにかなり開発が進んでいるエアボーン・レーザーを導入するほうがいいのではないかと思っています。航空機発射のレーザー・ビームで弾道ミサイルを発射直後のブースト段階で撃ち落とすのがエアボーン・レーザーですが、これにイージス艦配備のSM-3で高速飛翔中のいわゆるミッドコースでの迎撃を加える。そのセット運用がいちばん有効だと思うんですね。
 ともかく、そういったいろいろなところで合理化を図っていくなかで、ムダな予算をどう削っていけるかということなんだと思いますね」

敵基地攻撃力を!

――自衛隊の防衛システムで変えていくべきことはどんなことでしょう?
「もっと前に出ていくべきだということでしょうね」
――どういうことですか?
「本土の水際で敵侵略軍を食い止めるという発想が、冷戦時代にソ連軍の侵攻を想定した戦略でしたけれど、今では弾道ミサイルとか長射程の巡航ミサイルとかがメインの脅威になってますね。そうした状況では、水際で国土を守るということではなく、もっと国土から外に出たところに防衛ラインを張るという仕組みに変えていかないといけないのではないかと思うのです。
 そうすると、これからは遠くの敵をいち早く探知するセンサー能力が必要になってくる。偵察衛星はすぐには増やせませんから、そこは同盟関係にあるアメリカに頼るということはしかたないけれども、たとえば無人偵察機であるグローバルホークを買うとかいうことも検討すべきだと思うんですね。
 また、戦闘機にしても、将来にはあるいは長距離を航行し、敵基地を叩くということも考えなければならなくなるかもしれない。とすれば、次期戦闘機にはそういったことを見込んだものを買っていくという発想の転換が必要だと思うんですよね」
――いちばん手っ取り早いのは、巡航ミサイルのトマホークを買っちゃうことではないですか?
「当然、検討すべきですね。敵のミサイルが日本の国土を直撃するのならば、敵がミサイルを日本国土に向けて発射しようとしたときには、その発射基地を叩くのは専守防衛の範囲内です。水際で迎撃することのみが専守防衛ということにはならないと私は思います。だから当然、トマホークは買ってもいい。実際問題、イージス艦や他の護衛艦でも改修すれば簡単にトマホークを積むことができますし。そういった議論というのはちゃんとやっていくべきだと私は思いますね。
 ともかく、どういう思想でこの国を守ろうとするのかということが固まらなければ、単なる兵器の能力だけで議論していても意味がないんですよ。さっき言いましたように、水際で止めるのか、それとも戦い方をもっと幅広く考えていくのか、私はもう当然ながら後者と思ってますがね」

インテリジェンスを強化せよ

――これからの日本の安全保障をどうしていくかということを考えたとき、これまで通りの日米同盟重視でいくのか、あるいは逆に自主防衛を目指すべきなのか。それとも集団安全保障ということで、たとえば東アジア安保協定のようなものを目指すべきなのか、あるいは国連中心路線でいくべきなのかといったさまざまな選択肢が考えられます。前原さんはどういう立場ですか?
「全部です。日米同盟関係は必要。国連の機能を高めるというのも必要。自分の国はある程度は自分で守るという自主防衛の感覚も必要。マラッカ海峡のような、資源安保のようなところでは共同で安定化を目指す地域安保の考え方も必要、ということです」
――従来は日米同盟オンリーの道で来たわけですが、もっと多角的にやるべしということですか?
「先ほど話が出たトマホークやグローバルホーク、あるいはもっと前に出て運用するような次期主力戦闘機を買うというような話は、結局のところ攻撃能力を持つということですよね。これがこれまではアメリカ任せになっていた。これを日本もやりますよということは、まさに自主防衛の考えに近づくことです。
 攻撃力、それと情報力ですね、このあたりが決定的にアメリカに頼りすぎていたといえます」
――日本独自の情報網=インテリジェンスというものを作っていくことは可能でしょうか?
「独自の情報ソースを広げていくことは絶対に必要だと思います。不審船にしても、中国原潜の領海侵犯にしても、すべて情報はアメリカですから、ここはなかなか越えられない壁があるわけです。まあ、だからこそ私は同盟関係が必要だと思っているんですけれども。
 ペンタゴンだけでおそらく200基以上の軍事衛星を持っていると思われます。で、日本は2基ですね。それはもう圧倒的な差があるわけです。それに加えて、アメリカは巨大なヒューミント(人的情報収集・分析)の組織を持っていますが、日本はまったく持っていません。そこはもう現段階においてはしかたのないことではあるんですが、そこを日本がどうこれから高めていくかということは、当然ながら考えていかなくてはならない。
 もちろん、いきなり日本版CIAのようなものを作れといっても無理ですね。でも、今の日本の情報機関制度にしても改善すべき点はあると思うのです。たとえば、日本にはいくつかの組織が情報収集活動をやっていますが、警察、入管、外務省、防衛庁といった組織の情報が統合されていないんですね。これをいかに情報統合し、分析していくかということを考えていかなければいけない」
――どういう方法が考えられますか?
「今、われわれが法案を出そうとしているのが、統合情報委員会を内閣官房に設置するということです。法律で、たとえば内閣統合情報委員会が『この情報は必ず上げなさい』と指示したものに対しては、各情報機関は必ず上げなければならない仕組みにする。そして、そこで各機関の情報を統合的に分析を加えて、政策決定に生かせるような仕組みにしていきたいと考えています」
――内閣統合情報委員会の実務は、今の内閣情報調査室が担当することを想定しているのですか?
「そうですね。そのためには人員を増やして組織を大きくし、大幅なバージョン・アップをしないといけないでしょうけれども」
――内閣の情報集約機能を向上させ、分析官もそこに集中配置するということですね?
「そうすることによって、今度は各情報機関に、次はどういう情報を集めて来いと指示が出せるようになるわけですね。それが実現すると、各情報機関のネットワークもまた全然変わってくると思うんですね。要は活性化です」

