ワールド&インテリジェンス

ジャーナリスト・黒井文太郎のブログ/国際情勢、インテリジェンス関連、外交・安全保障、その他の雑感・・・(※諸般の事情により現在コメント表示は停止中です)

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「尖閣ビデオ」無罪放免の情報管理への影響

 昨日、検察当局が尖閣ビデオ流出者の逮捕を見送り、任意捜査続行を決めました。おそらく起訴猶予&服務規定違反で部内処分、ということになりそうです。当ブログでは以前に「流出犯」と表記していたのですが、なにかそんなふうに書きづらい雰囲気になってきました。
 この結果は想像していなかったので、正直ちょっと驚きました。「政府が非公開を決めたものを、部内者が確信的に流出させた」ということですから、国際標準で考えると、大げさに言えば「反逆者」ということになります。独裁国ならずとも、国家反逆罪は死刑もある重罪で、今回のケースはもちろんそんな大げさなものではないですが、世論の後押しもあってすっかり「反逆のヒーロー」になっています。もちろん国家(ここでは「ときの政権」の意)と国民はイコールでないので、今回の場合は、「国家への反逆」だけれど「国民の利益に資した」ということでしょうか。国民の利益と対立する国家なんてシャレになっていませんが・・・。
 日本は民主国家で法治国家ですから、司法は法律に則って粛々と手続きしていただければいいわけですが、たとえ「反逆のヒーロー」でも、まったく無罪放免という国は、世界ではかなり珍しいのではないかと思います。

 それはさておき、今回の件で、海保の情報管理の不備を責める声が大きいですが、情報管理の観点からすると、それよりもこの無罪放免のほうが今後深刻な影響を及ぼす可能性があります。なにせ「秘密」要件が曖昧な内部情報なら、政府・所属組織の方針に反して流出させてもOKという流れができたからです。今後、国家公務員の守秘義務違反への心理的ハードルがかなり低くなるかもしれません。
 今回の件では、国家公務員法の適用では「秘密」の度合いが決め手になるということがわかりました。一般国民はおろか国会議員ですら完全には目にすることができないものが、海保という治安機関内である種の手違いがあって部内者が閲覧できる状態に一定期間置かれていたものは、「秘密」にあたらないわけですね。
 となれば、公式に秘密指定されておらず、部内の多くの職員が一定期間共有していた内部情報などは、流出させてもOKということでしょうか。ジャーナリストとしては、非常に仕事がやりやすくなるわけで、私個人の利益からすれば、歓迎すべき流れと言えます。
 もちろん公務員は内規違反で処分される可能性がありますが、国家公務員法違反にあたらないなら、ジャーナリストは安心していくらでも書くことができますね。
 ただし、国民のひとりとしては、それでこの国はホントに大丈夫か、とかなり心配ではありますが。
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  1. 2010/11/16(火) 10:52:40|
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プロフィール

黒井文太郎

Author:黒井文太郎
 63年生まれ。『軍事研究』記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、現在は軍事ジャーナリスト。専門は各国情報機関の最新動向、国際テロ(とくにイスラム過激派)、日本の防衛・安全保障、中東情勢、北朝鮮情勢、その他の国際紛争、旧軍特務機関など。

 著書『ビンラディン抹殺指令』『アルカイダの全貌』『イスラムのテロリスト』『世界のテロと組織犯罪』『インテリジェンスの極意』『北朝鮮に備える軍事学』『紛争勃発』『日本の情報機関』『日本の防衛7つの論点』、編共著・企画制作『生物兵器テロ』『自衛隊戦略白書』『インテリジェンス戦争~対テロ時代の最新動向』『公安アンダーワールド』、劇画原作『実録・陸軍中野学校』『満州特務機関』等々。

 ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住経験あり。紛争地域を中心に約70カ国を訪問し、約30カ国を取材している。




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