ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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中東民主化と歴史の不可逆性

 自由な言論空間は、どんな不満も媒介し、増幅させる性質を持っています。なので、インターネットが浸透すれば、いかなる独裁も民主化圧力に晒されることになります。現在、中東で起きている民主化の嵐は、要は「歴史の不可逆性」なんだと思います。
 いくつかの中東諸国では、第二次世界大戦後の混乱の後、共産主義やアラブ民族主義の流行を経て、60~80年代に独裁体制が成立しました。独裁者たちは数多のライバルを血の粛清で葬ってきましたから、独裁権力の緩みは自らの死に直結します。そのため、独裁国家は非情な秘密警察機構を作り、人々を恐怖で縛りました。人々は独裁者を恐れ、口を閉ざして何十年も経過しました。選挙はほぼ100%の投票率で、為政者はほぼ100%の得票で信任されつづけました。反対票を投じることは、死を意味したからです。
 ですが、そうした恐怖体制も、時間の経過とともに徐々に金属疲労を起こします。中東の場合、最初は衛星テレビでした。
 すべてのメディアが官製の宣伝媒体なのがあたりまえだった中東諸国に、最初に異物が乱入してきたのは、欧州の衛星テレビでした。私がエジプトに居住していた90年代半ば頃のことです。独裁体制の国では衛星受信機の設置を禁止しましたが、人々は珍しく政府の言うことを聞かずにモグリのアンテナを設置しました。
 私の見聞では、当時とにかく大人気だったのは、おっぱい丸出しのイタリアのお色気番組です。これが自宅で視られるということは、中東では歴史的な大事件でした。独裁国家の当局はアンテナ没収に励みましたが、人々はおっぱい見たさにアンテナを設置しつづけました。人々のおっぱいへの欲求に、摘発のスピードは追いつかず、なし崩しに黙認の状態になります。中東のエキゾチックな町並みの家屋の屋上が、パラボラ・アンテナで埋め尽くされるまで、そう時間はかかりませんでした。
 ところが、いったん衛星テレビが視れるようになると、ついついおっぱい以外のチャンネルも視るようになります。とくに家族団らんの真昼間には、おっぱいチャンネルを視るわけにもいかないので、BBCなんかにも視聴するようになるわけですね。それで、中東の家庭にも、官製メディアでないニュースが入り込むことになりました。96年にはカタールで早くもアルジャジーラが誕生し、そうしたメディアも急速に普及していきました。
 2000年代に入ると、さらにインターネットが入ってきました。これも当初は独裁国では厳しく制限されたのですが、若者たちは中東世界では考えられない夢のようなエロサイトの世界に狂喜し、なんとか規制をかいくぐってアクセスしようと知恵を絞ります。こうして、とくに都市部において、インターネットは瞬く間に拡大してきました。
 独裁体制をどこまでも堅持しようとするなら、本来なら衛星テレビやインターネットなどを国民に与えてはいけません。金正日はそれをよく知っているのでしょう。
 ところが、中東諸国では、目の前の「金儲け」が何よりも優先します。多くの国で、豊富な海外経験でITに馴染んでいる独裁者2世たちが、インターネットや携帯電話の利権でボロ儲けするようになります。産油国以外はたいした産業基盤のないこれらの国々で、国内のIT企業は瞬く間に国内有数のビッグビジネスとなり、「情報統制国家なのにネットも携帯もフリーダム!」という状況になっていきました。
 今回の民主化運動は、そうした状況で必然的に生まれてきたのだと思います。誰だって「独裁者にビビりながら生活し、特権階級のやつらがボロ儲けしているのを指をくわえてみている」のは不本意なわけです。よく言われる「格差が広がったから」とか「低所得者が増えたから」などというのは、後付けの理由なのではないかなと思います。
 おそらく、民主化要求を受けている独裁者の側は、なぜ今、自分たちが反乱に直面することになったのか、よくわからないのではないかなと思います。これといって、急に酷いことをしたわけでもないからです。たとえばシリアのアサド大統領などは、父親世代のガチガチの恐怖体制をだいぶ是正したのだから、自分は改革者だとたぶん本気で考えています。独裁と情報化社会は両立しない⇒情報化は止められない⇒独裁はもうもたない・・・という歴史の必然が、多少は紆余曲折はあるでしょうが、中東で進行しているのではないかなという気がします。
 これはかつて「情報統制社会」だった国々が通ってきた道と本質的に同じではないかなと思います。
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  1. 2011/03/30(水) 15:04:01|
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  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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山口県の責任重大なり

「被曝難民国民は山口県へ集団疎開しよう!」

雪裏の梅花ブログさまから

>脱原発はすでに菅・仙谷の利権
>やや食傷気味になりながらも、なお菅直人と宇部興産と原発利権の関係を調べていたら、少しそれに近いものを発見(・へ・)
>>http://seturibaika.blog72.fc2.com/blog-entry-491.html

まあ山口県二井知事は原発利権と米軍基地利権に深々と食い込んだ日本一金に汚い人非人官製談合犯罪者ですが、ユニクロといい宇部興産といい中国電力といい安倍しんぞうといい空き缶といいよくもまあこれだけ人非人が同窓してますな、過疎県のくせに。

過疎県だけどここまで守銭奴搾取企業が集中して金だけは人非人の私腹にたっぷり貯めこんでるんだから、それを全部吐き出させりゃ福島県宮城県茨城県からの被曝難民100万人の1~2年の生活くらいは一手に引き受ける余力がじゅうぶんにありそうですね。

福島事故原発で放射能難民にされた国民はいっせいに山口県へ集団疎開で強引に押し掛けて人非人どもから憲法にある国民として文化的な生活を送るための生活費を取り戻そう!

直ちに国会を開いて地位協定破棄、内閣不信任総退陣、新首相選挙で救国内閣即日組閣、霞ヶ関解体を1日といわず半日で議決して即施行すべし!
  1. URL |
  2. 2011/03/31(木) 06:35:10 |
  3. 通りがけ #-
  4. [ 編集]

直ちに国会を開いて地位協定破棄、内閣不信任総退陣、新首相選挙で救国内閣即日組閣、霞ヶ関解体を1日といわず半日で議決して即施行すべし!
  1. URL |
  2. 2011/04/17(日) 10:45:37 |
  3. 税理士 #aIcUnOeo
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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