ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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アラブ人と靴叩き

 10日の演説でムバラク大統領が辞任を拒否したため、またデモが盛り上がっています。ストライキなども発生していて、また情勢は緊迫してきました。これでまた先が読めなくなってきました。
 ところで、デモのニュース映像をみていたら、靴を振りかざしている人が結構いました。この「靴を振りかざす」というのは、アラブの伝統的な「ぶっ飛ばすぞ!」アピールの方法です。
 アラブ社会では、「靴を手に持って叩く」というのは、最高度の侮辱を示します。たとえば、03年のイラク戦争のときも、引き倒されたサダム像に皆が靴でパンパンやってました。後に、ブッシュ大統領の記者会見でイラク人記者が靴を投げつけた事件がありましたが、あれも同じ意味です。
 とはいえ、実際には靴で叩いても、そんなに痛くはありません。そのまま踏みつけたり、キックするほうがよほど有効です。でも、そんなことをしたらホントに痛いので、アラブの人はあまりそこまでやりません。「アピールする」ことがより重要なわけです。
 アラブの街角では、男たちがよく口論しています。ものすごく激昂しているように見えますが、よく見ると、激昂したふりをして、ちゃあんと仲裁役が集まってくるのを待っています。そして、両者の激昂が頂点に達すると、互いに罵り合いながら、胸で押し合ったりします。このとき大事なのは、両腕は身体の後ろに回すということです。なので、めったなことでは殴り合いになりません。
 そうして「なんだ、このコノヤロー!」としばらくやり合って、やがて仲裁者が入って引き離すという流れが決まっています。まあ、お約束ですね。
 そういう意味では、アラブの人々はむしろ平和的ともいえるのですが、それが政治の上のほうでは残念なことに事情が違ってきます。せっかくの民主化の流れなので、「靴」程度でなんとか留めておいてほしいものです。

 話は違いますが、中東イスラム圏の「アピール文化」(?)繋がりで思い出した話をひとつ。
 イランでシーア派の神聖なる宗教行事「アシュラ」を見たことがあります。ナイフを括りつけた鎖を背中に打ち付けて血だらけになるやつです。
 もっとも、ナイフや鎖を使う人はそんなにはいなくて、実際にはほとんどの人は拳で身体を叩きます。ですが、あれもよく見ると、明らかに手抜きして身体を叩いている人が圧倒的多数派です。勢いよく手を振り下ろすのですが、インパクトの直前に急減速して、ぺシャッという感じでごまかすわけです。
 で、みんなで泣かなければならないのですが、まあ半分くらいは泣いたフリです。信仰心とこれとはまた別ですから、それで他人様の宗教行事をどうとか言うつもりは毛頭ありませんが、なかなか興味深い光景だったことを覚えています。
 なお、モスクではアシュラの祈りの後は、ご馳走大会になります。男たちが泣いている間に、隣で女たちが炊事していて、祈りの最中にも旨そうな匂いが漂ってきます。男たちの泣き声と、身体を叩くぺシャッという音の合間に、お腹が鳴る音があちこちから聞こえてきます。

追記>本当かどうか確認したわけではないのですが、ある人から「アラブ人の靴叩き」について以下のような話を聞きました。
 あれはもともと昔々ドレイを靴でぶっ叩く習慣から来たそうです。昔の靴は今のよりずっと硬かったそうです。
 あと、靴叩きの次の侮辱アピールは、「唾ぺっぺ」だそうです。私はアラブ圏であまりそういう場面を見たことがないのですが、子供から大人まで、つまらない喧嘩でもよくやるそうです。
 日本の子供も唾ぺっぺはよくやりますが、たいてい大人に怒られてやらなくなりますよね。「男らしくない」行為という印象もありますし。映画なんかで、縛られて拷問に遭っている人が抵抗アピールで唾ぺっぺやるシーンとかはありますが。
 アラブではあんまり怒られないので、そのまま大人になってもやるそうです。そういえば、けっこう他の国ではやる人いますね。その昔、ジーコさんがボールに唾ぺっぺして大問題になっちゃたこともありましたね。
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  1. 2011/02/11(金) 14:48:41|
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黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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