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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

災統合任務部隊司令部

 先週、ある取材で仙台駐屯地のJTF-TH(災統合任務部隊)司令部の取材に行ってきました。私はいま渦中にある福島県浜通りの出身なのですが、震災2ヵ月後でようやく初めての東北入りとなりました。
 JTF-THとは、陸海空の災害派遣部隊を一括指揮するために立ち上げられたもので、指揮官は陸自の東北方面総監になります。序列で言えば陸自の制服組のナンバー5か6ぐらいの人が、海自や空自を指揮下に置くという変則的なもので、自衛隊ではもちろん初の試みなのですが、未曾有の国家的危機を前になんとかうまくやれているようです。
 海自のほうは、陸自東北方面総監(JTF-TH指揮官)の下で海自をまとめるのは横須賀地方総監になっています。海自の筆頭部隊である自衛艦隊そのものは指揮下には入りませんが、自衛艦隊から災害派遣で差出された部隊は横須賀地方総監の指揮下に入ります。他の地方隊から差出された部隊も横須賀地方総監の指揮下に入ります。これは事実上、海自の制服組のナンバー3~4くらいの人が実働部隊のトップになったようなものです。
 空自では、陸自東北方面総監(JTF-TH指揮官)の下で空自をまとめるのは航空総隊司令官になっています。航空総隊司令官は他の同格の部隊まで含めて、一括して指揮命令することができる措置がとられています。といっても、空自における航空総隊司令官は、空幕長に次ぐ圧倒的な制服ナンバー2なので、序列としてはそれほど違和感はないかもしれません。ま、普段は序列に敏感な自衛隊ですが、非常時なのでそこはそう問題ないようです。

 連休中ということもあって、仙台に向かう東北道にはボランティアらしき人がたくさんいました。現地ではボランティア渋滞が起きていましたが、なかにはただ被災地を見に来ただけの人もたくさんいたようです。
 私は過去の戦場取材の経験から、無関係の部外者がこうした現場をただ見に行くのは、地元の方の反感を買うのではないかなと思っていたのですが、どうもそういうことでもなようです。やはり先週、知人のライターさんが取材ではなくて、まったく個人的に1週間ほど被災地を車で廻ってきたということなのですが、どこに行っても被災者の方々に次々と話しかけられたそうです。
 そして、そんな被災者の方の多くは、思いのたけをひたすら話し続けることが多かったとのこと。話すことで心の傷が癒されるとは限りませんが、ただ話を聞くということも、もしかしたら必要なことなのかもしれませんね。
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  1. 2011/05/11(水) 05:09:29|
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黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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