1週間くらい前から、南部ダラアでデモ鎮圧に動員されている軍のなかで、弾圧参加を拒否する動きが出てきたとの噂がSNS内で流れていましたが、ここ数日、アルジャジーラなどの海外メディアも採り上げるようになってきました。どうやらもともと南部担当の第5師団の将兵に反乱の兆しがあるようです。
第5師団の主力が、マーヘル・アサド指揮下の第4師団と戦闘状態になったとの噂も流れていますが、現時点では未確認。未確認情報といえば、マーヘルが負傷したとの噂もかなり盛んに流れていますが、これは現時点では信憑性が薄いようです。
その他にも、第1師団にも反乱の動きがあるとの噂も出ていますが、こちらも未確認情報です。いずれにせよ、反政府派SNS内では「期待」もあって、そんな噂がものすごい勢いで飛び交っています。
希望が見えるのは、ダラアで約200人、バニアスで約30人のバース党員の集団離党があったことです。ダラアではこれまで地元出身議員の辞職もありましたが、こうした動きは萌芽だけでも独裁国家では画期的なことです。
ただ、現時点では客観的にはまだまだ軍の大勢も政府側に留まっています。リビアのような内戦状態になる気配は今のところはありません。
他方、これまでデモ鎮圧の先頭に立ってきた治安警察「アムン」は、あまりにフル回転しすぎたために、メンバーが疲弊し(多くのアムン要員はバスや車両でずっと寝ているとのこと)、勢力も分散したため、組織だったデモ弾圧活動がかなり鈍化してきているとの情報があります。独裁政権とすれば、忠誠度の高いアムンを前面で使うほうが安心なのですが、そういうこともあって軍を動かさざるを得ないようです。独裁政権側も確実に追い詰められつつあるわけです。
本日の金曜日も、全土でデモが呼びかけられています。イスラム地下組織「ムスリム同砲団」もデモ呼びかけを公言したため、国際メディアではそのことが大きく報じられていますが、民主派SNSの動きをみると、シリアの反政府勢力のなかで、ムスリム同砲団はけっして主流ではありません。
ダラアでは治安部隊が町の水道施設を破壊したため、深刻な水不足に陥っていましたが、降雨があったとのことで、反政府側はまた盛り上がってきました。
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- 2011/04/29(金) 13:38:35|
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日本のメディアでシリア問題を追うのは渋いですね。日本のアラビストや左翼メディアの間ではシリア批判はタブーだったのではないでしょうか?
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- 2011/04/29(金) 16:58:20 |
- 道楽Q #-
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シリア批判がタブーということは、とくにないと思います。日本のアラビストにあの国のウラ政治を研究する人が少ないということはありますが(考古学の分野では日本人研究者がだいぶ入っています)。ウラ政治分野では、日本人では歴代の公安の大使館員がいちばん詳しいかもしれません。
それよりも、私の経験では、日本のアラビストがほとんど踏み込まないタブーは、なんといってもイスラミスト問題ではないかと思います。かつて『イスラムのテロリスト』という本を上梓したことがあるのですが、そのタイトルだけで版元はナーバスになっていました。
- URL |
- 2011/04/30(土) 22:17:55 |
- 黒井文太郎 #-
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