ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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モスクワ空港テロ続報&エジプト情勢

 モスクワ空港テロに関し、事件直後のエントリーで「チェチェン人武装組織ではないか」「ドク・ウマロフの配下の可能性がある」と書きましたが、ロシア有力紙『コメンルサント』によると、隣接するスタブロポリ地方を地盤とする「ノガイ大隊」と名乗る組織の犯行だと治安当局が断定したようです。不正確な推測を書き、たいへん失礼いたしました。

 ノガイというのはこの地方の民族の名称で、90年代末の第2次チェチェン紛争時に、それに便乗するように活動を始めています。チェチェンを中心にダゲスタンなどとも併せ、北カフカス地方の「反ロシア・イスラム武装勢力」の一派にあたりますが、どうやら、より「テロ組織」に近い組織のようです。ウマロフ派はチェチェン人中心なので、今回のテロとは派閥系統が違っていたようです。
 イスラム武装勢力といっても、このあたりはボスごとに細かな派閥がたくさんあって、あまり組織立った指揮系統というのはありません。ウマロフ派は最大手の派閥のひとつですが、おそらくノガイ大隊に命令できるような関係ではないと思われます。ちなみに、チェチェン組織内でウマロフ派と他の派閥が内ゲバ状態になったとの情報もありますが、実際のところはよくわかりません。
 ロシア紙を引用した各紙の報道によると、ノガイ大隊はここ数年はスタブロポリでのテロをメインに活動していて、昨年8月には同地方内のカフェで無差別テロを起こしています。それを受けたロシア治安当局の掃討作戦で、10月末には最高指導者だったガジエフ司令官が殺害され、組織は壊滅状態に陥り、そこで残存メンバーが報復のためにモスクワでのテロを計画した可能性があるようです。
 昨年の大晦日に、モスクワ南部で爆発事故があり、女性の遺体が見つかっていますが、ロシア治安当局は、この女はノガイ大隊のメンバーで、爆弾製造中に謝って爆発させたと見ています。現場から逃げた別の女性が逮捕されていますが、この女性は昨年逮捕されたノガイ大隊メンバーの妻だとされています。空港テロ後、「治安当局は3人のカフカス系の男を容疑者として追っている」という情報が流れましたが、どうもこの大晦日の爆発事件の線から割り出された容疑者のようです。
 そんななか、ロシア治安当局は、空港テロにビタリー・ラズドブジコというノガイ大隊メンバーが関与したことをほぼ断定したようです。ラズドブジコは他のテロ事件ですでに指名手配されているテロリストということです。
 気になるのは、今回の空港テロの犯人グループが、パキスタンとアフガニスタンの国境地帯でテロ訓練を受けていた可能性があるとの報道があることです。北カフカスの組織なら、爆弾製造技術などすでに持っているはずですし、グルジアやアブハジアあたりのルートから爆弾の現物も手に入れられると思うので、どういうことかちょっとよくわかりません。昨年の掃討作戦から逃げた残党が、一時ワジリスタンあたりに逃げ込んでいたのかもしれません。
 ロシアでの爆弾テロは、これまでも定期的に起きていますが、これからも定期的に起こることになると思います。なかでもチェチェン人組織はどうも前述したように内ゲバ気味な様子も伺えるので、主導権争いの意味でも派手なテロ作戦を画策していく可能性があります。

 ところで、前エントリーで触れたエジプト情勢ですが、期待以上に盛り上がってきた感じですね。エルバラダイの登場というのはちょっと予想外でしたが、ムバラクの肖像画が壊される映像が流れたりするのは、エジプト国民にはかなり衝撃的です。ムバラクは軍も動員しましたが、どうなるでしょうか。
 ムバラク自身は徹底弾圧を目指すかもしれませんが、後継者とされていた息子がこの情勢をどう判断するかというのもカギになるかと思います。なんとか頑固な父親をなだめてくれればいいのですが・・・。
 アメリカもここまで来れば、弾圧を支持することはないでしょうし、混乱が長引けば、政権は退陣するしかないかもしれません。
 となると、その後はどうなるでしょうか? エルバラダイ政権? なんかしっくり来ませんね。どちらに転んでも、しばらくは混乱が続くでしょう。
 それにしても、仮にエジプトで政変となれば、周辺アラブ諸国への影響は絶大です。こういう流れがどんどん広がっていけばいいですね。民主化の流れを作るためにも、エジプトの若者にはなんとか暴徒化しないで踏ん張っていただきたいものです。
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  1. 2011/01/29(土) 13:30:18|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

> ムバラク自身は徹底弾圧を目指すかもしれませんが、後継者とされていた息子がこの情勢をどう判断するかというのもカギになるかと思います。なんとか頑固な父親をなだめてくれればいいのですが・・・。

エジプト:大統領次男、国外に逃亡か ロンドン着と報道
http://mainichi.jp/select/world/news/20110130k0000m030107000c.html

国外逃亡したのかもしれませんね。
仮に次期政権成立となった場合、いわゆるイスラム原理主義勢力が政権の座に着いて、
イランのような国家になるのではと不安なのですが・・・。
  1. URL |
  2. 2011/01/30(日) 19:48:54 |
  3. 匿名 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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