シナリオ・ベースで考える

――アメリカでは今、情報機関制度の大幅な改革をやってますけれども、どこの国でも情報機関同士は仲が悪いというのが定番ですから、なかなか道険しという気がしますが。
「いや、でもそれは仕組みとして作ってやれば、そこそこ機能すると思いますよ。それはまさに政治の仕事だと思うんですね」
――戦術的な情報についてはどうですか?
「海自と米海軍はそこそこデータリンクやってますけれども、陸自と空自と海自は共通言語では話してないんですよね。そう意味での3自衛隊の情報の統合はやっていかなければならない。
 だけど難しいのは、今のままで3自衛隊の情報統合をやると、海自と米海軍のデータリンクを通じて、リアルタイムで自衛隊全体の情報がすべて米軍に流れかねないということなんですね。そこは流していいものといけないものの選別をどうしていくかという問題があります。自衛隊と米軍はやはりギブ&テイクの関係を作っていくことを目指すべきで、一方的に情報が流出するという関係は絶対にマズいわけですね」
――複数のネットワーク回線を作り、1つは米軍にもリンク、もう1つは自衛隊だけでクローズドにするということが必要ですね。
「そうですね」
――でも、それもまた現在の3自衛隊の現状をみると、道険しですね。
「統合というのは、現実問題でやっていかないと。机上の作業で統合を議論してもダメですよ。私がよく言うのは、いわゆるシナリオ・ベースで考えろということです。先日も防衛研究所の幹部の前で話をしたんですけれども、『たとえば島嶼侵攻とかミサイル防衛とか、そういう具体的なテーマに沿って統合をどう考えるかということをやっていかないと、統合というものの真価は得られないだろう』ということを話したんですね。
 とくに島嶼侵攻というものをどう防衛していくかということは、陸海空すべてが持てる能力を投射していかなければならないわけですね。だから非常にいいシミュレーションじゃないかと思うんです」
――たしかに防衛庁関係者でも軍事専門家でも、統合運用の必要性を語る人は多いんですけれども、実際はなかなか難しいようですね。
「そこはまさに政治がリーダーシップを発揮して進めていくべきことなんでしょうね。
 先日、アメリカ・ヴァージニア州のノーフォーク基地というところに行ってきましてね。ここは米統合部隊軍司令部があって、まさに米軍の統合を進めているヘッドクォーターなわけですけれども、彼らの歴史を聞いても、統合というのはそれは大変なことなんです。どこの国でも同じですね。まあ、各軍に独自性を持たせるということもたいせつなことですし、兵士の自負心も必要ですしね。それらをうまく調整し、運用としては統合にもっていくというのが、これがたしかになかなか難しいことなんですけど、米軍はもうかなり進めてます」

