ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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瀬戸際外交という幻想

 現在発売中の『プレジデント』に、短い記事ですが、「月50ドルのフォローサイトも出たウィキリークス」という記事を寄稿しました。ウィキリークスのオリジナル・サイトへのサイバー攻撃もありましたが、その一方ではさまざまなミラーサイトやフォローサイトが出現している様を紹介しました。
 また、本日発売の『週刊SPA』の記事「Xデーは'11年4月 北朝鮮の核が東京に落ちる!?」にコメントを採用していただきました。表題の日付はともかく、ウラン濃縮で核ノドン配備が秒読みに入ったことは事実ですので、その脅威について意見を述べさせていただいています。

 北朝鮮のニュースに関しては、いまだに「アメリカを交渉に引きずり込むために挑発している」という解説が多くみられますが、その根拠がよくわかりません。
 北朝鮮の行動の真意は推測するしかないのですが、彼らの行動を振り返ると、核ミサイル開発に一貫して邁進しています。アメリカとの交渉が主目的というよりは、アメリカとの交渉で時間を稼いでいる間に、核ミサイルを開発してしまおうということが主で、その過程で経済援助を引き出せれば儲けものということでしょう。独裁体制の生き残りというのは、独裁者とその周辺にとっては、とにかく命がけの難事業なので、そんなに甘い考えでやっているのではないと思います。
(西海での砲撃事件に関しては、北朝鮮の狙いは世襲問題に関しての軍の掌握、つまりは国内事情だと思います。軍に実績をあげさせながら、むしろなるべく米軍を挑発したくないのが本音だと思います)

 北朝鮮は今後、寧辺のウラン濃縮施設にIAEAの査察を認めて、平和利用目的ということでイラン方式で押していこうとするでしょう。ですが、その陰で他の秘密施設でウラン濃縮を進め、その査察は認めません。そしてある日、何かを口実に緊張を演出し、それを名目に濃縮ウランの兵器転用を「自衛のため」と称して宣言。核ノドン&核ムスダンを実戦配備します。
 これで北朝鮮の地位はいっきに格上げされますが、それは空想ではなく、現実に王手をかけられる段階に来ていますから、北朝鮮側はそこまでいっきに突き進むものとみるべきです。
 北朝鮮はこのプロセスを、最低でも中国の離反を呼ばない程度に、それなりに外交上のルールを逸脱しないように進めていくと思われます。
 北朝鮮の核武装は現在、新たなステージに入ったとみるべきです。アメリカを交渉に引きずり込むための外交カードとかブラフだとかいう見方はおそらく間違っていると思います。
 今振り返ると、そもそも「瀬戸際外交」というのも、間違っていたのではないかと思います。金日成は米軍に対抗するために、一貫して核武装を密かに進めようとしていました。しかし、90年前後にアメリカのインテリジェンスに察知され、圧力を受けるようになります。ギリギリのチキン・ゲームで時間稼ぎをしていましたが、94年にはついにクリントン政権が軍事オプションを検討するに至ります。金日成は、カネが欲しくてカーター特使を受け入れたのではなく、米軍の軍事攻撃を避けるために受け入れたのですね。
 ただし、金父子にもメンツがありますから、ただ白旗を掲げるわけにはいきません。そこで経済支援を引き出す枠組み合意が結ばれたということです。北朝鮮はプルトニウム抽出を封印している間に、ミサイルと核爆弾起爆装置の開発に全力を投入し、そのどちらでも着々と成果をあげます。そして、次なる緊張のタイミングを待ってプルトニウム生産を再開し、核武装を実現します。その間の瀬戸際外交なるものは、すべて時間稼ぎだったわけです。
 北朝鮮はアメリカとの戦争を絶対に避けながら、自身の核ミサイル武装を実現することを、何より最優先してきたといえます。彼らのもっともしたたかな外交というのは、自分たちがさも「アメリカを交渉に引きずり込むために挑発している」と思われるように仕向けていることかもしれません。
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  1. 2010/12/28(火) 12:53:50|
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黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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