ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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ペリー元国防長官が注目する北の原子炉建設

 今朝の読売新聞に同社が先週土曜日に開催した国際シンポジウム「北朝鮮の核実験と東アジアの安全保障」の概要が掲載された。出席者は伊豆見元・静岡県立大教授、ペリー元米国防長官、額賀福志郎・前防衛長官、張瑰・中国共産党中央党校教授、韓昇洲・元韓国外相である。
 さすがホンモノの専門家たちだけあって、内容があって読み応えがあった。朝生もこういう人たちでやってもらえるとホントはいいんだけど…。
 で、興味深かったことが2点。
 1つは、出席者たちが6カ国協議の進展だとか、北朝鮮側の核放棄だとかにほとんど期待していないことだ。とくに、中国政府の立場を代弁すべき中央党校の教授が非常にシビアに状況をみていることが、ちょっと意外だった。
 また、コーディネーター役の伊豆見教授の総括では、「軍事オプションも検討すべき状況になった」ということだったが、この先生はテレビ解説を拝見していたかぎりでは、これまでどちらかというと北朝鮮の核問題を外交ゲーム的側面でみていた冷静な方だったようなイメージがあったので、この人すらこれほどシビアな状況分析に傾いてきたということは、北をめぐる状況はいよいよ煮詰まってきたなという印象だ。
 同シンポで面白かったもう1点は、ペリー元国防長官の問題意識の対象である。ペリー氏は、北朝鮮の脅威を主に2点挙げた。ひとつは「核を北が第3者に引き渡すこと」。これはよく指摘されている問題なので、とくに珍しくはない。
 面白かったのはもうひとつのほうで、それは、「大型原子炉を完成させてプルトニウム量産態勢を作ること」だった。
 この問題をそれほど重視するというのは、「なるほどアメリカ人にはそういう見方もあるのか」と新鮮だ。普通は「アメリカまで届くミサイルの開発」あるいは「ミサイルに搭載するまで核弾頭を小型化すること」あたりがよく指摘されることなのだが、そうではないのだ。
 北朝鮮が現在まで作ってきた核爆弾は、主に寧辺の実験用原子炉で作った使用済み核燃料棒から再処理したプルトを原料にしている。その原子炉は発電出力で5メガワットである。
 ところが、北朝鮮にはかつて寧辺に建設中だった50メガワット、泰川に建設中だった200メガワットの黒鉛減速炉がある。94年の枠組み合意で建設が凍結されていたが、これが完成するのもおそらくそう遠い先のことではない(とくに寧辺の50メガワットの2号基原子炉)。
 クリントン政権高官だったペリー氏が現在のアメリカの主流的な考えを代弁しているとは思えないが、それでも、アメリカの一部は、北朝鮮が核大量保有国になることをものすごく憂慮しているわけだ。
 これはなかなか日本での議論では顧みられてこなかったことだ。なるほど純軍事的にみると、核を年に数発しか作れない国と10発以上作る国とでは、まったく脅威度のレベルが違う。
 大型原子炉完成直前に米軍の限定的空爆ということもあながち考えられないことではないのかもしれない…かも。
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  1. 2006/11/06(月) 17:00:06|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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