ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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前原外相「普天間」発言とロシア大統領「領土」発言

 本日のニュースに、なんだか似たような空気を感じるものが2件ありました。

北沢防衛相、前原外相の普天間「継続」発言を批判朝日新聞12月24日
 普天間基地は、移転先が決まらなければこのまま現状維持で使用されます。現状では、誰がどう見ても移転先がすんなり決まる情勢ではないですから、前原発言の「代替地を決めるまで使用され続ける」というのは、どこも間違っていないように思えます。
 前原外相が周辺の小学校の移転などに言及したのも、責任ある政治家なら当然じゃないでしょうか。この発言を批判する人は、たとえば明日、米軍機が小学校に墜落して死傷者が出たら、どう責任とるつもりなのでしょうか。

「北方領土はロシア領」大統領発言 2島返還取り下げか朝日新聞12月24日
 こういう情報を、さもロシア側の変節のように報じるのもどうかと思います。日本でたとえば「北方領土はロシアに上げてもいいんじゃないか」などと発言したら、世論の集中砲火を浴びて政治生命を断たれるのは必至なのと同様に、ロシアでも「クリルを日本に返してもいいんじゃないか」などと発言した政治家はその瞬間に終わります。尖閣をめぐる日中両国の国内政治状況も同様ですが。
 朝日新聞記事によれば、日本外務省はこの期に及んで未だ「ロシアは1956年の日ソ共同宣言に従って2島返還は約束済み」という妄想にすがりついているようです。その善悪・正邪を別にして、ここではロシア側の論理を指摘しておきます。
①「日ソ平和条約が締結されたら小さいほうの2島だけ返してやってもいい」という日ソ共同宣言は、半世紀も前のもの。もはや現実的なものではない。
②それなのにどうして日本はいつまでも領土問題ばかりに固執しているのか理解不能。ただ、この問題が日本の歴代政権の鬼門になっていることは承知しているので、交渉継続にはかたちだけお付き合いしてあげよう。
③領土問題は棚上げし、経済面で協力すればいい。これぞ新たなアプローチ。

 言うまでもありませんが、むろん私の意見ではありません。ロシア側の論理はこういうものではないかと指摘しただけです。こういう状況下で、では日本はどう対応すべきかと検討するのが政府の責任であると思います。
 どこの国でも領土問題に関しては無条件に妥協に拒絶反応を示す層が存在するので、「そういうことを考えるだけでもイカン!」というのが、日本国内向けの安全牌ですが、それだけでは問題は永遠に解決しないですね。
 国家主権の原理原則を曲げないというメリットも当然あります。なので、国家戦略としてそういう選択もあって当然と思うのですが、かといって外交当局者が「現実を見ない」だけでいいのかというと、ちょっと違うような気がします。
 なお、ひとつ誤解があるように見えるのは、日本のメディア報道をみると、どうも「択捉、国後の主権を日本側が放棄すれば、歯舞、色丹は返還する」とでもロシア側が約束しているかのようなイメージをもたれていることです。ものすごく甘いですね。
(追記→)ロシア側が認めているのは、「平和条約締結後の2島返還」+「過去にそういう約束をしたことがあることは認める」+「これからは新たなアプローチで解決を目指す」だけです。2島先行返還論とか面積2等分割論とかいろいろ出てきましたが、ロシア政府が約束したことなどありません。日本外務省の解釈は、曖昧なやりとりを自分たちに思い切り都合よく解釈してしまった典型例に見えます。
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  1. 2010/12/25(土) 19:45:05|
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  4. | コメント:1
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コメント

外交と内政

> 前原外相が周辺の小学校の移転などに言及したのも、責任ある政治家なら当然じゃないでしょうか。この発言を批判する人は、たとえば明日、米軍機が小学校に墜落して死傷者が出たら、どう責任とるつもりなのでしょうか。

そもそも安保条約地位協定のもと、米軍機が基地上空をはみ出して市街地上空と言う日本国の領空を飛ぶ危険なフライトプランを勝手に立て放題にさせている日本政府の外交責任を、基地反対を叫び前原外相批判を唱える基地被害者住民の責任にすりかえてなすりつけようという論理韜晦を恥ずかしげもなく行っていますが、小学校の移転と地位協定の破棄とどっちが正しい外交政策なのかもわからないのなら比較責任論など書かないことです。
  1. URL |
  2. 2010/12/27(月) 14:20:06 |
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黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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