アメリカとの交渉術

――防衛予算を考えた場合、やっぱりアメリカから買う兵器の値段がちょっと高すぎるのではないでしょうか。よく国産兵器は高い高いと言われていて、それも問題ではあるんですけど、アメリカ製もけっこう高い。それは購入代金でいえば国産よりずっと安いですけど、たとえば最新装備のもっとも重要なソフトなどは全部ブラックボックスで来るわけですね。それでメンテナンスも全部メーカーにやってもらわなければならない。これでは購入ではなくて、レンタルですよね。レンタル代だと思えば、ずいぶん高いレンタル代ですよね。
「そうですね」
――バーゲニング交渉はできないものなんでしょうか?
「それは政治家がやらなければいけないことですね。
 日本は武器輸出3原則があるので、なかなか自前で兵器を開発していくというのは難しいんですね。私が非常に残念なのは、米欧共同開発の統合攻撃戦闘機『ジョイント・ストライク・ファイター』の共同開発に日本が関与できなかった。そんな武器輸出3原則は私はおかしいと思っているわけです。でも、自ら使うものしか作れないとなると、当然コストは高くなるわけですね。
 共同開発は今、日本は米国とのミサイル防衛開発だけに参画していますが、これからの世界の兵器開発のトレンドは完全に各国の共同開発が主流になっていく。共同開発と共同生産、それによるコスト削減になっていくとみています。
 ですから、日本の今のようなやり方はおかしい。ただ、実際問題として現在の日本は共同開発や共同生産ができないことになってます。それで同盟国であるアメリカから大量の兵器を購入してます。でも、そこでももう少し賢くやれるところはいろいろあると思うのです」
――具体的にはどんな手がありますか?
「たとえば、防衛庁が調達する米国製装備からブラックボックスを無くしていこうということがあります。高額の対価を支払っているのに、肝心なところはいっさい渡さないというのはおかしいですよね。それに、ブラックボックスで来るということは、修理もメンテナンスもすべてアメリカ側に任せるしかないということで、結局、調達後も継続して多額の維持経費を日本側は支払い続けなければならないわけです。
 ですから、このブラックボックスをできるかぎり少なくしていく交渉が必要なんです。が、ただアメリカ側にそれを言ってもダメですから、こちらでもそれなりのことをしなければならない。ひとつは技術の機密漏洩防止の仕組みをしっかり作らなければならないということがありますね。それともうひとつは、こちらの技術もある程度は高めて、相手に転用できるようなものをしっかり作っていかなければならないということなんです。ギブ&テイクの関係ですね。
 また、日本ではライセンス生産が良いイメージで捉えられていますけれど、私ははたしてそうかなと思っているわけです。たとえば、次期主力戦闘機の有力候補であるF-22のような高価なものは、いちばんいいのはそのまま完成品を一括購入してしまうことですよ。その代わり、修理やメンテナンスを日米の合弁企業を作ってそこがしっかりやる。おそらく米軍嘉手納基地のF-15の後継機もF-22になると思いますが、その米軍F-22もそこで修理する。ということになれば、トータルの費用はライセンス生産の場合の半分くらいになってくるんじゃないでしょうかね」
――それでもアメリカ側にも損じゃない話であれば、商談は進んでいくということですね。
「そう思いますね。私は、日本の防衛予算はとにかくこれから基本的には減っていくと思うのですよ。そうなると、いかにコストを下げるかということを真剣に考えていかないといけない。しかし、自衛隊の能力はむしろ上げていきたい。ですから、良いものは買いたいという思いはあるわけです。
 そうするとなおさら、どう良いものを安く手に入れられるかという、交渉術がもっと必要になってくると思いますね」

日本独自の防衛技術を目指すべし

――日本側の技術スキルを上げていって、ある程度の交渉ができるぐらいの地力をつけなければということですが、要するに、初期投資をもっとして、それによってトータルで低コストになるような道を目指すべきだということですね。
「この技術という問題ですが、これは私は日本のこれからの防衛戦略において非常に重要な意味を持ってくると思っています。
 少し大きな話になりますが、これからの戦略環境をみた場合の中国の台頭とグローバリゼーションの不確実性を考えると、あと半世紀ぐらいは日米同盟が日本の生命線であり続ける公算が大きいと私は思っているわけですね。ところが、この日米同盟関係のマネージメントについては、日本はこれからかなりうまくやらないといけないと思うんです。というのも、これから東アジアでのアメリカのカウンターパートとなっていくのは、良きにつけ悪しきにつけ、私は中国だと思うのですね。
 そうした状況では、日本もそうとう努力しないと、日米同盟というのはうまく機能していかない。そこで、もちろん外交もありますけれど、もうひとつ見落とされがちなのが防衛産業の技術力なんですね。この分野の技術に関しては、アメリカもやはり日本の協力なしにはやっていけないなというものを、日本はどれだけ作れるか――それが私は同盟の価値を高めるひとつの大きなポイントになると思うんですね」
――基地を貸しているだけではダメですか?
「不十分です。基地だけでもダメ。ホスト国としての支援だけでもダメ。集団的自衛権行使を認めるだけでもダメ。そんなときにいちばんの武器になるのは、独自の軍事技術なんです」
――ただ軍事関係の技術というのは、アメリカと日本ではそのレベルにもはや雲泥の差がついてしまってると思うんですが。
「トータルでみれば、おっしゃるように大きな差がついてしまってますけれども、ミサイル防衛のノーズコーン開発の技術など、日本が主導しているものもないわけじゃないですね。とにかくひとつでも日本が優勢な軍事技術分野を作るのと作らないのとでは同盟の関係性がかなり違ってくるわけです。
 ただし、こうしたものは防衛庁技術本部だけでも、個別の企業だけでも不可能です。役所と企業と政治が一体となったオールジャパンとして、国家戦略として、まさに国策としてあたらなければならないことです」
――アメリカはそれを座視しないんじゃないですか? 冷戦時代に日本の航空産業を力づくで押さえてきた前科もありますし。
「それは押さえようとするでしょうね。でも、なにも航空産業のような核心の産業でなくてもいいんです。一点豪華主義でいいんですよ。一点の何かがあれば、あとはギブ&テイクでより対等に近い交渉が可能になるんです」
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  1. 2011/08/26(金) 11:06:14|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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