ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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放射性物質漏洩

 福島原発の状況が悪化し、放射性物質漏れが拡大しています。屋内退避エリアが半径30kmになりました。私の生家は約35kmなので、風向きによってはちょっと心配です。
 首都圏でも放射線の数値が上がっていますが、現状では心配するレベルではないようです。位置関係からすると、気流の関係から、いずれにせよ原発から北東方向のほうが汚染は広がるのではないでしょうか。
 放射性物質の封じ込めに失敗したことは明らかですが、今後は、どれだけその漏洩・拡散を少なく抑えるかという局面になります。危険な放射性物質が漏洩しているなか、東電の作業員の方や自衛隊の特殊武器防護隊の方々などは、被曝覚悟で懸命の作業を行っていると思います。本当に頭の下がる思いです。
 ところで、東電の記者会見などを見ていてちょっと感じたのですが、記者の方々は「最悪、どうなる可能性があるのか?」という言質を担当者から引き出そうとしていて、担当者が「現在のデータだけでは断言できない」「現状、××のようなことが考えられるが、××すべく全力であたっている」という返答で平行線・・・というシーンがよくあります。
 インテリジェンスの基本でいえば、「確かな情報と、不確かな情報を選別」「可能性の順位づけ(評価)」という作業が必要で、それをもとに「蓋然性の高い将来予測への備え」と「最悪の事態を想定しての備え」を同時進行で進めるというのがセオリーになります。
 ここで陥りやすいミスは2点あります。「希望的観測のみを判断材料とする」ことと「不確かな情報、極端な情報に捉われる」ことです。前者は「こうあったらいいという希望的観測ばかりに目がいってしまう」ことで、後者は「不確かな断片情報を都合よく貼り合わせて極端な分析を導き出す」ということです。「今のところ問題はない」と言い続けるのも、「最悪の可能性」だけをことさら叫ぶのも、どちらも正しい態度とは言えません。
 こうした事態で重要なのは、「正確なデータ」を元に、冷静な分析をし、なおかつ「最悪の事態に備える」ことです。
 現状をみると、まず正確なデータがよくわかりません。わかっている人はかなり限られていると思います。なので、現状では実際に正確なデータをもっとも持っている東電や保安院の情報に頼らざるを得ません。
 ところが、そうしたデータがよくわからないのに、「とにかく危険だ」との前提でのイメージだけで判断している例が散見されます。なかには「東電や保安院は本当のことを隠しているのではないか」との電波系陰謀論的な考えの方もいるようですが、そういう見方には、「東電や保安院が何のどういう情報を何のために隠している」という根拠がまったくありませんので、まったく論評に値しません。
 現状はむしろ、「後で責任と問われないため」に、政府も東電も、「隠す」どころか、状況見積をどちらかというと悪い方をベースにしている傾向があります。こうなると、状況が当初思い描いていたほど悪化しないまま時間が経過した場合、逆に「慢心」というミスを引き起こす原因になる危険もあります。
 また、状況は刻一刻と変化するので、将来予測も随時変化するものであるという大前提も、重要です。記者会見でも、記者の方が担当者に「以前は××と言ったのに、今度は××と言うのか!」と詰問しているケースが見られますが、状況は変化するということを理解していないように思います。政治家や官僚を追い詰めるのと同じ感覚なのでしょうか。
 いずれにせよ、テレビ各局は今、さまざまな専門家や専門家っぽい人を大量動員して報道を続けていますが、解説をよく聞くと、誰が「根拠のあるデータ」をもとに語っているかが見えてきます。根拠なく危機を煽っている人、根拠なく楽観論を振りまいている人は、ともにちょっと引いて見る必要がありそうです。
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  1. 2011/03/15(火) 15:28:39|
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  2. 2011/03/20(日) 12:10:43 |
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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