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ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

『ウィキリークスの真実』その2

 前々回エントリーでご紹介した別冊宝島『機密告発サイト ウィキリークスの真実』が発売になりました。
 私も自分の担当ページ以外を目にするのは初めてですが、思わず引き込まれていっきに読了しました。各項目がコンパクトにまとめられているので、手っ取り早くウィキリークスを知りたい方にはお勧めです。
 また、すでにご案内したように、同書所収の公電情報カタログは、情報の内容だけでなく、公電発信日や発信元の情報も明記していますので、より詳しく調べたい方が公式サイト等でチェックする際にも至極便利。資料集としても使っていただけるかと思います。(⇒アマゾン) 
 以下に内容を詳しく紹介します。

1章 元ハッカーの素顔
▽創設者ジュリアン・アサンジ氏 ロング・インタビュー/NHK取材班(構成協力・大野和基)
▽取材後記/石博亮(NHKディレクター)
▽アサンジ氏の秘められた過去/川村力(ジャーナリスト)

2章 ウィキリークスとは何か
▽『ガーディアン』副編集長が明かす「メガリークの舞台裏」/小林恭子(在英ジャーナリスト)
▽ウィキリークス物語/川村力(協力・片桐葉子<シカゴ大学>)
▽資金不足&アサンジ逮捕で噂の新しいメガリークはどうなる?/川村力

3章 米外交公電流出事件の真相/黒井文太郎
▽ケーブルゲート事件の概要
▽情報源~文書提供者は陸軍上等兵
▽波紋~謝罪外交に追い込まれたクリントン米国務長官の苦悶
▽広がるウィキリークス包囲網
▽擁護派の反撃
▽各国首脳・メディアはどう反応したか

4章 保存版カタログ「流出情報ベスト100」
▽日本編(黒井)
▽アメリカ編(同)
▽ロシア・欧州編(同)
▽中国編(同)
▽北朝鮮編(同)
▽アジア編(安田純平<ジャーナリスト>)
▽中東編(同)
▽他の地域編(同)

5章 情報漏洩社会の近未来図
▽インタビュー 小飼弾(プログラマー・投資家)(聞き手・川村力/ 構成 金賢<ジャーナリスト>)
▽対談 小谷賢(防衛研究所主任研究官)×黒井
▽コラム 効率よくウィキリークス情報を得る方法/黒井

コラム ウィキリークスは是か非か
▽猪子寿之(チームラボ代表)
▽堀江貴文(SNS社ファウンダー)
▽上杉隆(ジャーナリスト)
▽手嶋龍一(外交ジャーナリスト)
▽田原総一朗(ジャーナリスト)
▽河上和雄(元東京地検特捜部長)

 個人的には、小飼弾さんのインタビュー記事が面白かったですね。技術者の視点から、ウィキリークスおよび今回の騒動を冷静に見ておられ、たいへん参考になりました。
 内幕話でいえば、小林恭子さんのレポートにあるガーディアンとアサンジ氏の確執話も興味深いものがあります。
 ひらたく言えば、ガーディアンはスクープのためにアサンジ氏を利用しようとしたわけですが、最終的に思惑通りにネタを独占出来ず、両者は決裂してしまうという、まあわかりやすい構図です。
 それでガーディアン側はもともと共闘関係にあったウィキリークスの暴露本を出版し、それにアサンジ氏が激怒というのが現時点の状況のようです。ネタ独占を目論んで肩透かしをくらったガーディアン側の気持ちもわからないではないですが、もともとネタをつかんだのはアサンジ氏側ですし、この経緯をみるとちょっとアサンジ氏が気の毒な気もしますね。
 それにしても、以前のエントリーで紹介したように米暴露サイト「クリプトム」に私的メールを公開されたことといい、仲間だったガーディアンに内幕を暴露されたことといい、アサンジ氏は信頼していた人間に次々に自分のことを暴露されるという目に遭っています(その他にも、ウィキリークスの元ナンバー2にも暴露本を書かれています)。自身が他者のことを暴露するはずだったのに、なんだか皮肉な展開ですね。もちろん文句を言えた立場ではないわけですが。
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  1. 2011/02/19(土) 12:11:34|
  2. 著作・メディア活動など
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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